躾 5Sの基本(その6)

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【5Sの基本 連載目次】

 

◆5Sの基本(その6) 躾

【目次】

1.躾
2.全社で5Sを徹底する
3.躾の進め方
4.おわりに

 

【この連載の前回:5Sの基本(その5) 清潔へのリンク】

 

1.躾

躾(しつけ)とは、決められたとおり正しく実行できるように習慣づけることです。よく「うちの会社は5Sをやってもダメ、仕事の基本がまだできていない」「いろいろ規則をつくっても守れるのははじめの2~3日だけ」「5Sよりも、もっと基本的なことからやらないとダメ」などと言う人がいます。

 

しかし、5Sとはその基本的なことができるように3S「整理・整頓・清掃」を手段として清潔を維持し、継続するところに本来の意味があります。だれもが取り組みやすい整理、整頓、清潔を徹底して行い、結果として躾を達成することと考えることが重要になります。

 

また、決めごとを守れるような工夫も必要です。例えば、トビラにカギがかけられている工具棚などは、工具を戻しにくいですし、5Sを阻害していると言えます。きちんと整理され、置き場が決められているだけでなく、扉を取り払ってオープンな棚にするなど、5Sを維持しやすい環境づくりも必要になってきます。

 

むずかしい品質管理や生産技術は知らなくても、みんなが決められた事を決められたとおりに正しく実行すれば、不良は出るはずがありませんし、自然とコストダウンもはかれるようになります。

 

2.全社で5Sを徹底する

5Sは生産現場だけのものではありません。

 

設計の現場では、決められた仕様で図面を書いて、決められた期日に出図します。材料調達の現場では、決められた材料を、決められた日に、決められた価格で調達します。

 

生産管理の現場では、決められた納期に間に合うように、決められた手順で、生産日程や作業員のコントロールを行います。生産現場では、決められた材料を、決められた機械で、決められた方法を守って加工し、決められた手順で品質確認を行います。

 

そして出荷の現場でも、決められた製品を、決められた出荷日に、決められた場所に出荷していきます。

 

3.躾の進め方

(1)まず、みんなで決め事をつくる

躾を進めるには、まず、みんなで決め事を作ります。全員が意見を出せるようにミーティングの仕方を工夫して、決まったことは目で見てわかるようにまとめます。

 

(2)決め事はだれにでもすぐわかるようにしておく

決め事は、職場の目立つ場所に掲示して、だれでもすぐにわかるようにします。ここで重要なのは「読んで理解できる」のではなく「目で見てわかる」ようにすることです。目安としては、ぱっと見て10秒以内でわかることを目標に、説明文章ではなく、短いキーワードで表現していきます。

 

(3)決められたとおりに実行されていなければ指摘する

そして、もし決めたことがその通りに実行されていなければ、お互いにその場で指摘し合うことです。「相手のだめなところ」を指摘しているのではなく「ルール通りに行われていない事実」を指摘しているのですし、全員で進めていることですから、相手に遠慮することはありません。

 

(4)指摘されたことはすぐ改める

そして、指摘された部分は「みんなで決めたルールに沿っていない事実」ですので、言い...

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【5Sの基本 連載目次】

 

◆5Sの基本(その6) 躾

【目次】

1.躾
2.全社で5Sを徹底する
3.躾の進め方
4.おわりに

 

【この連載の前回:5Sの基本(その5) 清潔へのリンク】

 

1.躾

躾(しつけ)とは、決められたとおり正しく実行できるように習慣づけることです。よく「うちの会社は5Sをやってもダメ、仕事の基本がまだできていない」「いろいろ規則をつくっても守れるのははじめの2~3日だけ」「5Sよりも、もっと基本的なことからやらないとダメ」などと言う人がいます。

 

しかし、5Sとはその基本的なことができるように3S「整理・整頓・清掃」を手段として清潔を維持し、継続するところに本来の意味があります。だれもが取り組みやすい整理、整頓、清潔を徹底して行い、結果として躾を達成することと考えることが重要になります。

 

また、決めごとを守れるような工夫も必要です。例えば、トビラにカギがかけられている工具棚などは、工具を戻しにくいですし、5Sを阻害していると言えます。きちんと整理され、置き場が決められているだけでなく、扉を取り払ってオープンな棚にするなど、5Sを維持しやすい環境づくりも必要になってきます。

 

むずかしい品質管理や生産技術は知らなくても、みんなが決められた事を決められたとおりに正しく実行すれば、不良は出るはずがありませんし、自然とコストダウンもはかれるようになります。

 

2.全社で5Sを徹底する

5Sは生産現場だけのものではありません。

 

設計の現場では、決められた仕様で図面を書いて、決められた期日に出図します。材料調達の現場では、決められた材料を、決められた日に、決められた価格で調達します。

 

生産管理の現場では、決められた納期に間に合うように、決められた手順で、生産日程や作業員のコントロールを行います。生産現場では、決められた材料を、決められた機械で、決められた方法を守って加工し、決められた手順で品質確認を行います。

 

そして出荷の現場でも、決められた製品を、決められた出荷日に、決められた場所に出荷していきます。

 

3.躾の進め方

(1)まず、みんなで決め事をつくる

躾を進めるには、まず、みんなで決め事を作ります。全員が意見を出せるようにミーティングの仕方を工夫して、決まったことは目で見てわかるようにまとめます。

 

(2)決め事はだれにでもすぐわかるようにしておく

決め事は、職場の目立つ場所に掲示して、だれでもすぐにわかるようにします。ここで重要なのは「読んで理解できる」のではなく「目で見てわかる」ようにすることです。目安としては、ぱっと見て10秒以内でわかることを目標に、説明文章ではなく、短いキーワードで表現していきます。

 

(3)決められたとおりに実行されていなければ指摘する

そして、もし決めたことがその通りに実行されていなければ、お互いにその場で指摘し合うことです。「相手のだめなところ」を指摘しているのではなく「ルール通りに行われていない事実」を指摘しているのですし、全員で進めていることですから、相手に遠慮することはありません。

 

(4)指摘されたことはすぐ改める

そして、指摘された部分は「みんなで決めたルールに沿っていない事実」ですので、言い訳をせずにすぐに改めるようにします。

 

(5)(1)~(4)を限りなく繰り返す

これを毎日の仕事の中で実直に繰り返していきます。

 

4.おわりに

5Sは単なる美化活動ではなく、ムダを省くことで利益を創出する本質的なものでなければなりません。その意義をしっかり理解して、一度決めたら愚直に徹底してやり抜いていくことを通じて、強い組織風土と競争力を磨いていきましょう。

 

 

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この記事の著者

今澤 尚久

「商品を買う側(小売業)」と「商品を作る側(製造業)」の両方の業界経験をベースに実効性のある経営戦略を策定します。現場・現物・現実の三現主義で現状把握から施策立案・課題解決までの全工程を支援します。

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