多くの場合、問題が起きて原因を推定する際には、何が起きたか、どこで起きたか、いつ起きたか、どの程度起きたかといった事実を頭の中に入れた上で、可能性のある原因としてどのようなものがあるか、どれがより可能性の高い原因であるかを考えて行動していると思います。しかし、それほど論理的な思考の手順を踏んでいないのかもしれません。その手順は、人さまざまだと思いますが、ある特定の事実だけから推定してしまったり、直近の変化に着目して原因を推定してしまったりしていないでしょうか。
多くの人の場合、その原因特定に至るまでに相当な時間を必要としたり、その特定した原因に対して自信が持てなかったりする人も多いでしょう。トラブルに遭遇した時に、真の原因に迫るその思考プロセスが分かっていたらムダな時間を費やさなくてすみ、出した結論に対しても自信を持てることになるはずです。また、先入観から思いつきの原因にジャンプしてしまうことを防ぎ、その結果、当たっていない対策に走ることを防止でき、やらなくてもよい対策をやらないですませられるという効果が期待できます。
KT(Kepner Tregoe)法の問題分析に、IS/ISNOT思考が含まれていることを気づかれた人もいると思います。詳細な分析は、KT法の問題分析に任せて、ここでは、ロジカルシンキングの基本ツールとして切り出し活用できる図1の事例を紹介します。課題のテーマは、Aグループの特許出願件数がトップクラスのBさんの行動の特徴をヒントとして、同じグループの標準的な特許出願件数のCさんとグループ全体の特許出願件数向上計画を立案しようとするものです。
まず、Bさんの事実情報をIS、Cさんの事実情報をISNOTとして、ここでは、能力、意欲、現状、所属組織の...