現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」を解説しています。随分長く「関係性」の解説をしてきました。前回は「『解決策』先にありきのイノベーションの発想」を解説しましたが、今回からは「位置(関係)」の解説します。<
1. 位置の分類例
位置は、それまで得た知識や経験を空間上の位置の違いを使って分類し、そこからなんらかのイノベーションのヒントにつなげようとするものです。過去に解説した「知識・経験を物理量で整理する」では、物理量を広く定義していましたので、その分類は「知識・経験を物理量で整理する」と一部重複するかもしれません。
この点に関しては、この分類は発想の切り口を提示するものですので、これら重複は特に問題はないと思います。またさらには以下でも議論をしますが、位置の分類から出発して、物理量の分類との関係をも利用して、ノベーションにつなげることができると考えています。
位置の分類の例には、静的な分類と動的な分類を分けて考えると、以下のようなものがあります。
・静的な分類
上下、左右、東西、南北、表裏、表中、高低、遠近、内外、深浅、天地
・動的な分類
上昇・下降、南下・北上、東進・西進、発散・集中、時計回り・反時計周り、平行移動、入る・出る
2. 位置の分類からイノベーションのヒントを得る
静的な分類と動的分類では、イノベーションにつなげるための思考が異なるように思えます。まずは静的な位置の分類からイノベーションを起こす思考法を考えてみたいと思います。
・位置からイノベーションのヒントを得るための2つの視点
これら位置を単に分類するだけでは、何も起こりません。静的な位置からイノベーションのヒントを引き出すためには、2つの視点「両者の相違を徹底して考えてみる」と「両者の相対的な関係性」を考えてみることが重要です。
3. 両者の相違を徹底して考えてみる
両者の相違を考える場合、ここまで議論した物理量(広義)での分類が役に立ちます。例えば、地球の上の方は空気が薄いですし下の方は濃いので「濃淡」があります。同じく地球を考えると深部は密度が高く、表面に近い部分では密度が低いので「粗密」など表現で考えることができ...