普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その25)

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 前回はKETICモデルの中の知識(Knowledge)の内、技術知識について議論をしましたが、今回も引き続きその議論をしたいと思います。
 

1. コア技術マネジャーのアサイン

 
 前回は社内技術共有化プログラムの話をしましたが、当該プログラムを真に機能させるための役割として、コア技術マネジャーの存在が欠かせません。なぜなら社内技術共有化プログラムは、ラインの仕事ではありませんので、仕組みだけ作っても機能しない可能性が高いからです。
 

2. コア技術マネジャーの役割

 
 それではコア技術マネジャーは、どのような役割を担わなければならないのでしょうか?
 

(1) コア技術毎にアサイン

 
 まず、コア技術毎にその分野に精通したある程度シニアの人を、コア技術マネジャーとしてアサインします。
 

(2) 公式な活動だが自主的な活動でもある

 
 技術共有化プログラムおよびコア技術マネジャーの仕事・役割は、予算の確保を含め社内で公式のものではありますが、会社ではかなりの自己裁量権を持ち、メンバーの人たちの主体的な活動と位置付けとすることが望ましいと思います。それによりコア技術毎のメンバー一人一人が自分達の活動と認識し、参画意識を高め、活動を活性化することができます。
 

(3) 専任である必要はない

 
 コア技術マネジャーは、専任である必要はありません。そもそも自主的な活動でありますし、コア技術も日々進化するものですので、実際に現業で当該コア技術に密接にかかわっていることにむしろメリットがあります。また、専任とするということはそこには人件費が少なくとも一人分は掛かってしまうので、その面からも兼任が適当です。
 
 技術マネジメント
 

(4) 社内のWho’s Whoの把握

 
 良く社内に技術のディレクトリーを作るという活動があります。つまり、社内の技術者・研究者がどのような技術を持っているかをデータベースとして整備しようという活動です。しかし、現実にはそのようなディレクトリーが作られても、日々の活動の中ではアップデートされず、陳腐化する運命にあるのが普通です。なぜなら、アップデートには相当な手間がかかり、技術毎の利用価値には大きなばらつきがあるからです。
 
 私は、むしろデータベースではなく、そのような知識は人間系で蓄積・維持される、すなわちコア技術マネジャーの頭の中に入っているということで構わないし、その方が使い勝手がはるかに高いと思います。ですので、コア技術マネジャーは、その技術に関し、全社の中でどのような部署で、誰がどのような活動をしているかを、把握しておくことが必要とされます。それは社内の人間のネットワークで、あの部署でこんな製品を開発しているといった情報を聞けば、その担当部署に聞きに出向き、短時間で情報を聞いておくというような活動で良いと思います。また、そのような過程を通して、技術共有プログラムの重要性と活動のアピールを草の根で行うことができます。
 

(5) 社内の技術の問合せ対応・アドバイス

 
 社内でその技術に関してアドバイスが必要な場合には、そのコア技術マネジャーにコンタクトをとるということが想定・期待されます。コア技術マネジャーは自身で対応できることは、自身が対応し、そうでないものは、社内や社外のより詳しい人を紹介するという事をします。従って、コア技術マネジャーは社内のみならず、日頃から大学、他社といった社外にも人的ネットワークを持っておくことが必要となります。
 

(6) 社外からの技術に関する問い合わせ対応

 
 良くコア技術をアピールする自社のウェブサイトを開設していたり、コア技術を紹介するショールームなどを備えている企業もありますので、そのような場合、社外より自社のその技術に対する問い合わせが来ることになります(それを期待しての活動)。そのような場合にも、その窓口担当は、担当のコア技術マネジャーと相談の上、どのように対処するかを決定し、問合せがどこかの事業部門におけるビジネスに結び付くものであれば、担当部署につなげるということを行います。
 

(7) 当該コア技術の自社全体のレベルアップ

 
 その他当該技術のレベルアップを図るために、社内の技術者・研究者を対象にテーマを決めての講習会や外部の講演者による講演会、そしてそのコア技術に関わる社内のネットワークづくりの懇親会の開催等の活動も行います。...
 前回はKETICモデルの中の知識(Knowledge)の内、技術知識について議論をしましたが、今回も引き続きその議論をしたいと思います。
 

1. コア技術マネジャーのアサイン

 
 前回は社内技術共有化プログラムの話をしましたが、当該プログラムを真に機能させるための役割として、コア技術マネジャーの存在が欠かせません。なぜなら社内技術共有化プログラムは、ラインの仕事ではありませんので、仕組みだけ作っても機能しない可能性が高いからです。
 

2. コア技術マネジャーの役割

 
 それではコア技術マネジャーは、どのような役割を担わなければならないのでしょうか?
 

(1) コア技術毎にアサイン

 
 まず、コア技術毎にその分野に精通したある程度シニアの人を、コア技術マネジャーとしてアサインします。
 

(2) 公式な活動だが自主的な活動でもある

 
 技術共有化プログラムおよびコア技術マネジャーの仕事・役割は、予算の確保を含め社内で公式のものではありますが、会社ではかなりの自己裁量権を持ち、メンバーの人たちの主体的な活動と位置付けとすることが望ましいと思います。それによりコア技術毎のメンバー一人一人が自分達の活動と認識し、参画意識を高め、活動を活性化することができます。
 

(3) 専任である必要はない

 
 コア技術マネジャーは、専任である必要はありません。そもそも自主的な活動でありますし、コア技術も日々進化するものですので、実際に現業で当該コア技術に密接にかかわっていることにむしろメリットがあります。また、専任とするということはそこには人件費が少なくとも一人分は掛かってしまうので、その面からも兼任が適当です。
 
 技術マネジメント
 

(4) 社内のWho’s Whoの把握

 
 良く社内に技術のディレクトリーを作るという活動があります。つまり、社内の技術者・研究者がどのような技術を持っているかをデータベースとして整備しようという活動です。しかし、現実にはそのようなディレクトリーが作られても、日々の活動の中ではアップデートされず、陳腐化する運命にあるのが普通です。なぜなら、アップデートには相当な手間がかかり、技術毎の利用価値には大きなばらつきがあるからです。
 
 私は、むしろデータベースではなく、そのような知識は人間系で蓄積・維持される、すなわちコア技術マネジャーの頭の中に入っているということで構わないし、その方が使い勝手がはるかに高いと思います。ですので、コア技術マネジャーは、その技術に関し、全社の中でどのような部署で、誰がどのような活動をしているかを、把握しておくことが必要とされます。それは社内の人間のネットワークで、あの部署でこんな製品を開発しているといった情報を聞けば、その担当部署に聞きに出向き、短時間で情報を聞いておくというような活動で良いと思います。また、そのような過程を通して、技術共有プログラムの重要性と活動のアピールを草の根で行うことができます。
 

(5) 社内の技術の問合せ対応・アドバイス

 
 社内でその技術に関してアドバイスが必要な場合には、そのコア技術マネジャーにコンタクトをとるということが想定・期待されます。コア技術マネジャーは自身で対応できることは、自身が対応し、そうでないものは、社内や社外のより詳しい人を紹介するという事をします。従って、コア技術マネジャーは社内のみならず、日頃から大学、他社といった社外にも人的ネットワークを持っておくことが必要となります。
 

(6) 社外からの技術に関する問い合わせ対応

 
 良くコア技術をアピールする自社のウェブサイトを開設していたり、コア技術を紹介するショールームなどを備えている企業もありますので、そのような場合、社外より自社のその技術に対する問い合わせが来ることになります(それを期待しての活動)。そのような場合にも、その窓口担当は、担当のコア技術マネジャーと相談の上、どのように対処するかを決定し、問合せがどこかの事業部門におけるビジネスに結び付くものであれば、担当部署につなげるということを行います。
 

(7) 当該コア技術の自社全体のレベルアップ

 
 その他当該技術のレベルアップを図るために、社内の技術者・研究者を対象にテーマを決めての講習会や外部の講演者による講演会、そしてそのコア技術に関わる社内のネットワークづくりの懇親会の開催等の活動も行います。
 

(8) コア技術マネジャーのモチベーションのありか

 
 もちろん、コア技術マネジャーの上のような活動は社内で公式に認められた活動ですが、コア技術マネジャーにとっては、現業を抱えながらこのような活動を行うことは容易ではありません。それでは、このコア技術マネジャーは何をモチベーションにこのような活動を行うのでしょうか?このコア技術マネジャーのモチベーションは、自分が精通する技術に関して社内で一目置かれる存在であること、そして自分自身の得意とするそのような分野で広く会社内で関連活動に貢献できることの充実感・達成感とその結果の社内関係者の尊敬の獲得の2つです。その結果、多忙な中でも、コア技術マネジャーは高いモチベーションを持ち、上のような活動に積極的に取り組んでもらえるようになります。
 

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この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


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