前回まで自分が生物、物、さらには抽象概念になったと想像して、世の中を観察しようという話をしてきました。これは言うなれば、まさに妄想の世界です。妄想はネガティブに捉えられがちですが、私は妄想はイノベーション創出において、極めて重要な役割を果たすものであると考えています。今回も、この「妄想」というキーワードに着目して、解説します。
1. 妄想は、実行に移す前にきちんと評価をすればよいだけ
妄想などにもとづき行動をして、失敗したり、他人に迷惑をかけたりしたらどうするんだ、という妄想に対する否定的意見があるかもしれません。もちろん妄想にもとづく活動には、リスクやコストが伴います。しかし、その場合には、きちんとそれらリスクやコストを評価すれば良いだけです。リスクやコストを掛けてもやる価値があると判断すれ...