現在「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」にむけて、日々の活動の中でどうイノベーションを創出するかについて、解説しています。今回からは、失敗のコストのマネジメントについて、議論をしていきたいと思います。
●「とにかく多少とも価値がありそうであれば、積極的にやってみる」
前回、解説した「未知の知識を主体的に得る」ためには、「多少とも価値がありそうであれば、積極的にやってみる」を実践することが重要です。しかし、このようなことに踏み出すコストや、結果的に失敗する可能性が大きいのですから、失敗のコストを低減することができなければ、なかなか新しいことには挑戦できません。
●「とにかく多少とも価値がありそうであれば、積極的にやってみる」を妨げる2つのコスト
新たなことに挑戦を妨げるものとして、以下の2つのコストがあるように思えます。
(1)踏み出すこと・踏み出そうとすることで発生する直接的コスト
「とにかく多少とも価値がありそうであれば、積極的にやってみる」と言っても、実際に踏み出すには踏み出すこと・踏み出そうとすることで「直接的」に発生する金銭的、時間的、心理的なコストがあり(この3つのコストは別途下で議論します)、簡単にそのような活動を行うことにはなりません。これらコストを低減する仕組みを作らなければ、失敗の可能性の高い活動に踏み出す気にはなりません。
(2)踏み出した後に失敗による発生するコスト
当然失敗を前提として活動を行う訳ですから、失敗の可能性は大きく、それにより失敗のコストが発生します。失敗のコストがあまりに大きいものであれば、実際には企業にしても個人の生活にしてもダメージが発生するので、新しいことに挑戦するには、「あらかじめ」それを低減する工夫が存在していることが求められます。
●3つの種類のコスト
これら2つのコストにも、別の分類として以下の3つの種類のコストがあります。
(1)金銭的コスト
まず金銭的なコストです。踏み出すにもお金が必要ですし、失敗の場合にはそれまで投入した費用が無駄になります。
(2)時間的コスト
時間は企業、個人、誰にとっても大切な資源です。企業も個人も限られた時間の中しなければならないことを、沢山抱えています。そのような中で、新な活動に踏み出すには追加的な時間が必要です。また、その後失敗した場合のそれまで投入した時間が無駄になったと「感じる」かもしれません。
(3)心理的コスト
新な活動に踏み出す...