イノベーションの発想 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その120)

更新日

投稿日

技術マネジメント

 

前回までに「整理するフレームワークで整理・構造化した知識の中で焦点を当てる重要部分を切り取る」を解説しました。今回からは、「発想のフレームワークを使ってイノベーティブなアイデアを発想する手順」の次のステップで、かつ最後のステップである「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」について解説します。

 

1.切り取った知識の重要部分を「発想するフレームワーク」を使って、イノベーションを発想する

それでは、その「発想するフレームワーク」とはどのようなものなのでしょうか?


(1)やはりシュンペーターのモデルが基本

イノベーションを発想するフレームワークを考えるには、やはりイノベーションの研究者であるシュンペーターのイノベーションの定義として有名な、「イノベーションとは既存知識の新結合である」を基本とするのが良いと考えます。

すなわち、2つもしくは2つ以上の既存の知識が新しく組み合わさり(新結合-スパーク)して、イノベーションが起こるというものです。


(2)シュンペーターのモデルの疑問点

しかし、ここで疑問点があります。

 

つまり、それまで遠くに離れていた2つの既存の知識が新しく組み合わさり、「瞬時」にまさに「閃く」ようにスパークを起こし、それまで存在していなかったアイデアとしてイノベーションが起こるということがあるのかどうかということです。

 

よくイノベーションを示した漫画にあるように、頭の電球がパットつくようなことがあるのかということです。

 

既存知識Aと遠くに離れた場所にある既存知識Bが、それも遠くに離れたイノベーションにどう「新結合」するかです。それぞれ遠くに離れていて「遠くに離れている」の「二乗」なので、新結合が起こる可能性は低いと言わざるをえません。

 

もちろんイノベーションはそもそも低い頻度でしか置きないものですので、そもそもイノベーションというのはそういうものだと言えなくもありません。しかし、このメルマガで目指しているのは、「普通の組織をイノベーティブにする処方箋」ですので、それでは思考停止してしまいますので、それではいけません。

 

2.あるべき「発想するフレームワーク」

そのため、シュンペーターのモデルを基本にしつつも、あるべき「発想するフレームワーク」を創出するには、以下のような概念を追加していく必...

技術マネジメント

 

前回までに「整理するフレームワークで整理・構造化した知識の中で焦点を当てる重要部分を切り取る」を解説しました。今回からは、「発想のフレームワークを使ってイノベーティブなアイデアを発想する手順」の次のステップで、かつ最後のステップである「切り取った知識の重要部分を発想するフレームワークを使って、イノベーションを発想する」について解説します。

 

1.切り取った知識の重要部分を「発想するフレームワーク」を使って、イノベーションを発想する

それでは、その「発想するフレームワーク」とはどのようなものなのでしょうか?


(1)やはりシュンペーターのモデルが基本

イノベーションを発想するフレームワークを考えるには、やはりイノベーションの研究者であるシュンペーターのイノベーションの定義として有名な、「イノベーションとは既存知識の新結合である」を基本とするのが良いと考えます。

すなわち、2つもしくは2つ以上の既存の知識が新しく組み合わさり(新結合-スパーク)して、イノベーションが起こるというものです。


(2)シュンペーターのモデルの疑問点

しかし、ここで疑問点があります。

 

つまり、それまで遠くに離れていた2つの既存の知識が新しく組み合わさり、「瞬時」にまさに「閃く」ようにスパークを起こし、それまで存在していなかったアイデアとしてイノベーションが起こるということがあるのかどうかということです。

 

よくイノベーションを示した漫画にあるように、頭の電球がパットつくようなことがあるのかということです。

 

既存知識Aと遠くに離れた場所にある既存知識Bが、それも遠くに離れたイノベーションにどう「新結合」するかです。それぞれ遠くに離れていて「遠くに離れている」の「二乗」なので、新結合が起こる可能性は低いと言わざるをえません。

 

もちろんイノベーションはそもそも低い頻度でしか置きないものですので、そもそもイノベーションというのはそういうものだと言えなくもありません。しかし、このメルマガで目指しているのは、「普通の組織をイノベーティブにする処方箋」ですので、それでは思考停止してしまいますので、それではいけません。

 

2.あるべき「発想するフレームワーク」

そのため、シュンペーターのモデルを基本にしつつも、あるべき「発想するフレームワーク」を創出するには、以下のような概念を追加していく必要がありそうです。

  • シュンペーターのモデルの階層化
  • 前提としてのイノベーションの予感と既存の知識のありかの予感の必要性
  • 新結合の形態にも類型がある

ただし、私自身、現状の段階で、追加すべきは上の3つかどうかの確信があるはけではありませんので、今後のメルマガの中で、それぞれ考えを深めていき、修正の必要があれば、その時点で修正をしていくというステップで考えていきたいと思います。

 

次回に続きます。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

浪江 一公

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
クレーム率シングルppmをゼロに(9) 【快年童子の豆鉄砲】(その64)

  【連関図法で把握した原因に対する対策のまとめ】 【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その63)へのリンク】 【連載記事】・新Q...

  【連関図法で把握した原因に対する対策のまとめ】 【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その63)へのリンク】 【連載記事】・新Q...


『価値づくり』の研究開発マネジメント (その17)

   前回まで、オープンイノベーションの経済学について解説しました。今回からは、オープンイノベーションの心理学について、解説します。 ◆...

   前回まで、オープンイノベーションの経済学について解説しました。今回からは、オープンイノベーションの心理学について、解説します。 ◆...


類似-3 普通の組織をイノベーティブにする処方箋(その102)

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」について解説しています。今回は、引き続き「類似」について考えてみたいと思...

   現在、KETICモデルの中の「知識・経験を関係性で整理する」について解説しています。今回は、引き続き「類似」について考えてみたいと思...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
擦り合わせ型開発と組み合わせ型開発とは

   「擦り合わせ型開発」という言葉や考え方は、東京大学の藤本隆宏教授が著書「能力構築競争」(中公新書)などで示したものです。マスコミなどでは...

   「擦り合わせ型開発」という言葉や考え方は、東京大学の藤本隆宏教授が著書「能力構築競争」(中公新書)などで示したものです。マスコミなどでは...


擦り合わせ型と組み合わせ型、目指すべき開発体制とは(その3)

【目指すべき開発体制 連載目次】 目指すべき開発体制とは(その1)擦り合わせ型と組み合わせ型 目指すべき開発体制とは(その2)日本企業文化を引きず...

【目指すべき開発体制 連載目次】 目指すべき開発体制とは(その1)擦り合わせ型と組み合わせ型 目指すべき開発体制とは(その2)日本企業文化を引きず...


トレーサビリティの保証 プロジェクト管理の仕組み (その43)

 前回までシステム設計について、その基本の考え方や実施方法について解説してきました。多くの組織で、システム設計は、できる人だけの作業になっており、設計の最...

 前回までシステム設計について、その基本の考え方や実施方法について解説してきました。多くの組織で、システム設計は、できる人だけの作業になっており、設計の最...