傾聴、話を聴く態度とは 

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技術マネジメント

 

1.傾聴を知っているし、学んだことがある?

管理職やリーダーなど役職につけば、研修などで『傾聴』を学ばれるかと思います。またカウンセリングに興味を持って個人で勉強される方もいらっしゃるかもしれません。ところが、学んで理屈が理解できても、実際にはうまくいかないな。と感じられることはないでしょうか。あるいは「理解したから大丈夫。」「緊急を要することでもないし。」「普段の感覚で困っていない。」「ある程度大人なんだから、既に身についているし。」など「知識」で止めてしまってはいないでしょうか。

 

傾聴を身につけて、場面で切り替えられれば、コミニュケーションが円滑になるだけでなく、信頼関係が築けたり、困っている人の助けにもなります。今回は、傾聴を実際に使うためのポイントをお伝えします。

 

2.部下の話を聴けていますか? -傾聴のすすめ- 

部下の話を聴くときに役立つ考え方やポイントについて、傾聴の基本的態度、傾聴の効果、傾聴のポイントを解説します。

 

(1)聴く態度としての『傾聴』

傾聴が発揮される場面は、悩みや相談などが持ち掛けられた時、何か訴えがあったり、聴いて欲しいことがあると頼られるなど、相手が問題(課題)を抱えている時です。時には、こちらから何かを感じて声掛けで始まる場合もあります。この時『話を聴く態度』が重要になります。

 

傾聴』は「話を聴く態度を身につけること」なのです。言葉としては理解できますし、おそらくどうすれば良いのか経験則で出来る気がします。しかし、会話が終わって相手の反応を見ると、どうも効果のイメージが違う。または、上手く出来たり できなかったりで「ムラ」がある。仕方ないな。でおわってしまうのは残念です。

 

(2)『傾聴』のむずかしいところ

(2-1)スキルだということ。

スキルとは、一般的に「技能(技術的な能力)」を意味する語であり、とりわけ「訓練や学習によって培われた能力」が必要になります。つまり、座学や、eラーニングによって、頭で理屈を理解したとしても、自分の態度として行動にうつせるようになるためには、理解したことを意識して繰り返し経験することが不可欠なのです。経験値が増せば、対処にも余裕がうまれ、結果も安定してきます。

 

(2-2)会話の軸は相手にあることを忘れてしまう。

日常的な会話は、応答というラリーですから、自分の意見や考えが大事になります。しかし、傾聴は言葉の通り「(相手の言葉に)耳を傾ける」ことなので「自分の考え」は必要ありません。それなのに、いつの間にか自分に軸が移ってしまうのです。

 

よく「先入観を持たないことが大切」といわれます。もっと直球に訳すと「自分の個人的な価値観」や「自分が考える基準」「これまで培ってきたこだわり」「性格による反応」などは『傾聴』にとっては邪魔ということなのです。

 

(3)真剣に聴けば聴くほど

傾聴の基本的な態度は、相手の話を真剣に聴く。相手の気持ちになって聴く。「この人は今どんな気持ちでこの話をしているのだろう」と関心を寄せる。などが良いとされます。けれど、基本的な態度で真剣になって聴けば聴くほど、相手から受け止めた言葉に自分の心が動きます。関心を寄せているから、あれこれと考えを巡らせます。動く振れ幅こそが「自分」。

 

「自分は必要ない」とは矛盾しているのでは??

 

ところが、自分の心が動けば、振れ幅が大きくなるほど、相手の話に集中できなくなります。自分というフィルタがあることで、逆に相手の話を真剣に聴けなくなってしまうのです。傾聴の基本は「聞くに徹する」と知っているから、最初は相手の言葉にじっと耳を傾けて聴いています。しかし、言葉の一つ一つ 流れを聴いているうちに、話の手掛かりが見えてきます。すると、自分の心はざわつき始めます。

 

「その話知ってる。わかる。」「かわいそうだなぁ」「私も同じようなことがあった」「そんなことで悩んでいるの?」「仕方がないのでは?」「それあなたの方が悪いのでは?」「こうしたら良いのでは?」「自分だったらこうする。」・・・・・・

 

頭の中は、やがて「(この問題・課題に対する)自分の思い、相手へのジャッジ」でいっぱいになります。相手の話を聴いているつもりが、いつの間にか「自分の考え」に軸が移り、相手の話に集中できなくなってしまうのです。やがて我慢できなくなり、望まれてもいない評価やアドバイスという自分事で会話を主導してしまえば、相手は消化不良のまま、こちらの言い分を納得するしか、会話を終わらせることが出来ないことを、残念に思うかもしれません。

 

たとえ黙って聴いていても、もはや軸は相手ではなく自分。評価や納得で自分の中は解決できて、同情で終わり。哀しいことに、こちら側の態度は非言語で相手に伝わってしまいます。やはり相手は消化不良のまま。気持ちが良くなったのは自分だけ。という結果になりかねません。

 

(4)関心を寄せ、相手の気持ちになって、真剣に聴く

(4-1)相手に関心を寄せる

相談者は必ずしも、発している言葉の全てが本音や真実とは限りません。むしろ、言葉の含み、裏、くみ取って欲しい言い換え、非言語に隠されていることが多いのです。どんなに信頼している間柄であっても、言いにくいことを勇気を持って話しているので、表現は消極的になります。その矛盾、違和感を感じ取ることが大事です。矛盾や違和感は、ごまかしたり、避けたいと思っている気持ち、混乱してうまく表現できなかったりして、実は本人が感じていることかもしれません。

 

同じ「悲しい」という言葉でも、異なる環境、生き方をしている相手の「悲しい」と、自分の「悲しい」が同じとは限りせん。相手に関心を寄せることで「自分と同じことではないことがら」に気付きます。「なにがあったの?」「いまのどういうこと?」「どんな風に感じたの?」「何がそんな風に思うきっかけになったのかな」「具体的には?」相手に関心を寄せるということは、単に事実関係を把握する事ではありません。相手の状態、気持ちを受止めることが大事なのです。

 

(4-2)相手の気持ちになって

相手の状態、気持ちをそのまま受け止めるには、自分の中にまっさらのスペースを確保する必要があります。でも、自分の考えをまっさらにするなんて、自然発生する評価やジャッジを「無」にすることは訓練を積んでいても難しいものです。

 

そこで、ちょっとイメージトレーニング、《自分の中で、自分を想像してみる。そして、想像した自分をそのまま脇に移動してみる。すると、今自分がいた所に何もなくなります。》というイメージを、実際に頭の中でおこなってみてください。

 

それだけで、自分の中に広いスペースが出来上がったように感じます。まっさらになったスペースに相手の言葉、表情、状態、気持ち、相手の話そのままをおいてみる。相手の気持ちになるということは【まっさらになった自分のスペースに、相手の言葉、表情、状態、気持ち、相手の話そのままをおいてみる】ことを『自分の中においてみたよ』と共有することなのです。同じ気持ちになることではありません。

 

(5)真剣に聴く

『あなたが話してくれたことを、こんな風に解釈したけれど、それで合っている?』という確認の質問は時には必要です。『あなたから受け取っ...

技術マネジメント

 

1.傾聴を知っているし、学んだことがある?

管理職やリーダーなど役職につけば、研修などで『傾聴』を学ばれるかと思います。またカウンセリングに興味を持って個人で勉強される方もいらっしゃるかもしれません。ところが、学んで理屈が理解できても、実際にはうまくいかないな。と感じられることはないでしょうか。あるいは「理解したから大丈夫。」「緊急を要することでもないし。」「普段の感覚で困っていない。」「ある程度大人なんだから、既に身についているし。」など「知識」で止めてしまってはいないでしょうか。

 

傾聴を身につけて、場面で切り替えられれば、コミニュケーションが円滑になるだけでなく、信頼関係が築けたり、困っている人の助けにもなります。今回は、傾聴を実際に使うためのポイントをお伝えします。

 

2.部下の話を聴けていますか? -傾聴のすすめ- 

部下の話を聴くときに役立つ考え方やポイントについて、傾聴の基本的態度、傾聴の効果、傾聴のポイントを解説します。

 

(1)聴く態度としての『傾聴』

傾聴が発揮される場面は、悩みや相談などが持ち掛けられた時、何か訴えがあったり、聴いて欲しいことがあると頼られるなど、相手が問題(課題)を抱えている時です。時には、こちらから何かを感じて声掛けで始まる場合もあります。この時『話を聴く態度』が重要になります。

 

傾聴』は「話を聴く態度を身につけること」なのです。言葉としては理解できますし、おそらくどうすれば良いのか経験則で出来る気がします。しかし、会話が終わって相手の反応を見ると、どうも効果のイメージが違う。または、上手く出来たり できなかったりで「ムラ」がある。仕方ないな。でおわってしまうのは残念です。

 

(2)『傾聴』のむずかしいところ

(2-1)スキルだということ。

スキルとは、一般的に「技能(技術的な能力)」を意味する語であり、とりわけ「訓練や学習によって培われた能力」が必要になります。つまり、座学や、eラーニングによって、頭で理屈を理解したとしても、自分の態度として行動にうつせるようになるためには、理解したことを意識して繰り返し経験することが不可欠なのです。経験値が増せば、対処にも余裕がうまれ、結果も安定してきます。

 

(2-2)会話の軸は相手にあることを忘れてしまう。

日常的な会話は、応答というラリーですから、自分の意見や考えが大事になります。しかし、傾聴は言葉の通り「(相手の言葉に)耳を傾ける」ことなので「自分の考え」は必要ありません。それなのに、いつの間にか自分に軸が移ってしまうのです。

 

よく「先入観を持たないことが大切」といわれます。もっと直球に訳すと「自分の個人的な価値観」や「自分が考える基準」「これまで培ってきたこだわり」「性格による反応」などは『傾聴』にとっては邪魔ということなのです。

 

(3)真剣に聴けば聴くほど

傾聴の基本的な態度は、相手の話を真剣に聴く。相手の気持ちになって聴く。「この人は今どんな気持ちでこの話をしているのだろう」と関心を寄せる。などが良いとされます。けれど、基本的な態度で真剣になって聴けば聴くほど、相手から受け止めた言葉に自分の心が動きます。関心を寄せているから、あれこれと考えを巡らせます。動く振れ幅こそが「自分」。

 

「自分は必要ない」とは矛盾しているのでは??

 

ところが、自分の心が動けば、振れ幅が大きくなるほど、相手の話に集中できなくなります。自分というフィルタがあることで、逆に相手の話を真剣に聴けなくなってしまうのです。傾聴の基本は「聞くに徹する」と知っているから、最初は相手の言葉にじっと耳を傾けて聴いています。しかし、言葉の一つ一つ 流れを聴いているうちに、話の手掛かりが見えてきます。すると、自分の心はざわつき始めます。

 

「その話知ってる。わかる。」「かわいそうだなぁ」「私も同じようなことがあった」「そんなことで悩んでいるの?」「仕方がないのでは?」「それあなたの方が悪いのでは?」「こうしたら良いのでは?」「自分だったらこうする。」・・・・・・

 

頭の中は、やがて「(この問題・課題に対する)自分の思い、相手へのジャッジ」でいっぱいになります。相手の話を聴いているつもりが、いつの間にか「自分の考え」に軸が移り、相手の話に集中できなくなってしまうのです。やがて我慢できなくなり、望まれてもいない評価やアドバイスという自分事で会話を主導してしまえば、相手は消化不良のまま、こちらの言い分を納得するしか、会話を終わらせることが出来ないことを、残念に思うかもしれません。

 

たとえ黙って聴いていても、もはや軸は相手ではなく自分。評価や納得で自分の中は解決できて、同情で終わり。哀しいことに、こちら側の態度は非言語で相手に伝わってしまいます。やはり相手は消化不良のまま。気持ちが良くなったのは自分だけ。という結果になりかねません。

 

(4)関心を寄せ、相手の気持ちになって、真剣に聴く

(4-1)相手に関心を寄せる

相談者は必ずしも、発している言葉の全てが本音や真実とは限りません。むしろ、言葉の含み、裏、くみ取って欲しい言い換え、非言語に隠されていることが多いのです。どんなに信頼している間柄であっても、言いにくいことを勇気を持って話しているので、表現は消極的になります。その矛盾、違和感を感じ取ることが大事です。矛盾や違和感は、ごまかしたり、避けたいと思っている気持ち、混乱してうまく表現できなかったりして、実は本人が感じていることかもしれません。

 

同じ「悲しい」という言葉でも、異なる環境、生き方をしている相手の「悲しい」と、自分の「悲しい」が同じとは限りせん。相手に関心を寄せることで「自分と同じことではないことがら」に気付きます。「なにがあったの?」「いまのどういうこと?」「どんな風に感じたの?」「何がそんな風に思うきっかけになったのかな」「具体的には?」相手に関心を寄せるということは、単に事実関係を把握する事ではありません。相手の状態、気持ちを受止めることが大事なのです。

 

(4-2)相手の気持ちになって

相手の状態、気持ちをそのまま受け止めるには、自分の中にまっさらのスペースを確保する必要があります。でも、自分の考えをまっさらにするなんて、自然発生する評価やジャッジを「無」にすることは訓練を積んでいても難しいものです。

 

そこで、ちょっとイメージトレーニング、《自分の中で、自分を想像してみる。そして、想像した自分をそのまま脇に移動してみる。すると、今自分がいた所に何もなくなります。》というイメージを、実際に頭の中でおこなってみてください。

 

それだけで、自分の中に広いスペースが出来上がったように感じます。まっさらになったスペースに相手の言葉、表情、状態、気持ち、相手の話そのままをおいてみる。相手の気持ちになるということは【まっさらになった自分のスペースに、相手の言葉、表情、状態、気持ち、相手の話そのままをおいてみる】ことを『自分の中においてみたよ』と共有することなのです。同じ気持ちになることではありません。

 

(5)真剣に聴く

『あなたが話してくれたことを、こんな風に解釈したけれど、それで合っている?』という確認の質問は時には必要です。『あなたから受け取ったものは(自分のまっさらのスペースに置いたものは)、これとこれとこれがあるよ』

 

確認の質問や『あなたが置かれた状態はこんな風なこと?』とこれまでの話を要約することは、相談者自身を鏡のように写し返すことになります。同じ部分、違う部分が明らかになっていきます。相手は言葉を変えたり、足したりして、最初の表現から、研ぎ澄まされたり、修正されたりして変化します。その様子を観察し、新たな情報を自分のスペースに並べてみて、確認の質問や要約を繰り返す。

 

自分の知りたいを満足させる質問が続くと、軸は相手でなくなります。真剣に聴くとは、一貫して相手に心を寄せることなのです。

 

3.まとめ

関心を寄せ、相手の気持ちになって、真剣に聴く。順番はこの限りではありませんが、傾聴の態度によって、相談者は、自分の言葉を、自分の耳で聞くことで、自分に集中でき、考えを整理したり、新たな発見をすることが出来るようになります。問題や悩みを抱えた相談者自身が、自分で気付くことが大事なのです。

 

意見を求められたり、アドバイスが欲しいと言われない限り、相談された者のの役目は相手の棚卸しに付き合うのだと徹しましょう。傾聴が必要な場面では積極的に切り替えて、経験を重ねていきましょう。

 

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関連解説記事「相手の立場に立って考える」こと 

 

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この記事の著者

増田 好美

ビジネスパーソンの「気持ち」に寄り添う元エンジニア

ビジネスパーソンの「気持ち」に寄り添う元エンジニア


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