計測信頼性の評価全般の課題 計測の精度と不確かさとは(その3)

 
  

【計測の精度と不確かさとは 連載目次】

 

「計測の精度と不確かさとは(その1~2)」では、“精度”に関する用語の定義がまちまちであること、計測条件の影響を見積もることが難しいことを解説しました。今回は、それ以外のいくつかの課題を挙げ、“精度”をベースとした計測信頼性の評価法全般の課題について解説します。

 

【この連載の前回:計測の精度と不確かさとは(その2)へのリンク】

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

 

3.「精度」の課題

(1)「精度」の定義

“精度”の定義には、次のような矛盾があることが知られています。(以前から理解されていましたが、用語の使いやすさから、慣用的に使われてきています。)このことは、何を“真値”とするかという前提をあいまいにすることになります。

 

◆「精度」は測定できない

 

◆「真値」の定義が不明確

 

(2)「精度」の計算・表現方法

通常、精度は範囲の大きさで表現されますが、

といった内容について、どのように計算を行えば良いか、またそれをどのように表現すればよいかという規定はありません。このことは、計測の信頼性の状況を理解し、それを外部と共有していく場合に不都合が生じます。

 

(3)「精度」の課題

これまでの説明から、計測の信頼性を見る上で、“精度”という概念をベースとした方法では、次の点が課題となり、評価の厳密性が担保されにくい状況になっていることが分ります。

 

こうした状況は、例えば次のような高い精度を求められるアプリケーションに関して問題となり、ビジネスの進歩やグローバル化...

の要求に応えていくことができなくなります。そうした状況が、次回以降に説明する新たな計測の信頼性評価の枠組みにつながります。
  • 生産量の取引に計測値が使われる場合
  • 常用校正検測器の校正を行う場合
  • 試験結果が公的試験や値付けなどに用いられる場合

 

次回に続きます。

 

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