ヒューマンエラーヒューマンエラーとは、人為的なミスのことで、意図しない結果に至った行動や考え方をいいます。このヒューマンエラーが事故・トラブルを引き起こします。
1. ヒューマンエラーの4つのパターン
どんなヒューマンエラーがあるのでしょうか。ここでは、4つのパターンに分類します。
① ルールを知らなかった、知っていたができなかった、納得していない
これは、ルールに対する知識・スキル・理解が不足してことに起因します。ルールには、社内のものから国や地方自治が取り決めたものがあり、知らなかった・できなかったでは済まされません。
「知らないことはやらない」「自信のないことは必ず確認する」ということの徹底が必要です。「今さら聞けない」「つまらない質問をするんじゃない」という空気がヒューマンエラーを助長します。それを避けるために、どんな質問でも受け入れるという環境づくりが大切です。
② ルールを知っていたが、わざとやらなかった(違反、大丈夫感覚)
これは、ベテランや自信過剰な人に見受けられます。また、ルールを守らなければならないと知っていても、面倒だと感じると、手順を省きたくなります。しかし、これは明らかな違反ですが、なぜこんなことが起こるのでしょうか。それは「誰も見ていないし、このくらいなら大丈夫」と違反行動を勝手に正当化するからです。
この「大丈夫感覚」が大事故や不祥事の温床となっています。もし、守りにくいルールがあれば、何か無理があるかもしれません。チームで話し合って、みんなが守りやすいルールになるように改善してください。
③ 失念
我々は必要なことをやり忘れるという「ボケ」を繰り返して失敗します。歳に関係なく忘れるわけですから、忘れないように努力することよりも、忘れることを前提に対策を講じることが必要です。
たとえば、何かを思いついたときはメモを取るとよいでしょう。また、少しの「間」を持つことで、振り返り確認できます。忘れることを前提とした失念対策を習慣にしてください。
④ 錯覚、勘違い、思い込み
この3つは表現が異なりますが、同じような現象です。これによって、間違ったことをやってしまうわけで「ドジ」を踏むとはこのことです。
この現象には、個人差があるので1人で対応せず、チームで様々な視点を持って対策することが必要です。なぜ錯覚、勘違い、思い込みが起こったのか、どういう落とし穴にはまったのか、ぜひ振り返ってください。この振り返りが、将来のトラブルを未然に防ぐ対策となります。
では、なぜヒューマンエラーが起こるのでしょうか。それは、人間の習性と脳の認識のクセに起因しています。
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2. ヒューマンエラーを誘発する人間の習性と脳のクセ
習性1:過去を振り返りたくない
我々は、過去の失敗やトラブルに対して嫌な記憶があると、思い出したくもないし、振り返ろうとはしません。失敗体験を振り返らないと、また同じことを繰り返します。過去の失敗を風化させないためにも、しっかり過去を振り返りましょう。
習性2:考えたくないことは考えない、見たくないものは見ない
我々はこの習性のおかげで、正しい判断ができないことがあります。たとえば、ある問題が起こって、自社に原因があるとは考えたくないので、他社を疑うわけです。
しかし、順序としては、他社に責任を転嫁する前に、まずは自社内に問題はないかを調べることが優先するべきです。その方が、正しい原因を究明するために、他社の協力を得やすくなります。
脳のクセ1:部分だけを取り出す
我々は全体を見ているようで、実は脳が認識しているのは一部分です。みなさんは、手元に探し物があるのに、それが見えない・認識できないことを経験したことがあると思います。1人で対応せず、チームで様々な視点から、全体を俯瞰することが大切です。
脳のクセ2:過去の記憶とつなげる
我々は過去の記憶に引きずられて、今起こっていることを正しく認識できないことがあります。過去の強い印象が「勘違い」「思い違...