【短期開発プロセスのしくみづくり 連載目次】
今回は短期開発プロセスのしくみ構築についてご紹介します。この内容は商品企画から開発設計までのプロセスを持つ事業体(主に加工・組立産業)の取り組み事例に基づいたものです。
まず初めにこの活動の目的ですが「開発プロセスの一本化と思想の統一化及び、プロセス管理の充実化を図ることにより、市場環境の変化を先取りした短期開発の体制すなわち[しくみ]をつくること」です。ここでいう開発プロセスというのは商品企画から開発設計そして上市(発売)までのプロセスであり、場合によっては初期流動管理解除までを指しています。
短期開発プロセスへのアプローチは、開発業務の価値向上を通じて開発リードタイムの短縮を図っていきます。リードタイムが長くなる理由のひとつは、開発に伴う関連業務が理想的に機能せず、業務価値が低下していることです。そしてその結果、次のような現象を引き起こしています。
・顧客要求を正確に捉えられぬまま設計するため、詳細スペックの摺合せ時に食い違いが生じ開発プロセスに後戻りが起きている。
・商品企画時の企画要求がすべて必須事項とされているために、余計な設計(不要な仕様、過剰な仕様条件)に手間がかかる。
・商品企画時に機能アップコストの検討が十分に行なわれていない為、設計時にコストの追求、克服に時間がかかり過ぎてしまう。
・コスト低減開発のノウハウがなく、目標コストに落とし込むまでに多大な労力と時間を要する。
・部品の共通化、標準化、モジュール化が遅れており、特殊仕様を増やしてしまうので、設計工程や設計検証に過剰に時間が費やされてしまう。
・加工性、組立性、施工性を考慮した設計をしていないために、製造リードタイムが長くなってしまっている。
・設計検証(DR、試作、FMEAと評価判断 等)のやり方進め方が悪いとか、評価基準が曖昧或いは守られていない等で、評価に時間がかかってしまう。
・開発時に出来の良い試作品を造ってしまうために、量産試作時での問題対策に追われ、立ち上げが遅れてしまう。
・設計変更が多く、その処理、手続きに多くの時間が費やされる。
・開発設計に時間が掛かり、品質評価が十分に出来なかったことによる出荷後のクレーム対応に時間を取られてしまう。
・技術情報が活用できる状態に整備されていない為に、都度設計をしている。
・開発業務におけるコミュニケーションが悪く・・・ 云々
この...