物流営業と顧客満足 提案型物流営業の基本(その3)

投稿日

 SCM

(1) 価格競争になるお願い営業

 「自社に輸送業務を発注して下さい」とか「自社の物流倉庫を使って下さい」というお願い営業は余程特色があるか付加価値が高いかでない限り、「価格競争」になります。なぜならこのような物流商品はどこでも買える「コモディティ」だからです。
 
 お客様(荷主)が真に求めているのは付加価値の高い物流商品なのです。では「コモディティ」ではない物流商品をどのように開発していったらよいのでしょうか。
 

(2) 物流業務とストーリーの組み立て

 先日ある物流会社を訪問してきました。この会社は「ワインの配送業務」に特化しています。特に大手ホテルやレストラン向けに輸入高級ワインを届ける業務を実施しているのです。ワインは一定の温度管理を行うことで品質が保たれます。その基準が摂氏15度なのですが、サプライチェーン全体でそれを保つように設計されています。
 
 見た目では品質の劣化がわかりにくいため、お客様はこの物流会社に物流管理を委託することで品質の担保を図っているとのことでした。ワインの絵が描かれたこの会社のトラックを店舗に横付けすることが一つのステータスにまでなっているそうです。
 
 ここまでお客様に信頼されれば評判が口コミで伝わります。あえて「お願い営業」をしなくても顧客が広がっていくでしょう。物流に限りませんが、このような状態をつくることが理想だと思います。
 
 この会社はレストランでお客様が高品質ワインを楽しまれるといった、「非日常」をつくることを支援しているのです。いわゆる「夢」を提供していると言えるでしょう。
 
 「物流」を売るのでは...
 SCM

(1) 価格競争になるお願い営業

 「自社に輸送業務を発注して下さい」とか「自社の物流倉庫を使って下さい」というお願い営業は余程特色があるか付加価値が高いかでない限り、「価格競争」になります。なぜならこのような物流商品はどこでも買える「コモディティ」だからです。
 
 お客様(荷主)が真に求めているのは付加価値の高い物流商品なのです。では「コモディティ」ではない物流商品をどのように開発していったらよいのでしょうか。
 

(2) 物流業務とストーリーの組み立て

 先日ある物流会社を訪問してきました。この会社は「ワインの配送業務」に特化しています。特に大手ホテルやレストラン向けに輸入高級ワインを届ける業務を実施しているのです。ワインは一定の温度管理を行うことで品質が保たれます。その基準が摂氏15度なのですが、サプライチェーン全体でそれを保つように設計されています。
 
 見た目では品質の劣化がわかりにくいため、お客様はこの物流会社に物流管理を委託することで品質の担保を図っているとのことでした。ワインの絵が描かれたこの会社のトラックを店舗に横付けすることが一つのステータスにまでなっているそうです。
 
 ここまでお客様に信頼されれば評判が口コミで伝わります。あえて「お願い営業」をしなくても顧客が広がっていくでしょう。物流に限りませんが、このような状態をつくることが理想だと思います。
 
 この会社はレストランでお客様が高品質ワインを楽しまれるといった、「非日常」をつくることを支援しているのです。いわゆる「夢」を提供していると言えるでしょう。
 
 「物流」を売るのではなく、「夢」を売っているのです。素晴らしいことだと思いませんか。これは決して飛躍したことを言っているのではありません。いかに「楽に営業できるか」を言っているのです。
 
 私たちは一般的に「営業は辛いもの」だという発想を持っています。しかし、考え方を変え、お客様に喜んでいただけるストーリーを組み立て、その過程で物流業務を行うとしてみてはいかがかと思います。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その9)

第9回 道具6「現地スタッフ教育マニュアル」 前回のその8に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地スタッフの実...

第9回 道具6「現地スタッフ教育マニュアル」 前回のその8に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地スタッフの実...


サプライチェーンにおける収益向上のメカニズム

 オペレーションの連携、すなわちシンクロナイゼーションがサプライチェーンマネジメントの課題です。一般的なジャストインタイムの定義は、必要なものを、必要な時...

 オペレーションの連携、すなわちシンクロナイゼーションがサプライチェーンマネジメントの課題です。一般的なジャストインタイムの定義は、必要なものを、必要な時...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その4)

「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」その4は、前回に続いて、急激な売れ行き、急激な下降の時のアクションを、解説します。今回は、前回のその3で述...

「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」その4は、前回に続いて、急激な売れ行き、急激な下降の時のアクションを、解説します。今回は、前回のその3で述...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流事業者連絡会:物流協力会社の育て方(その2)

   少し会社が大きくなると受注した営業所と送り先の営業所が異なり情報連携がおろそかになることが考えられます。着荷主から指摘されて初めて誤...

   少し会社が大きくなると受注した営業所と送り先の営業所が異なり情報連携がおろそかになることが考えられます。着荷主から指摘されて初めて誤...


現場を知らない人に見てもらう 新鮮な目で物流現場を見る(その1)

◆ 改善のネック「固定観念」  先日とある物流現場を見に行った時のことです。新たに赴任したセンター長が物流現場の問題点を指摘し、改善案を提案されまし...

◆ 改善のネック「固定観念」  先日とある物流現場を見に行った時のことです。新たに赴任したセンター長が物流現場の問題点を指摘し、改善案を提案されまし...


契約の委託内容とは 物流会社と荷主会社の役割(その3)

  ◆ アウトソースで変わる役割  荷主会社側の業務効率を向上させるためには、物流会社がタスクの幅を広げて対応するものだと考えても良いで...

  ◆ アウトソースで変わる役割  荷主会社側の業務効率を向上させるためには、物流会社がタスクの幅を広げて対応するものだと考えても良いで...