儲かる物流商品とは 利益率を確保する物流会社の取組(その1)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

◆ 利益の出る会社と出ない会社

 前回もお話させていただきました通り、コモディティ化された物流商品では他社と違いが出ないため価格競争になります。顧客からすれば差が無いのであれば最安値で提供してくれる会社に発注するのは当然のことでしょう。我が国の物流会社の利益率は2%前後だといわれ、他産業に比べ決して高い率だとはいえません。なぜこのような率になってしまっているのでしょうか。

 一方で6%以上の利益率を稼ぎ出している会社もあります。この違いはどこにあるのでしょうか。その理由の一つに取り組む仕事の違いが挙げられます。比較的利益率の高い会社はコモディティ商品以外の物流を実施しています。例えば物流コストというよりも品質を重視する荷主の仕事です。

 その典型が精密機械といった極めて高い水準の輸送品質を求める荷主の仕事です。こういった荷主は物流品質の高い会社からサービスを提供してもらいます。

 求める物流品質レベルが高度なため、それに対応可能な物流会社だけが取引先となります。そうなるとどこでもできるという仕事ではなくなるため、それができる企業は高い値で売れることになるのです。またリバース物流のようにあまり他社がやっていない物流を進んで実施するような会社も比較的高利益を享受しているようです。

 つまり他社より一歩進んだ工夫やちょっとした努力、そして柔軟な発想を持った企業が利益を出せているということでしょう。

 よく物流会社で「燃料費が上がったものの荷主からその分回収できない」、「荷主の無理難題を引き受けるために収益が上がらない」などといった「泣き言」ばかりを聞くことがあります。気持ちは分からないでもありませんが、それを言ったところで解決にはなりません。経済状況などの条件はどこの会社でも同じです。

 愚痴をいうくらいな...

サプライチェーンマネジメント

◆ 利益の出る会社と出ない会社

 前回もお話させていただきました通り、コモディティ化された物流商品では他社と違いが出ないため価格競争になります。顧客からすれば差が無いのであれば最安値で提供してくれる会社に発注するのは当然のことでしょう。我が国の物流会社の利益率は2%前後だといわれ、他産業に比べ決して高い率だとはいえません。なぜこのような率になってしまっているのでしょうか。

 一方で6%以上の利益率を稼ぎ出している会社もあります。この違いはどこにあるのでしょうか。その理由の一つに取り組む仕事の違いが挙げられます。比較的利益率の高い会社はコモディティ商品以外の物流を実施しています。例えば物流コストというよりも品質を重視する荷主の仕事です。

 その典型が精密機械といった極めて高い水準の輸送品質を求める荷主の仕事です。こういった荷主は物流品質の高い会社からサービスを提供してもらいます。

 求める物流品質レベルが高度なため、それに対応可能な物流会社だけが取引先となります。そうなるとどこでもできるという仕事ではなくなるため、それができる企業は高い値で売れることになるのです。またリバース物流のようにあまり他社がやっていない物流を進んで実施するような会社も比較的高利益を享受しているようです。

 つまり他社より一歩進んだ工夫やちょっとした努力、そして柔軟な発想を持った企業が利益を出せているということでしょう。

 よく物流会社で「燃料費が上がったものの荷主からその分回収できない」、「荷主の無理難題を引き受けるために収益が上がらない」などといった「泣き言」ばかりを聞くことがあります。気持ちは分からないでもありませんが、それを言ったところで解決にはなりません。経済状況などの条件はどこの会社でも同じです。

 愚痴をいうくらいなら荷主と交渉する、新たな仕事を取りに出掛ける、他社と差がつく儲かる物流商品を生み出すといった前向きな取り組みに時間とエネルギーを割いた方がよろしいかと思います。

 さてここでいう「他社と差がつく儲かる物流商品」ですが、その範囲は今までの仕事の領域から一歩外に出たところにあると考えられないでしょうか。つまり物流商品といいつつも、実態は物流である必要はないということです。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
精度確保のキー『ブルウィップの克服』 SCM最前線 (その9)

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その7)

1.韓国の事例    前回のその6に続いて解説します。今回使用するデータは「読者が理解しやすい」を前提に、数字は円表示するとともに多少まるめ...

1.韓国の事例    前回のその6に続いて解説します。今回使用するデータは「読者が理解しやすい」を前提に、数字は円表示するとともに多少まるめ...


物流改善ネタ出し講座 【連載記事紹介】

  物流改善ネタ出し講座の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載記事紹介の一覧へ戻る ◆物流は宝の山 「物流は宝の山だ...

  物流改善ネタ出し講座の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載記事紹介の一覧へ戻る ◆物流は宝の山 「物流は宝の山だ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
日本の物流の向かう道(その2)

 前回のその1に続いて解説します。   ◆新たな視点での学問と物流人財  今後、日本の人口は確実に減少します。高齢化も加速します。このままでは日...

 前回のその1に続いて解説します。   ◆新たな視点での学問と物流人財  今後、日本の人口は確実に減少します。高齢化も加速します。このままでは日...


  営業利益と物流コスト:会社で物流を意識するということ(その1)

  ◆営業利益と物流コスト 会社の製品企画とか製品開発、それの生産や販売についても常に話題になります。しかし物流となると、それ単独で論議...

  ◆営業利益と物流コスト 会社の製品企画とか製品開発、それの生産や販売についても常に話題になります。しかし物流となると、それ単独で論議...


物流方針とは

1. 物流の方針転換  物流改善を進める前に会社の物流方針を明確にしておく必要があります。この方針がしっかりとしていないと今後の仕事の仕方にぶれが出...

1. 物流の方針転換  物流改善を進める前に会社の物流方針を明確にしておく必要があります。この方針がしっかりとしていないと今後の仕事の仕方にぶれが出...