経営指標の管理とは 物流KPIについて(その1)

投稿日

SCM

 

 物流業では特にKPI( Key performance indicator )管理が苦手のようです。ビジネスを実施していく際には、その状態を正しく示す重要経営指標のKPIが必要となります。これなしにビジネスを進めることは暗闇で、当てもなくさまようようなものだからです。売上高や経費、利益の把握はできていたとしても、それにつながる従業員一人当たりの売上高やトラック一台あたりの利益といった管理指標を持つ会社は少数派です。

 今回は、物流をマネジメントするためのKPIについて解説します。

◆ 結果系KPIと要因系KPI

 KPIには仕事が終わった結果見えてくるKPIと、その結果につながるプロセスで見えてくるKPIの二種類があります。

 前者を「結果系KPI」、後者を「要因系KPI」と呼びます。この二つのKPIの関係は要因と結果ということになりますから、結果をよくするためには要因系KPIをしっかりと向上させていく活動が重要だということになります。

 例えば結果系のKPIとして「トラック一台当たりの利益」を持ったとしましょう。これを向上するためには運行経費を縮める必要があります。その経費の一つとして、トラックドライバーの給与というものがあります。残業が増えれば給与が増え、利益が減る方向になります。

 ということで「一運行あたりの残業時間」というKPIが考えられます。この残業をKPIとして見える化することで残業圧縮につなげたいところですが、必然的に残業が発生してしまう要因があるとしたら、それについても見える化してウオッチしていくことが求められます。

 残業発生の大きな要因が発荷主構内における「待ち時間」です。指定された時刻に積み込みに行っても、積荷が揃(そろ)っていないことから待たされる場合があります。この点を解消しない限り、ドライバーの残業は圧縮できないことになるのです。

 「コース別トラック待機時間」というKPIを設定し、日々管理していきましょう。具体...

SCM

 

 物流業では特にKPI( Key performance indicator )管理が苦手のようです。ビジネスを実施していく際には、その状態を正しく示す重要経営指標のKPIが必要となります。これなしにビジネスを進めることは暗闇で、当てもなくさまようようなものだからです。売上高や経費、利益の把握はできていたとしても、それにつながる従業員一人当たりの売上高やトラック一台あたりの利益といった管理指標を持つ会社は少数派です。

 今回は、物流をマネジメントするためのKPIについて解説します。

◆ 結果系KPIと要因系KPI

 KPIには仕事が終わった結果見えてくるKPIと、その結果につながるプロセスで見えてくるKPIの二種類があります。

 前者を「結果系KPI」、後者を「要因系KPI」と呼びます。この二つのKPIの関係は要因と結果ということになりますから、結果をよくするためには要因系KPIをしっかりと向上させていく活動が重要だということになります。

 例えば結果系のKPIとして「トラック一台当たりの利益」を持ったとしましょう。これを向上するためには運行経費を縮める必要があります。その経費の一つとして、トラックドライバーの給与というものがあります。残業が増えれば給与が増え、利益が減る方向になります。

 ということで「一運行あたりの残業時間」というKPIが考えられます。この残業をKPIとして見える化することで残業圧縮につなげたいところですが、必然的に残業が発生してしまう要因があるとしたら、それについても見える化してウオッチしていくことが求められます。

 残業発生の大きな要因が発荷主構内における「待ち時間」です。指定された時刻に積み込みに行っても、積荷が揃(そろ)っていないことから待たされる場合があります。この点を解消しない限り、ドライバーの残業は圧縮できないことになるのです。

 「コース別トラック待機時間」というKPIを設定し、日々管理していきましょう。具体的な待機時間の数値データが無い限り、荷主に申し入れをしても耳を傾けてくれないでしょうから、このデータを日々把握することは、後々大きな武器にもなり得ます。

 

 会社経営の数字をよくするためには、それを構成する仕事単位にKPIを設定し、結果につながる要因系KPIを向上させていく活動を行っていくことが求められます。

 では具体的にどのようなKPIを設定していったらよいのかについては、次回に解説致します。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
物流不良撲滅 物流品質の向上 (その4)

1.工場の評判を落とす出荷品質不良  前回の第3回に続いて解説します。工場におけるものづくり品質は不良が起こりにくい工法を生産技術部門で開発し、それ...

1.工場の評判を落とす出荷品質不良  前回の第3回に続いて解説します。工場におけるものづくり品質は不良が起こりにくい工法を生産技術部門で開発し、それ...


バリューチェーンとは

   企業活動は製造業であれ、流通サービス業であれ、物の流れであるサプライチェーンを経ながら付加価値が加わっていき、このことをバリューチェ...

   企業活動は製造業であれ、流通サービス業であれ、物の流れであるサプライチェーンを経ながら付加価値が加わっていき、このことをバリューチェ...


サプライチェーン構築における計測と配置の重要性

1.連続したモニタリング   車の運転やスポーツをしている時は、常にリアルタイムかつ連続して状況判断・計画・実行が行われています。生産・販売の...

1.連続したモニタリング   車の運転やスポーツをしている時は、常にリアルタイムかつ連続して状況判断・計画・実行が行われています。生産・販売の...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
社員の意識改善と物流改善

1. 改善活動のスタート  「全社で物流改善を推進しよう」このようにトップが意気込んで改善の取り組みをスタートすることがあります。まずはトップの意気...

1. 改善活動のスタート  「全社で物流改善を推進しよう」このようにトップが意気込んで改善の取り組みをスタートすることがあります。まずはトップの意気...


喜ばれる物流サービスとは

1. 運送事業者の提供するサービス  物流事業者の場合は荷主が「お客様」、社内で物流を担当している部署の場合には物流の恩恵を受ける部署が「お客様」と...

1. 運送事業者の提供するサービス  物流事業者の場合は荷主が「お客様」、社内で物流を担当している部署の場合には物流の恩恵を受ける部署が「お客様」と...


製造会社の物流 ものづくりと物流の同期化(その1)

◆ 生産開始前の工程設計  製造会社の中では、まだまだ物流の地位が低いケースが散見されます。とにかく調達したものをラインに運ぶことと、できあがった製...

◆ 生産開始前の工程設計  製造会社の中では、まだまだ物流の地位が低いケースが散見されます。とにかく調達したものをラインに運ぶことと、できあがった製...