スマートタウン :新環境経営 (その31) 

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 これまでは、環境経営の視点で、過去に積み上げられてきた知恵を整理してきましたが、これからは、それら知恵の基盤の上に、ICTの支援を受けて、更に効率よく、同じ間違いを繰り返さないことを実現する時代に入りました。前回からスマートXXXXです。初回はスマートハウス、前回はスマートグリッド、今回はスマートタウンです。
 

1. スマートタウン

 積水ハウスは、日本初のスマートタウンと称する分譲地域「スマートコモンシティ明石台」(宮城県富谷町)の街づくりを行いました。ゼロ・ネット・エネルギー(発電量と消費電力の差し引きゼロ)を狙い、すべての住宅が太陽光発電システムや省エネ機能、HEMS(ホームエネルギー管理システム)を備えています。加えて、全体の3分の2の住宅が燃料電池を備え、約25%の住宅が蓄電池を備えています。蓄電池を導入している住宅は、分譲時にあらかじめ決まっており、隣接する土地の間に広い道路があったり、隣に空き地がある住宅が対象。災害時などに周辺の住民が集まりやすく、災害時に停電しても灯りが途絶えないよう考慮されています。又、災害時は地域コミュニティの自主的な活動によって住民の安心感が左右されるので、自治会の活動に対する支援も配慮されています。スマートコモンシティ明石台の計画は、2011年3月の東日本大震災以前に構想されていましたが、震災を受けて分譲の時期を前倒ししました。このように、街全体で省エネ、創エネ、畜エネを行い、ICTで賢く制御する取り組みが、全国で始まっています。
 

2. スマートタウンの意義

 太陽光発電と燃料電池のダブル発電や、太陽光発電+蓄電池で、エネルギー自給自足の自立型住宅を中心とした街ができますと、エネルギーを専ら消費し、電気は電力会社から買ってくるという、これまでの経済の仕組みが根本的に変わることになります。過去は電力会社が所有する送電網を前提に、電力会社から電気を買ったり、余剰電力を売ったりする仕組みを作ってきましたが、エネルギーの自給自足が実現すると、電力会社と電気の売買をする必要がなくなってくるわけで、スマートグリッド(前回紹介)から切り離されて独立したグリッド(電力の需給点)となります。これをオフグリッドと称します。昨今、メガソーラーで電気を創っても、「電力会社が系統への接続を拒否」している問題も、今後、家庭の太陽光発電の普及率が高まってくると、住宅でも日常的にこの問題が起きてくることになりますが、自給自足、オフグリッド化を進めることが課題解決の一助です。
 
 蓄電池が高価なため、全ての家がエネルギーの自給自足というわけにはいきませんが、電池の技術開発と普及によって蓄電池のコストは確実に安くなるでしょう。又、電気自動車の使用済み電池の流通も2020年以降始まるわけで、それらが相俟って、多くの家で、蓄電池の活用が始まり、エネルギーの自給自足が可能となります。オフグリッドが可能になるわけです。さらに、EVの電池は「動く蓄電池」の役割も果たせるので、「動かぬ家の蓄電池」と「EVの蓄電池」間での電気の融通が、当たり...
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 これまでは、環境経営の視点で、過去に積み上げられてきた知恵を整理してきましたが、これからは、それら知恵の基盤の上に、ICTの支援を受けて、更に効率よく、同じ間違いを繰り返さないことを実現する時代に入りました。前回からスマートXXXXです。初回はスマートハウス、前回はスマートグリッド、今回はスマートタウンです。
 

1. スマートタウン

 積水ハウスは、日本初のスマートタウンと称する分譲地域「スマートコモンシティ明石台」(宮城県富谷町)の街づくりを行いました。ゼロ・ネット・エネルギー(発電量と消費電力の差し引きゼロ)を狙い、すべての住宅が太陽光発電システムや省エネ機能、HEMS(ホームエネルギー管理システム)を備えています。加えて、全体の3分の2の住宅が燃料電池を備え、約25%の住宅が蓄電池を備えています。蓄電池を導入している住宅は、分譲時にあらかじめ決まっており、隣接する土地の間に広い道路があったり、隣に空き地がある住宅が対象。災害時などに周辺の住民が集まりやすく、災害時に停電しても灯りが途絶えないよう考慮されています。又、災害時は地域コミュニティの自主的な活動によって住民の安心感が左右されるので、自治会の活動に対する支援も配慮されています。スマートコモンシティ明石台の計画は、2011年3月の東日本大震災以前に構想されていましたが、震災を受けて分譲の時期を前倒ししました。このように、街全体で省エネ、創エネ、畜エネを行い、ICTで賢く制御する取り組みが、全国で始まっています。
 

2. スマートタウンの意義

 太陽光発電と燃料電池のダブル発電や、太陽光発電+蓄電池で、エネルギー自給自足の自立型住宅を中心とした街ができますと、エネルギーを専ら消費し、電気は電力会社から買ってくるという、これまでの経済の仕組みが根本的に変わることになります。過去は電力会社が所有する送電網を前提に、電力会社から電気を買ったり、余剰電力を売ったりする仕組みを作ってきましたが、エネルギーの自給自足が実現すると、電力会社と電気の売買をする必要がなくなってくるわけで、スマートグリッド(前回紹介)から切り離されて独立したグリッド(電力の需給点)となります。これをオフグリッドと称します。昨今、メガソーラーで電気を創っても、「電力会社が系統への接続を拒否」している問題も、今後、家庭の太陽光発電の普及率が高まってくると、住宅でも日常的にこの問題が起きてくることになりますが、自給自足、オフグリッド化を進めることが課題解決の一助です。
 
 蓄電池が高価なため、全ての家がエネルギーの自給自足というわけにはいきませんが、電池の技術開発と普及によって蓄電池のコストは確実に安くなるでしょう。又、電気自動車の使用済み電池の流通も2020年以降始まるわけで、それらが相俟って、多くの家で、蓄電池の活用が始まり、エネルギーの自給自足が可能となります。オフグリッドが可能になるわけです。さらに、EVの電池は「動く蓄電池」の役割も果たせるので、「動かぬ家の蓄電池」と「EVの蓄電池」間での電気の融通が、当たり前になるでしょう。
 

3. スマートコミュニティ(Smart Community)

 経済産業省は2010年2月に、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を中心として「スマートコミュニティ・アライアンス(JSCA)」を設立しました。スマートコミュニティは「スマートシティ」とほぼ同義ですが、スマートコミュニティは特定範囲の都市(city)ではなく、さまざまな規模のエリアを対象とした呼称として用いられています。個々の住宅を対象としてエネルギーの需給を最適化するスマートハウスを「点」とすれば、スマートコミュニティは一定のエリアを対象として「面」にスマート化するものと言えます。次回は、スマートメーターについて解説します。
 

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この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

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