開発現場にとっては、プロジェクトが増えるとそれらの進捗管理が課題になります。大変なことになる前に進捗管理の仕組みを見直す必要があるでしょう。必要最小限の手間で効率的な進捗管理を実現する方法が今回のテーマです。
1. よくある進捗管理の問題
「全体の状況がわからない」
「進捗を把握するには結局ヒアリングするしかない」
「進捗が本当かどうか判断しづらい」
「遅れの程度がわかりづらい」
「結局問題が大きくなってからしか対応できない」
これらは、進捗管理をしているリーダーやマネジャーからよく聞く不満です。表形式で進捗を管理しているところもあれば、ガントチャート形式で管理しているところもありますが、進捗管理というと個別日程管理が中心となっているプロジェクトが多いと思います。個別作業(タスク)の完了がその予定日から遅れていないかを確認する方法です。
図93. 日程管理
一方、プロジェクト・メンバーからの不満も少なくありません。
「いつもスケジュールしか見ていない」
「とにかくスケジュールを守れとしか言わない」
「遅れそうだといっても真剣に話を聞いてくれない」
この日程管理は、ひとつひとつの作業が遅れているかどうかはわかるものの、全体の状況を把握するのが難しいのです。全体を把握していることが前提の進捗管理方法 ということができるでしょう。マネジメントが「とにかく遅れを取り戻せ」という精神論になりがちなのも無理はないといえます。
2. メトリクス管理
そこで重要になるのが、様々な視点でより複眼的、複合的に進捗を可視化し、適切な判断に結びつけることができる進捗管理です。そのための効果的な方法がメトリクスによる進捗管理です。
メトリクスとは、管理対象を測定して定量化することであり、メトリクスによる進捗管理とは、プロジェクトの状態を把握できる定量化したデータ(管理指標)を整備して複眼的、複合的にプロジェクトを可視化し、適切な判断をするための仕組みです。
すでに、見える化やメトリクス管理の仕組みが整備されているところもありますが、必要以上に手間(工数)をかけていたり、効果に疑問や不満があるという問題を抱えていることも多いと思います。今回は、必要最小限の手間で、かつ効果的なメトリクス管理について紹介します。
ヒューレット・パッカードの R&D 時代からコンサルティングに携わって今日まで、立場は変...