前回は、必要最小限の手間で効率的なメトリクス管理を実現するための3つの技法のうち、2軸管理と基本メトリクスセットについて、進捗管理を中心に事例を紹介しました。進捗管理というと EVM(※1) を利用することが多いかもしれませんが、手間をかけずにわかりやすい進捗管理の仕組みが整備できることをわかっていただけたと思います。(※1)作業の到達度を金銭などの価値に換算したEV(Earned Value:出来高)という概念で把握する方式。
今回は、前回説明できなかった3つの技法の最後となる基準モデルを、事例を交えながら紹介します。
1. 重要な工数収集ツール
前回紹介した基本メトリクスセットとは、4つの指標にフォーカスしてデータ収集することで最小限の手間で効果的な可視化ができるというものでした。この4つの指標とは、工数、タスク、作業成果物、不具合なのですが、実は、なかなか収集することが難しいものがあります。それは工数です。
管理したいプロジェクトのタスク、作業成果物、不具合はアウトプットなので、定量化する対象そのものはあるわけで、メトリクス化することは比較的容易です。しかし、工数はプロジェクトのインプットとなるものであるため、技術者に意識的に記録してもらわないと収集できません。技術者は常に PC に向かって作業しているわけではないので自動収集も困難です。
したがって、工数を収集するためには、できるだけ負担なく工数入力が可能なツールやシステムを技術者に提供することが大切になります。費用を抑えるために Excel で工数を記録してもらっているところは多いと思いますが、使い勝手が悪くてなかなか記録してもらえなかったり、整合性の確保やデータの一元管理が難しく、組織的な運用は手間がかかったりしています。反対に高価なシステムを導入しているところは、入力するデータが多かったり、入力するまでの準備やルールが煩雑だったりで敬遠されてしまっていることが多いようです。帯に短し襷に長しです。
このようなことから、工数入力ツールは、入力データが必要最小限で、入力作業が煩雑ではなく、準備が整うまで入力が待たされるような制限がなく、手軽に入力できるなどの条件を満たすことが大切になります。さらに、プロダクト軸とプロセス軸の2軸で工数を特定できることや、分析に適した柔軟なデータ構造となっていることも大切です。
このような条件に合うツールがないので、次のような特徴の工数入力ツールを提供しています。
・専用アプリではなくウェブ...