書評検索結果

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「第3版品質管理入門」石川馨著

投稿日 2015/05/08

本書は、戦後米国の品質管理を日本流に改良して普及した、第一人者である石川馨晩年の著作です。東大の教授にしては極めて現場主義、人間主義的な内容になっています。400ページを超える大書ですが、全体の4分の1近い第1章「品質管理とは」で品質、製品、管理のあるべき姿、考え方を懇切丁寧に示しています。「製品の責任は経営者にある」から始まり、「教育に始まり教育に終わる」を繰り返し、組織の全構成員に対して不断の努力を求めます。

「ここに書いてることは当たり前のこと」とあるように、統計を解説する部分はさほど多くなく、まさに入門者に対する心構えを説く部分が大半で、26年前の出版でありながら、現代にもそのまま通じる名著です。

「競争優位の製品開発力」ダイヤモンドHB編集部編

投稿日 2015/04/17

本書は「ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス」誌の98年7月号の特集「市場創造の製品開発力」に掲載されたものを中心に、研究開発のマネジメント論文8編を再構成したものです。

論文によって戦略、投資、人財、問題解決など視点が異なっているためそれぞれを興味深く読めるのですが、逆に言えばそれぞれが全体最適を目指しながら、視点が異なれば必然的に活動も違ってくるという矛盾点というか難しい問題が見えてきます。

生産であれば、基本は早く安く良いものを作れば良いわけですが、それに比べると研究開発はそのゴールがやや不確定であり、本書中にも多くの優良事例が提示されるものの、医薬品とIT機器、生活用品と輸送機の研究開発では取るべきアプローチが違ってきます。あらゆる解説、事例を調査しても、現在の自社に完全にフィットするルートが見つかるとは限りません。

どこにいるか分からない青い鳥を探すのをほどほどにして、自社内の現場、現実をしっかり見つめて、アプローチすることが重要に思えてきました。

「品質を上げればコストは下がる」増島勝著

投稿日 2015/04/02

本書はTDKの生産合理化、自動化で大きな成果を上げた著者が、主にセラミック生産プロセスを例に品質の向上とコスト削減の同時実現を経験的に解説したものです。

ここでは実践した方法をIQS(Indigenous Quality System)と呼び生まれながらにして良品ができあがるシステムを志向しています。そのためには高価であっても安定した材料を使って、作業者に依存しない自動生産を構築します。

セラミック部品は典型的な大量生産品ですから、あらゆる工業製品にこの理論が通じるとは思いにくいですが、矮小な品質向上あるいはコストダウン活動ではなく、設計、生産技術を根本から見直すことで、65%コストダウンを実現した考え方と手順は参考になるところがあります。

時間の経過に伴って累積生産量が増加し、品質の安定化とコストダウンとが同時進行する習熟曲線が実現しており、品質とコストは偽相関のように、個人的には思えます。

「新・管理者の判断力」C.H.ケプナー、B.B.トリゴー著

投稿日 2015/03/19

本書は1965年に出版された「管理者の判断力」(原著名Rational Manager)を実際の企業課題解決に適用していく中で、改善を繰り返しながら作り上げていった実践的な方法論の解説書であり、1985年に完成しました。

ということで、第5項に挙げた4つの手順を順次解説するにあたり、非常に多くの事例が挙げられています。

そして最後の2章を、実際に作業をする人間の問題と、組織的な導入について割いています。それは実際に導入しようとすると、論理だけで割り切れないこれらが障害になりがちであるという事を予感させます。

どうもうまく課題が解決できないと悩んでいる組織の管理者、担当者は一度手に取ってみてはいかがでしょう。