書評検索結果

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「Makers」クリス・アンダーセン著

投稿日 2014/10/23

本書は、ITの進展によって販売に行けるパレートの法則をひっくり返した「ロングテール」を2004年に著し、2009年にはさらに情報の無料化を解説した「Free」でもベストセラーを出した筆者が、2012年に出版した著作であり、誰もが製造業になれる時代の到来を書き示しています。

時代を振り返ってみれば、石器時代のものづくりは腕の違いこそあれ、個人がめいめい好きなものを作っていたわけですが、産業革命で動力の利用が始まって以来、製造業は大資本を持つ者の特権になっていました。3Dプリンターの低価格化は、古代の個人的製造の権利を復活させ、資本の大きさではなく、デザイン、設計の良否で、製品価値が判断される
時代が再びやってきたのです。

クリスがその時代を作ったわけではにものの、この新しい時代を的確にいち早く描写したところに、本書の意義があると言えましょう。まだまだMakersの世界は緒に就いたばかりであり、混沌としていますのでここでダッシュした個人、企業には多くのチャンスが拡がっている、そんなことを感じさせる内容です。

「P2M入門」小原重信著

投稿日 2014/10/09

本書は、P2M作成時の中心人物である小原重信氏自らが、P2M初学者に対して分かりやすく解説した書籍です。

第1章では、先生と学生のQ&A形式で、プロジェクトマネジメントの全体像を示し、第2章ではセミナー旅行という身近なプロジェクトを事例に、プロジェクトマネジメントの実践をシミュレーションします。扱われるツールは他の標準と差がありません。

第3章ではP2Mの特徴である「プログラムマネジメント」を説明し、経営戦略思考の重要性を紹介します。

第4章はプログラムマネジメントの成功事例として「S社」が扱われていますが、これはまさに昨日私の「ものづくり経営論」で扱ったセーレンです。繊維産業という構造不況業種にあって、いまだに成長しているS社は低迷する企業経営者に是非とも参考にしてほしい事例ですが、川田社長が改革に着手したのは今から30年前ですから完全に後付けの説明です(^^;)まあ、これを倣って改革できるなら、それで良しとしましょう。

「プロジェクトマネジメント標準 PMBOK入門」広兼修著

投稿日 2014/09/18

本書は、初めてプロジェクトマネジメントが必要になった人、興味を持った人にPMBOKの体系を使って丁寧に解説をしています。

PMBOK原書の単なる要約に留まらず、実例を使って具体的に説明しているため、容易に概要を把握する事が出来ます。A4版500ページのPMBOKを新書版190ページにまとめているため、全貌を網羅するには原書や別のガイドブックが必要となりますが、初めの一歩としては適切でしょう。

小規模なプロジェクトや重要性がさほど深刻でないプロジェクトであればこの本一冊で十分です。むしろ本格的な運用に挫折して何もしないよりは、ずっと良い結果を生み出すに違いありません。

私が持っているのは2005年の初版なのですが、PMBOK第5版が昨年発行されて、この書も今年新版が出ており、どう変わったのかが興味深いところです。

「PMプロジェクトマネジメント」中嶋秀隆著

投稿日 2014/09/02

本書は、プロジェクトマネジメントを始めて学ぶ人にも理解できるようにその工程を10ステップに分解し、それぞれで使われるツールの概要と使用手順、注意事項をやさしく説明しています。

適切な図表を豊富に使っている事と、各章ごとに読者の実プロジェクトを応用する演習を用意していることから、実践的に理解し、使えるようになっていきます。

私が持っているのは2002年の改訂版なのですが、最新版は昨年発行された改訂5版であり、基本構成は不変ながら、変化してゆく規格や市場要求に対応してこまめに追従してゆく姿勢に好感が持てます。

既にある程度実践しているPMにとっては常識的な内容が多いのですが、これから始める初心者には最適な一冊です。