書評検索結果

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「コア・コンピタンス経営」G.ハメル&C.K.プラハラード 著

投稿日 2014/04/16

経営戦略論においてコアコンピタンスという単語は頻繁に出てきます。「企業の核となる優位事項に集中して経営する」というやや保守的なイメージで本書を読み始めましたが、原題はCompeting for the futureで、むしろ没落した一流企業を顧み、現状に満足することなく将来の優位性を獲得するための学習に投資し、戦略的に努力する必要性を説く内容でした。

1994年の出版という事で、日本企業を持ち上げる場面が多いのですが、そこで取り上げた一流企業が今や陥落していく様は、日本企業でも同じであることが証明されているわけです。その点ではクリステンセンの「イノベーションのジレンマ」や、コリンズの「衰退の5段階」に通じる観察があります。

すでに状況が悪化した企業よりは、今絶好調の企業経営人こそが進んで読むべき一冊と言えるでしょう。

「イノベーションへの解」クリステンセン 著

投稿日 2014/04/02

Amazon.comのジェフ・ベゾスCEOが、経営幹部に必ず読ませるビジネス書3冊はゴールドラットの「ザ・ゴール」、ドラッガーの「経営者の条件」、そしてこのクリステンセンの「イノベーションの解」だそうです。

前作「イノベーションのジレンマ」は、一流企業が優秀なだけに陥る破滅への道程を見事に説明していますが、本書でその力を逆に使い、成功企業をひっくり返して自らが勝者となる方策を導き出しています。

それは顧客の選び方、製品の考え方、組織の構成/選抜、資本の投じ方、経営者の役割など多岐に及び、理解したからと言って実行が難しいのは世の常ですが、知ると知らないの差は大きいものがあります。

製造業の管理者、経営者は一読する意義があるでしょう。うまくすればAmazon並に成長できるかも?しれません。

「イノベーションのジレンマ」C.クリステンセン 著

投稿日 2014/03/20

本書は成功を収めた大企業が、顧客の要望に応えて製品を持続的に改善しているうちに、新興企業が全く新しい技術(破壊的イノベーション)で市場を席巻するという理論をクリステンセン教授が、多くの事例を挙げて解説した技術経営の名著です。

本書の事例であるディスクドライブなどだけでなく、近年ではデジカメやゲーム機など当てはまる例には困りません。

大企業が手掛けると、既存の収益を毀損してしまうために、分かっていても対応が遅れてしまいます。

製品だけでなく、新興国のシンプルで安い製品に押されて、高性能、高機能に独自進化した日本技術そのものがジレンマに陥っているとも見れそうです。

「思考 日本企業再生のためのビジネス認識論」 井関利明/山田眞次郎 著

投稿日 2014/03/04

本書はソーシャルマーケティング、ライフスタイルからワインまで守備範囲の広い文科系の慶応大学名誉教授井関氏と、工学の世界から起業支援に進んだ山田氏が、MONOの会議室で400時間に渡って議論した100万字を文字起こしして分類し、最終的に18万字420ページに集約して完成したものです。

ここでは戦後のビジネスパラダイムを以下の3つに分類しています。
(1)一方通行の技術革新パラダイム
(2)I&C革命で可能となった作り手と受け手の双方向パラダイム
(3)SNSを使った多対多の協働パラダイム

日本はすでに第2のカーブで世界の先頭集団から周回遅れとされましたが、今からでも第3の波を捕える努力をすべきと結論付けています。さらにそのための方策として「物語」性を評価軸にするという提言が、私の最近の思考法とも同期して興味深く読み進むことができました。