書評検索結果

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「血の巡りを良くする手法の連携活用」VCP-Net研究会

投稿日 2014/08/21

本書は、日本規格協会を中心に各種の手法専門家が集結し、開発戦略策定プロセスと開発実行プロセスの整流化を目指すVCP-Net(価値創生実践知開発ネットワーク)のWG1成果として出版されました。

構成としてはBSC,SWOTから品質管理7つ道具、新7つ道具、QFD、TRIZ、品質工学といった主だった37手法を一定のフォーマットで表現したのち、各々の手法を目的の主語述語のマトリクスで分類したり、手法間の連携を検討したり、果ては新しい手法の必要性や出現可能性にまで言及し、徹底的に手法を「深掘り」しています。

VCP-Netで抽出した300技法の内の37だけを分析した中間報告という扱いになっていますが、料理方法はかなり研究が進んでいるように見受けられ、ものづくり革新ナビのシステム改善にも大いに活用できそうです。

136Pと薄手の装丁ながら、中身の濃い一冊です。

「日産自動車QVCプロセス」大島恵/奈良敢也 著

投稿日 2014/08/18

日本経済を牽引する自動車産業ですが、従来にも増して安全への要求は高まっています。そんな中で日産自動車ではトップレベルの品質を実現するために「不具合を早く直す」とともに、「不具合を出さない」ことを目指し、2005年から設計品質を向上するツールとプロセスを強化しました。

その結果として構築されたのがQuick DRと、本書で明らかにされるQVCプロセスであり、機能展開と品質工学を組み合わせたところが特徴で、この結果品質のばらつきを抑制することが可能となりました。

本書では、その成り立ちと使われ方、適用事例に考え方を加え、自動車以外の産業でも、設計品質、生産品質に悩む技術者に応えています。

「統計的思考による経営」吉田耕作著

投稿日 2014/08/05

本書では、80年代から90年代にかけてデミング博士と共に米国で活動してきた筆者が、日本と米国の良いとこ取り経営論を展開します。

全編を通じて「競争ではなく協調」の重要性を提起し、それを実現させるための方法として、従来のQCサークルからその衰退原因となった問題点を改善したCDGM(Creative Dynamic Group Method)と呼ぶ活動を紹介しています。

60年代からデミングが日本で教えようとしていたのは、QC(品質管理)ではなく実はQM(経営品質)だったと聞く事があり、本書を読むとそれが真実だったのだろうと思えてきます。

業績が不振で重苦しい雰囲気が漂っている企業の経営者、管理者に強くお勧めする一冊です。

「現場力を鍛える」河野宏和/篠田心治/斎藤文 著

投稿日 2014/07/16

本書は、日本IE協会の機関誌「IEレビュー」で取り上げた企業事例の中でも珠玉の5件を取り上げ、近年のIEがどのように生産現場で展開されているかを示し、さらに共通して見られる特徴を抽出したものです。

IEはほぼ100年前Taylerらによって始まったとされますが、社会と産業の変化に対応し、現在のそれは大きく進化していることが分かります。

IEの基本を知るだけですべての課題を解決できるわけではなく、成功事例の5件をまねたからといって同じように成功することは決してありませんが、基本を学習し、成功例を真摯に読み込んで得られる気づきを自社の現場改善に反映するならば、必ずや何歩かの前進を獲得できると確信します。

その意味で、本書に収められている事例と結論は、読者に大きな価値をもたらすことでしょう。