書評検索結果
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「日本発・最先端“生産革命”を見る」野口恒著
投稿日 2015/03/04
本書はITの進展に伴い可能になってきたサプライチェーンの進化をVMI中心に解説したものです。サプライチェーンと言えば、末端での些細な需要変動が上流に行くほど大きくなるブルウィップ効果が有名ですが、部材供給業者と使用業者がVMIによって密に結ばれることで、不要な在庫を削減できる可能性が増えてきます。本書は数理的にその根拠を解き明かし、IBMとアルプス物流の事例で効果を示した後で、導入の手順や注意点を解説しています。
ほぼ一冊丸ごとVMIを記述した和書は他にありませんので、本件を検討している生産管理、調達担当者は必見の一冊です。
「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ」清水英範著
投稿日 2015/02/05
本書の著者はセイコーエプソンの半導体事業部門でクリーン化技術アドバイザーをつとめ、クリーンルームのレベル確保、向上を通して長年ものづくりを見守ってきました。
本書における「クリーン化」とは、必ずしもクリーンルームだけを対象とはしておらず、いわゆる「5S」のやや高いレベルまでを含んでいるようです。その内容はクリーン化の技術解説が大きな柱であり、それを実現するための手順、道具、検査機から教育方法、注意事項まで事細かに説明されていますが、技術的な説明だけであれば330ページもの枚数は必要なかったでしょう。
著者が国内、中国、韓国などでクリーン化の指導を通じて体得した、ものづくり全般のあるべき論が展開されています。
製造業の現場を管理監督する人たちに、全編を通して読み汲んでもらいたい教えが一杯の一冊です。
「モノの流れと位置の徹底管理法」近江堅一,近江良和著
投稿日 2015/01/22
トヨタ生産方式導入で失敗する企業の話は良く耳にします。筆者は中小企業にはトヨタと違うトヨタ式が必要と説きます。
その違いの一つは自動車組み立てのような少品種大量生産が少ない事、もう一つは優秀な改善マンが少ないことでしょう。
トヨタ生産方式の神髄は、徹底した改善で自社に適したプロセスを漸進的に構築するところにありますが、それを進めるリーダーと担当者ともに不十分なのです。
その対策として著者はFL法という、謂わばパッケージ型の改善を提案します。これであればほとんどの生産工程に適応が可能です。筆者の20年300社におよぶ指導から生まれた改善の考え方が、本書の隅々にまでちりばめられており、それに触れるだけでも意味のある一冊と言えます。
「タグチメソッドのはなし」長谷部光雄著
投稿日 2015/01/07
本書は、日本で最も分かりやすく品質工学を説明する長谷部光雄の11冊目の著作で、今回も納得性のあるたとえ話を多用して、難解と言われるその考え方と手順を解きほぐしています。
これまでの著書では主に機能性評価やパラメータ設計を中心に扱っていましたが、今回はオンライン品質工学やMTシステムまで分野を拡げて、タグチワールド全貌の解明に挑戦しています。さらに品質工学が得意とする技術の安定性、信頼性を超えて、機能が破綻した場合の「安全性」への考え方、対処法を記述しているのは長谷部さんらしいところです。
これ一冊ですべての品質工学手法を駆使できるようになるには無理がありますが、一般の技術者が持つべき心構えを知り、そのための強力な考え方と手法の両側面を持つ品質工学の
全体像を把握するには好適な書です。