特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業でも業界が異なると、慣習や考え方の基準は変ります。ましてや作り手(製造業)と売り手(小売業)では視点やスタンスが大きく異なってきます。「業務委託先がなかなか思うように動いてくれない」と感じたことはありませんか。 電気製品、家具、アパレル、バッグ、スニーカー、食品など様々な工場で品質改善・業務改善に取り組む中で、その工場が知らない、他業界のちょっとした「コツ」や「ヒント」が問題を一気に解決することがあります。ファブレス小売業の品質保証について、今回は、第9回です。
【この連載の前回:ファブレス小売業の品質保証(その8)へのリンク】
◆管理技術を使って工場を点検する<梱包工程>
完成品を梱包する梱包工程は、商品の最終工程になり、梱包工程の後には梱包状態を検査する工程は通常ありません。(重量チェッカーで付属品の欠品を確認する場合もありますが、重量の小さいチラシやシールなどは検出できません)したがって、梱包工程では「付属品を入れ忘れたり、入れ間違えたりすることを防ぐ工夫がされているか」がチェックのポイントになってきます。
【目次】
①付属品の定数管理
②作業者の作業分担
③欠品防止の仕組み
④入れ忘れ・入れ間違いを防止するアイデア
①付属品の定数管理
入れ忘れ・入れ間違いを防止する仕組みの一つに「定数管理」というものがあります。これは、付属品や段ボールなど、梱包工程で使用する部材を「10個ずつ」というような決められた数量で供給する方法です。
この方法では、10台の商品を梱包し終わった時に余っている部品を確認することで、入れ忘れの発生に気づくことができます。また、10台の梱包を終える前に、どれかの部品が足りなくなった場合には、2重に入れてしまったか、別の部品と間違えて入れてしまった可能性があります。
何十台、何百台と作業した後に入れ忘れ・入れ間違いに気が付くと、梱包してしまった商品を確認するだけでも大変ですが、この方法であれば、問題の発生に早期に気が付くこともできますし、確認する商品も少なく、短時間で終えることができます。
□ 梱包に使う部品や資材は、定められた数で供給されているか
②作業者の作業分担
サイズの大きな商品は、複数人で梱包作業を行うケースもありますが、この場合、「各作業者の役割分担を定め、定められた作業以外は行わない」ことが重要です。例えば、AさんとBさんが二人で梱包作業を行っていたとしましょう。作業の状況によっては、二人の作業スピードが合わないことがあります。作業分担を定めていないと、ある作業XをAさんがやったりBさんがやったりする状況が発生します。この場合、Aさんは「Bさんがやっている」、Bさんは「Aさんがやっている」と思い、必要な作業が抜けてしまうリスクがあります。
作業者ごとに作業内容を定め、仮に手待ちが発生しても手伝わない、というルールで行えば作業漏れは防ぐことができます。AさんとBさんの作業スピードに常に差がある場合には、別の問題として作業配分の見直しを行い、作業効率を高めていきます。
□ 複数人で作業を行う場合、各担当者の作業内容は定められているか
③欠品防止の仕組み
他にも入れ忘れ・入れ間違いを防ぐ工夫はいろいろとあります。「この工場の梱包工程では、どんな工夫がされているかな?」と工場なら...