【この連載の前回:ファブレス小売業の品質保証(その2)へのリンク】
特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業でも業界が異なると、慣習や考え方の基準は変ります。ましてや作り手(製造業)と売り手(小売業)では視点やスタンスが大きく異なってきます。「業務委託先がなかなか思うように動いてくれない」と感じたことはありませんか。 電気製品、家具、アパレル、バッグ、スニーカー、食品など様々な工場で品質改善・業務改善に取り組む中で、その工場が知らない、他業界のちょっとした「コツ」や「ヒント」が問題を一気に解決することがあります。ファブレス小売業の品質保証について、今回は、第3回です。
◆工場評価のポイント
第3回は、具体的に工場評価のポイントを見ていきます。ここでは評価ポイントを、「1.マネジメント」、「2.コンプライアンス」、「3.技術・開発力」、「4.品質管理」、「5.製造管理」、「6.コスト対応と供給能力」の6つに分けています。
【目次】
1. マネジメント
2. コンプライアンス
3. 技術・開発力
1. マネジメント
これまでの実績や経営者との対話を通じて情報収集を行います。
①トップの意欲や積極性
・ 工場の経営は意欲的で新規取引にも積極的である。
②財務内容の健全性
・ 債務超過に陥っていない。流動比率や資金繰りも適正で問題ない。
③モノづくりに関する知見や姿勢
・ 金儲けではなくモノづくりに熱心で、知識、技術、ノウハウを有する。
④後継者や人材の育成
・ 人材の育成に積極的に取り組んでいる。
⑤社員への福利厚生
・ 賃金水準、住居や食堂などの福利厚生、安全対策など従業員を大事にしている。また、離職率も低く抑えられている。
2. コンプライアンス
基本的には工場が立地する地域の現地法規を遵守していることが必要です。
①労働管理・安全衛生管理
・ 児童労働・強制労働の禁止、休日や就業時間、作業安全確保。
②有害物質管理
・ REACH規制など有害化学物質の不使用を厳格に管理している。
③環境対応
・ 排水、ガス等を廃棄する前に、法的要件に従って処理を行っている。
④関連法規制の順守
・ 消防法、下請け法など、各種法規制を遵守している。
⑤調達トレース管理
・ 合法木材などの特定原料は、トレース管理が行われている。
3. 技術・開発力
これまでの開発実績から判断します。実績のない商品分野の開発・製造委託は基本的にハイリスクですので避けるのが良いでしょう。
①開発技術力
・ 製品や部品の開発、設計、試作、試験に関してノウハウを有し、高い技術力がある。
②製造技術力
・ 安定した品...