事業戦略とは?わかりやすく解説
1. 事業戦略とは
経営戦略・事業戦略に合っていないと、一見して良さそうに見える製品でも業績の向上に結び付かなかったり、一時的で終わって継続的な経営になりません。自社の競争力を理解し、従業員の意識を高め、顧客のニーズに応える戦略の作成は、経営の前提条件です。
2. 事業戦略を素早く実現する管理のしくみ
会社を成長させるには業務目標の内容に合わせた機能を働かせるため、組織構造とそれを動かす管理の仕組みが必要になります。しかし組織図はあるが、その見直しや組織を動かす仕組みが不十分な点が多いことが多々あります。環境の変化とともに、組織の考え方も変えていかなければなりませんが、従来の考え方に疑問も持たず、そのまま維持している企業は非常に多いと感じます。
組織の最大の欠点は縦割り構造になっていることです。この縦割り構造が、改革の取り組みが進まない最大の要因と考えられます。組織の間にある壁のため、生産に必要な情報やモノの流れに停滞が生じ、工場の生産性を著しく阻害しています。作り過ぎのムダ、仕掛在庫の増大、リードタイムの長期化、そして品質問題の発生は、組織間の連携が十分にとられていないため、多品種小ロット生産に柔軟に対応できていないことを示しています。
そして、職場内で実施されている改善活動は、その職場内の部分的な作業の効率化に留まっているため、全体最適の観点から見ると改善効果は期待できず、会社の利益に繋がるとは考えられません。この点は、多くの経営者、改善活動指導者も気づいていない、あるいは気づいてもそれを仕組みとして構築し、運用するマネジメント能力が不足している場合が多いのです。
管理の仕組みとしては、横の組織をつなぐコミュニケーションの仕組みと全体最適の考え方を持った上で、会社の利益に直結する改善活動の組織構築して、各組織が有機的に連携した活動をすることが求められます。
3. 事業戦略とコアコンピタンス
戦略について学習すると、「コアコンピタンス」というキーワードを目にします。保有技術からコアコンピタンス、つまりコア技術を選定するために、次の5つの評価軸を使います。
- 模倣可能性(Imitability) ・・・・・真似しやすい技術か否か
- 移動可能性(Transferability) ・・・他の商品、事業に展開できる技術か否か
- 代替可能性(Substitutability)・・・代わりとなりうる技術があるか否か
- 希少性(Scarcity)・・・・・・・・・技術や特性が希少か否か
- 耐久性(Durability)・・・・・・・・長期間、競争優位な技術か否か
コアコンピタンスは模倣可能性、代替可能性が低く、移動可能性、希少性と耐久性が高い技術がベストです。しかしながら、全てが満足する技術がない場合もあります。この場合の1つの方針として、移動可能性と耐久性が高い技術を抽出し、研究開発テーマを設定する。テーマを継続し、模倣可能性と代替可能性が低く、希少性が高い技術へと育成することで、将来的に5つの評価軸全てを満足させる方法です。
4. まとめ
ステークホルダー、それぞれがミッションに応じた「戦略」「方針」を理解する必要がありますが、全てをまとめようとすると、とても中途半端な内容になります。大企業になればなるほど理解にズレが生じます。そこで各々の役割に合った方針を「戦略」として表現するのです。ということは、まず事業方針「経営戦略」があり、その中に「商品戦略」と「技術戦略」が入ります。しかし、この表現には若干の語弊があります。それは「商品戦略」と「技術戦略」が完全に「経営戦略」の下位になるとは限らないということです。
「経営戦略」と「商品戦略」と「技術戦略」は互いに補完し合う、つまり統合的な「事業戦略」であるべきです。「統合がうまく出来ていない」「偏った視点でまとめられている」と、網羅性に欠けた分かりにくい「事業戦略」が出来上がってしまいます。
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村上 英樹
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