TRIZ によるロジカルアイデア創造法(その11)

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 第3章:問題解決のアイデアを出してみようの 2.TRIZの思考プロセスで「ユニットバス」を改善してみようを解説します。今回は、ステップ1:問題の本質化です。TRIZトゥリーズによる問題解決思考プロセスを説明いたします。幾つかのポイントでは質問形式にしております。「正解」などはありませんから、皆さんも一緒にアイデアを考えてみましょう。
 

【 ステップ1.問題の本質化 】

 
1-1 問題定義
 
 現在困っていて、解決したいことを決めます。つまり、テーマの目的を明確にするわけです。ここでは、「何を解決したいのか」をできるだけ具体的に記述するべきです。
 
・問題(困っていること):浴室の鏡が曇ってしまう。
 
1-2 機能-属性分析
 
 次に、浴室の鏡が曇ってしまうという現象を、それぞれの要素(この場合は部品レベル)での機能連鎖としてモデル化します。モデル化するツールは、エクセルでもパワーポイントでもポ
ストイットを使った作業でもなんでもいいです。機能モデル作成の目的は、システム全体に存在する有用作用と有害作用を一覧し、問題発生に寄与する要素(要因)を特定することです。し
たがって、『「S(主語)」が「O(目的語)」を「V(述語=動詞)」する』、というように、要素間の働きかけ(影響)を明確に表現することがコツです。
 
                鏡   → 反射する → 光
             水滴 → 付く       → 鏡
 
    TRIZ
                              図16.「バスタブの鏡周辺の機能モデル例」
 
1-3 原因-結果分析
 
  「浴室の鏡がなぜ曇るのか」を、論理的に技術的な因果関係を解きほぐしながら原因を探っていきます。たとえば、「鏡が曇るのは、鏡の表面に水滴がつくから」→「鏡の表面に水滴がつくのは、鏡の表面が結露するから」→「鏡の表面が結露するのは、・・・」という感じです。
 
  要は、困った結果を起こしている原因を探っていければよいわけです。やり方としては、たとえば、付箋紙に要因を記入しながら壁に張り出してもいいでしょう。作成時に留意することは、「どうしようもない理由」を展開しないことです。たとえば、先の例で原因の一つとして「お風呂場でお湯を流すから」とあります。これを更に要因展開しようとして、「お湯を流すのは、汗をかいたから」→「汗をかいたのは、テニスをしたから」などと展開してはどうしようもないわけです。当初の問題「浴室の鏡がなぜ曇るのか。」に対して、「汗をかこう」が「テニスをしよう」が関係ないわけですから。また、因果関係の途中を飛ばさずに丹念に追うこと、その因果関係が正しいかどうかの確認を随時行うことが大切です。
 
       TRIZ
                                                    図17.原因分析ツリー
 
1-4 根本原因の選定
 
 2つの分析を経て、改善を行うべき箇所が特定できます。それが根本原因なのです。根本原因とは、「自責の範囲で対策を打つべき最も本質的な要因」と定義できます。それらは、原因-結果分析では最も上流(原因側)にあり、機能-属性分析では有害作用の出発点に当るはずです。つまり根本原因とは、対策アイデアを考えるべきポイントを明確にすることに他ならないのです。たとえば、「鏡の曇り止め」問題では、以下の3つの根本原因を選定しました。
 
     ① 鏡の表面の温度が低いから
     ② 湯気が鏡に触れるから
     ③ お湯の温度が高いから
 
 この3つについて解決策を考えれば、「曇らない鏡」が実現できるはずです。
 
 次回は、2.TRIZの思考プロセスで「ユニットバス」を改善してみようの、ステップ2:TRIZ によるアイデア発想です。
 
 
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 第3章:問題解決のアイデアを出してみようの 2.TRIZの思考プロセスで「ユニットバス」を改善してみようを解説します。今回は、ステップ1:問題の本質化です。TRIZトゥリーズによる問題解決思考プロセスを説明いたします。幾つかのポイントでは質問形式にしております。「正解」などはありませんから、皆さんも一緒にアイデアを考えてみましょう。
 

【 ステップ1.問題の本質化 】

 
1-1 問題定義
 
 現在困っていて、解決したいことを決めます。つまり、テーマの目的を明確にするわけです。ここでは、「何を解決したいのか」をできるだけ具体的に記述するべきです。
 
・問題(困っていること):浴室の鏡が曇ってしまう。
 
1-2 機能-属性分析
 
 次に、浴室の鏡が曇ってしまうという現象を、それぞれの要素(この場合は部品レベル)での機能連鎖としてモデル化します。モデル化するツールは、エクセルでもパワーポイントでもポ
ストイットを使った作業でもなんでもいいです。機能モデル作成の目的は、システム全体に存在する有用作用と有害作用を一覧し、問題発生に寄与する要素(要因)を特定することです。し
たがって、『「S(主語)」が「O(目的語)」を「V(述語=動詞)」する』、というように、要素間の働きかけ(影響)を明確に表現することがコツです。
 
                鏡   → 反射する → 光
             水滴 → 付く       → 鏡
 
    TRIZ
                              図16.「バスタブの鏡周辺の機能モデル例」
 
1-3 原因-結果分析
 
  「浴室の鏡がなぜ曇るのか」を、論理的に技術的な因果関係を解きほぐしながら原因を探っていきます。たとえば、「鏡が曇るのは、鏡の表面に水滴がつくから」→「鏡の表面に水滴がつくのは、鏡の表面が結露するから」→「鏡の表面が結露するのは、・・・」という感じです。
 
  要は、困った結果を起こしている原因を探っていければよいわけです。やり方としては、たとえば、付箋紙に要因を記入しながら壁に張り出してもいいでしょう。作成時に留意することは、「どうしようもない理由」を展開しないことです。たとえば、先の例で原因の一つとして「お風呂場でお湯を流すから」とあります。これを更に要因展開しようとして、「お湯を流すのは、汗をかいたから」→「汗をかいたのは、テニスをしたから」などと展開してはどうしようもないわけです。当初の問題「浴室の鏡がなぜ曇るのか。」に対して、「汗をかこう」が「テニスをしよう」が関係ないわけですから。また、因果関係の途中を飛ばさずに丹念に追うこと、その因果関係が正しいかどうかの確認を随時行うことが大切です。
 
       TRIZ
                                                    図17.原因分析ツリー
 
1-4 根本原因の選定
 
 2つの分析を経て、改善を行うべき箇所が特定できます。それが根本原因なのです。根本原因とは、「自責の範囲で対策を打つべき最も本質的な要因」と定義できます。それらは、原因-結果分析では最も上流(原因側)にあり、機能-属性分析では有害作用の出発点に当るはずです。つまり根本原因とは、対策アイデアを考えるべきポイントを明確にすることに他ならないのです。たとえば、「鏡の曇り止め」問題では、以下の3つの根本原因を選定しました。
 
     ① 鏡の表面の温度が低いから
     ② 湯気が鏡に触れるから
     ③ お湯の温度が高いから
 
 この3つについて解決策を考えれば、「曇らない鏡」が実現できるはずです。
 
 次回は、2.TRIZの思考プロセスで「ユニットバス」を改善してみようの、ステップ2:TRIZ によるアイデア発想です。
 
 

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この記事の著者

桑原 正浩

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