7.天気予報もパターン認識
天気予報も、複数の情報から明日の天気を当てるという、パターン認識の問題です。気圧配置、いろいろな場所での風向きや温度などを利用します。それらは静的ではなく、時間変化も含みますから、膨大な情報量になります。
予測のための情報が全部は分かっていなくても、肝心な情報がだいたい揃っていれば、ほぼ当てることができます。そして、できるだけ多くの情報を使ったほうが、うまく当たるはずです。気象予報士さんは、大気の動き方の理論――コンピュータの計算結果――も利用します。
昔の話ですが、口の悪い人が「くさった物を食べても、気象庁・気象庁・気象庁と3回唱えれば当たらない」と言っていました。
現在では、かなり精度が上がっています。十分な情報があり、それを正しいプロセスで統合することができれば、当たるのです。情報は多いほど、予測の精度は上がります。
でも最後のところは自分の経験から結論を下すそうです。
8.地震予知はどの段階にあるか
天気予報は数日後の分まで比較的当たりますが、これは気圧や風向きなど予測に必要な観測情報が揃っているからです。地震は地中深くの出来事ですから、情報が相当不足しています。大気の動き方に関する理論はありますが、地殻の動き方に関する理論(物理モデル)はありません。
電磁波の観測によって、比較的大規模な地震を数十分前に予知可能との報告もありますが、残念ながら現状では「予測に必要な情報は何か」を求めている段階です。
9.株価の予測ができれば...
株価ほど「予測できたらなあ」と熱望される課題はないでしょう。従来の方法より1%でも精度が高ければ、その方法は非常に価値を持つそうです。
世の中に「絶対」はないとしても、よい予測方法があれば、たくさんの株を買って、全体として儲けることができるのでしょう。
私の身近に居た人で、「株価の予測法を見つけた」と言って、勤めていた銀行を辞めてしまった人が居ました。当たる確率が50%以上ならギャンブルとは言わないそうです。
10.パターン認識とは同一性を測ること
似ているということは、距離が近いということです。ですから、パターン認識は同一性という距離を測ることと言えます。時間を測る、体温を測る、長さを測るなどと同じです。
測ることができることには、かならずゼロの位置がありますね。それから、1cmなど単位となる大きさがあります。私たちは1cmという単位長さを知っていますから、30cmがどれくらいかが想像できます。
ということは、パターン認識にもゼロ位置と単位長さが存在することになります。
11.パターンの距離の概要
テレビなどで、以下のような映像を見たことはありませんか?
左右から2つの顔写真が寄ってきて、中央でピッタリ重なる。この場合、左右の顔の距離はゼロで同一人物となります。
しかし、人の顔は若干変化します。全く同じ人でも、「揺らぎ」――起きがけや疲れ...