46:予測の話
相場や競馬だけではなく、予測が当たるとうれしいテーマはたくさんありますが、予測も考え方はパターン認識と同一です。多くの項目の情報を総合して一つの予測を立てるからです。 「今そこに結果(答)がある」のか「明日結果がわかるのか」の違いだけで、パターン認識としてのデータ処理は同じです。MTシステムには7~8種類の計算手段が用意されていて、MT法のほかにも「予測」に活用できる手段がありますので、ここからいくつかを紹介させていただきます。
47:予測のMTシステム
「明日は晴れるか雨が降るか」も予測ですが、「明日の12時の気温は何度か」といった予測の方が役立つ場合があります。降水量の予測、株価の予測あるいは今年の米の収穫量の予測などの場合は、予測された数値に意味があります。こうした数値の予測も、いくつもの項目を総合して得られることは理解できます。数値を予測する式のことを、そのままズバリですが「予測式」と言います。推定式と言うこともあります。MTシステムで推定式を求める代表的な手法がT法(1)です。
T法(1)の予測式は図に示す通りですが、式を見ただけでイヤにならないように若干のご説明をします。 左辺のMが予測したい値で、例えば明日の降水量です。つまり、これを予測したいことになります。右辺のXは項目の値です。たとえば、今日までの気温の変化とか風向き、風の強さなどです。あとはηとβがありますが、これはT先生が「こうしたら良い予測ができる」と定義されたことですので、そういうものだと思えばよいでしょう。
48:「統計に絶対はない」の例
統計数理には「重回帰分析」という有名な予測式があり、目的や使い方はT法(1)と全く同じです。ですから、T法(1)の解析をする際には重回帰分析との比較がよく行われます。 どちらの方法にも式の成り立ちに理由があります。ただ、問題によって「より妥当な推定ができる」程度に差が生じます。それは問題によるのであり、勝ったり負けたりです(という表現も適切ではありませんが)。統計数理にはいくつものアイディアがあり、それぞれ絶対ではありません。結局、「統計を最強に使いこなすのは人間の決断」です。