28. 文字パターンと距離感
ここで、文字パターン認識の例をご紹介します。右図で、左側の16個の「5と読める」パターンを基準とします。「5と読めるという意味で一様」と判断しました。これらでM距離の目盛を作ります。
そして任意のパターンを4つ用意して、それらのM距離を計算します。結果は図のように、1.8、3.2、4.1、110.7となりました。結構良い距離感だと思いませんか?
最初の3つの文字は、いずれもM距離が4程度かそれ以下です。それに対して、右の文字は110と大きな値です。M距離は4以下であれば、ほぼ元のパターンの仲間と言えるという性質を持っています。ですから、左から3つ目までは5と読むことができます。
この距離感の理由は、一つは基準とした16個の5という文字パターンが適切だったと言えるからです。すなわち、一様だったということです。
それから、基準としたパターンで定義された項目に適切な相関が形成されたという、二番目の理由があります。
右端の文字のM距離が110となったのは、下の円弧状の部分が閉じているからです。5と6のパターンの決定的な違いは、この「閉じているかどうか」です。基準文字群の相関から大きくズレているので、M距離が大きくなっています。
29.形あるものはパターン距離が測れる
文字パターンだけではなく、形あるものには全てM距離を使うことができます。三角や丸などの図形でも構いません。 産業面で一番用途が大きいのが「波形」です。振動や電気信号も波形です。
また、意外に思われるかもしれませんが、「画像」も波形です。輝度を連ねると、波そのものです。 ということは、波や画像の違いもM距離として測ることができます。
30.画像検査の例
右の画像をご覧ください。鉄板の表面を撮影した画像で、左は正常ですが右は中央に欠陥があります。画像の下に棒グラフがあり、縦軸がM距離です。横方向は画像の位置と対応しています。欠陥の箇所のM距離がくっきりと大きな値(赤)を示しています。
これは、画像を輝度波形に置き換えた成果です。数か月...