1.MTシステムは人工知能か?
JAXAの森田泰弘博士が、MTSを人工知能と呼びました。確かに使用目的はいわゆる人工知能と同じですが、計算プロセスには決定的な相違があります。人工知能の多くは「機械学習」と呼ばれる通り、機械が学習します。人間が文字を覚えるのと同じで、計算機が繰り返しによってパターンを学習します。ホーキング博士は人工知能が際限なく自己増殖して、やがては世界を破滅させると警告しています。それは繰り返し計算で成長するという、増殖の素養を持っているからです。
しかし、MTシステム(MT法)は繰り返し計算をしません。一発学習です。MTシステムは人類に破滅をもたらすことなく、いつまでも人間に必要で安定な相棒であり続けるはずです。
2.人工知能の面白さと危うさ
繰り返し計算で次第にパターンを学習する人工知能は、人間と同じように学習過程や結果に個性を持ちます。物覚えが悪くなかなか学習が進まないのに、いったん学習したらしっかりと判定する知能もあれば、学習は早いけれども早とちりしがちな知能もあります。学習が乱数に基づくことや、知能に与えるパラメータによって出来上がる脳みそが異なるからです。
一方のMTシステム(MT法)は一通りの数理しかありませんから、結果に個性は生じないのです。誰が使っても基本的に同じ結果が出ます。
3.MTシステムは暴走しない人工知能
暴走とは、制御不能に陥って滅茶苦茶をすることです。自己増殖型の人工知能は、「育ちなさい」というルールを与えるので、遠い将来には制御できない暴走を始める危険があるというのが、ホーキング博士などの心配の背景です。
MTシステム(MT法)は、パターン認識や監視機能という目的は人工知能と同じですが、暴走はしません。抑制の効いた品位を保ちます。
4.円く収めるのがMTシステム
MTシステムが暴走する心配がな...