【連載目次】
今回は、アクセス解析に関連して、その活かし方とABC分析での運用を解説します。
1. アクセス解析で伸びる企業とは
(1) データを重視するタイプ
データを重視することは大切です。しかし、”データを重視する”という正しいことをするタイプの中にアクセス解析なんてしないほうがいい会社があるのです。それは評論家タイプの多い会社です。データをいじくりまわし、「あーでもない」「こーでもない」と分析ばかり繰り返すのです。
目標を達成するためにデータを見ないから、できない理由を景気や市場環境など外に求めがちです。アクセス解析が過去の行動の正当化や言い訳に使われてしまうのです。それでなくともアクセスデータは過去のもの。目標に向かって過去を振り返るから意味があるのに、過去や現在の正当化のためにデータを見ても挑戦にはつながりません。
こういうケースの分析は百害あって一利なし。”計画”と”検証”ばかりにならないよう少しでも多くの時間を”行動”に費やす必要があります。また、会社の目標を自分ごとにできていない場合、視野が広がらず分析すればするほどインパクトのない小さな改善にとどまり、大勢に影響のない重箱の隅をつつくような解析ばかりを繰り返してしまう傾向があります。リスティングのキーワード改善ばかり繰り返したり広告文の最適化やWebサイトのCTAの改善ばかりです。それはそれで必要だけど、小さな改善がさらに小さくなっていくとしたら、効果はたかが知れています。Webサイトの目標がより大きなビジネス目標につながるように大きな視点でサイト運営する必要があるのです。
(2) 思いつきで行動するタイプ
それはどんどん新しいことを試してみる企業です。いいと思ったら次から次へと実践し、前を向き振り返らない。そんな体質の会社が一番アクセス解析で伸びるのです。悪く言えば移り気で目標に向かって前のめりに行動するけど、やりっぱなしになりがちな会社です。
そうしたタイプがアクセス解析を使って検証し、きちんと振り返る癖をつけると、大量行動で加速度的にWebサイトが改善されさらにアクセスが増えることで検証の精度とスピードも増す好循環になることが多いのです。しかし、センスや感覚に頼りがちだったりするから、ほんの少し手伝ってデータによる判断・検証による振り返りを加えるとすごくよくなるんです。そうすることでその会社の良い癖、悪い癖が可視化され、「思い込み」「固定概念」が減り、スピードと効率が上がるのです。仮説の精度も上がり打ち手が外れることが減ってくるのです。
(3) 未来志向の分析
やっぱり行動を生み出すためにアクセス解析を使わなければ勿体ないと思います。それも大きな目標に向かって仮説を立て新しい挑戦を生み出すような大きな視点の分析が大事。そして、自己正当化の分析よりも未来志向の分析が大切です。
2. アクセス解析にABC分析を使う
ABC分析。営業をしたことのある人ならば一度は聞いたことがあると思います。ABC分析ってもともと在庫管理や商品管理に使っていた手法です。それを顧客管理に応用し営業に役立てていただけなんです。
(1) ABC分析
ABC分析とは「重点分析」とも呼ばれ在庫管理などで原材料、製品(商品)等の管理に使われる手法です。 在庫の資産としての価値などの評価(重要度)別に段階的な管理手順を適用します。 この手法は品質管理におけるパレート分析に類似しています。(Wikipediaより引用)
(2) ABC分析:シンプルだから応用が簡単
シンプルだから応用が簡単です。営業の時は顧客管理にABC分析を使っていました。分析結果をもとにアフターフォローの計画を立てるのが常でした。そうしないと会いやすい顧客への訪問に偏りがちになるのです。予算の伸びしろが大きいけど、入り込めてない顧客やたくさん注文をいただいている顧客を重点的にフォローするためにABC分析は不可欠でした。
そして、今のアクセス解析でもABC分析を使っています。無意識のうちに使っているのです。
製品ページのPV分析は典型的なABC分析です。肝は製品ページのABC分析と実際の製品の売り上げや目標と突き合わせることです。そのギャップをクライアントと共有しWeb運用の方針を決めていく。クライアントが意識しなくても商品戦略を考えるきっかけになります。
またエリア分析も鉄板です。アクセスエリアの分布と実際の売り上げデータの比較、市場規模と比較することでエリア戦略を考えるきっかけになります。
(3) ABC分析:使いこなす
「ABC分析なら知ってる」ではしょうがないのです。使いこなすことが大切で...