物流設備投資 物流現状把握の重要性 (その3)

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 前回のその2:荷役の現状把握に続いて解説します。

1. 物流設備投資時の注意事項

 SCM物流作業を効率化するために場合によっては投資が発生する場合があります。たとえば運搬の自動化を行うことで運搬工数を削減することがあります。この場合、この会社では運搬工数が無くなることでコストが下がります。一方で自動化のための無人運搬車を導入しますのでその分の投資が発生します。従って、このコストメリットと投資による発生費用を差し引きして、トータルメリットを考える必要があります。
 
 このケースでは「お金をかけて効率化」を実施することになります。もちろんお金をかけずに効率化することがベストですが場合によっては物流設備に投資してでも実施すべき改善はあります。この会社の物流の現状把握時には投資金額も考慮する必要があるということです。投資自体が何年で回収できるのか、この点で投資判断を実施することになります。
 
 投資を行った後に発生するコストについても投資段階で把握しておくことが重要です。自動化設備のイニシャル投資だけに目を奪われてランニングコストをおろそかにしてはいけません。自動化設備ですから常日頃の点検整備にお金がかかります。補修費用もかかります。システムの入れ替えや部品交換でもお金がかかります。
 
 場合によっては「プリンタービジネス」的なことになる可能性もありますから注意が必要です。それは何かというと、導入コストは安価でも導入後に発生するコストが膨大になるケースがあるということです。物流設備投資を行う場合にはその設備の稼働期間全体でいくらかかるかについてランニングコストを含めて、把握しておくことが肝要です。
 

2. 非効率な物流自動化

 ある工場で無人運搬車に使われているフォークリフトを見かけました。わかりづらい表現なので少し解説しましょう。この工場では工程間運搬を効率化するために無人運搬車を導入していました。運搬距離は15m程度でした。この無人運搬車の上にパレットに載せられた部品を積む必要があるのですがその作業は人がフォークリフトで行っていました。わずか15mですが無人運搬車で運ぶために人がわざわざフォークリフトを使って荷物を載せ降ろししていたのです。明らかにフォークリフトで運んだ方が効率も良ければコストも小さいと思われます。しかしこの工場では無人運搬車に投資してしまった手前それを使わざるを得ない状況にあったものと思われます。このようなムダな投資が実際に発生しているのです。
 
 ある倉庫で自動仕分け機を導入していました。作業者が投入した段ボール箱についているバーコードを読み取って指定レーンに自動仕分けを行う機械です。これも見ていてどうかと思ってしまいました。人が投入するのであればその際に仕分けてしまっても問題は無いからです。しかし、この仕分け機を動かして仕分けを行い、レーンで引っ掛かりがあれば人が修正し、仕分け終わったものを回収して運搬しているのです。倉庫によってはレーンの出口に作業者が張り付いている場合もあるのです。これも機械に人が使われてしまっている例だと思います。
 
 物流現状把握時にはこういった事例が自社内で発生していないかどうかを確認しましょう。場合によっては自動化設備を停止するケースも出てくるかもしれません。非効率な物流自動化だからです。物流自動化では物流工程の一部のような部分的な投資はこのように非効率を招く可能性があります。ということで全体の効率化に寄与するための設計を考えるとともに、できるだけ周辺で人手による作業...

 前回のその2:荷役の現状把握に続いて解説します。

1. 物流設備投資時の注意事項

 SCM物流作業を効率化するために場合によっては投資が発生する場合があります。たとえば運搬の自動化を行うことで運搬工数を削減することがあります。この場合、この会社では運搬工数が無くなることでコストが下がります。一方で自動化のための無人運搬車を導入しますのでその分の投資が発生します。従って、このコストメリットと投資による発生費用を差し引きして、トータルメリットを考える必要があります。
 
 このケースでは「お金をかけて効率化」を実施することになります。もちろんお金をかけずに効率化することがベストですが場合によっては物流設備に投資してでも実施すべき改善はあります。この会社の物流の現状把握時には投資金額も考慮する必要があるということです。投資自体が何年で回収できるのか、この点で投資判断を実施することになります。
 
 投資を行った後に発生するコストについても投資段階で把握しておくことが重要です。自動化設備のイニシャル投資だけに目を奪われてランニングコストをおろそかにしてはいけません。自動化設備ですから常日頃の点検整備にお金がかかります。補修費用もかかります。システムの入れ替えや部品交換でもお金がかかります。
 
 場合によっては「プリンタービジネス」的なことになる可能性もありますから注意が必要です。それは何かというと、導入コストは安価でも導入後に発生するコストが膨大になるケースがあるということです。物流設備投資を行う場合にはその設備の稼働期間全体でいくらかかるかについてランニングコストを含めて、把握しておくことが肝要です。
 

2. 非効率な物流自動化

 ある工場で無人運搬車に使われているフォークリフトを見かけました。わかりづらい表現なので少し解説しましょう。この工場では工程間運搬を効率化するために無人運搬車を導入していました。運搬距離は15m程度でした。この無人運搬車の上にパレットに載せられた部品を積む必要があるのですがその作業は人がフォークリフトで行っていました。わずか15mですが無人運搬車で運ぶために人がわざわざフォークリフトを使って荷物を載せ降ろししていたのです。明らかにフォークリフトで運んだ方が効率も良ければコストも小さいと思われます。しかしこの工場では無人運搬車に投資してしまった手前それを使わざるを得ない状況にあったものと思われます。このようなムダな投資が実際に発生しているのです。
 
 ある倉庫で自動仕分け機を導入していました。作業者が投入した段ボール箱についているバーコードを読み取って指定レーンに自動仕分けを行う機械です。これも見ていてどうかと思ってしまいました。人が投入するのであればその際に仕分けてしまっても問題は無いからです。しかし、この仕分け機を動かして仕分けを行い、レーンで引っ掛かりがあれば人が修正し、仕分け終わったものを回収して運搬しているのです。倉庫によってはレーンの出口に作業者が張り付いている場合もあるのです。これも機械に人が使われてしまっている例だと思います。
 
 物流現状把握時にはこういった事例が自社内で発生していないかどうかを確認しましょう。場合によっては自動化設備を停止するケースも出てくるかもしれません。非効率な物流自動化だからです。物流自動化では物流工程の一部のような部分的な投資はこのように非効率を招く可能性があります。ということで全体の効率化に寄与するための設計を考えるとともに、できるだけ周辺で人手による作業が発生しないように注意する必要があることを認識しておきましょう。
 
 次に視点を変えて「容器」について見ていきましょう。容器を見ることでその会社の物流の実力が見えてくることがあります。容器は一般的に「通箱」として製品を入れて発送した後に回収し、また製品を入れて発送を繰り返します。この容器ですが何度も使っている内に劣化や汚れが発生してきます。これはその箱の中に入れる製品品質にも影響を与えてしまうのです。
 
 次回は、パフォーマンスを示すKPIについて解説します。
 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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