日本の事例 オープンイノベーションとは(その4)

更新日

投稿日

 
  技術マネジメント
 

 

【オープンイノベーションとは 連載目次】

 オープンイノベーション白書 第二版の中から興味深い内容をピックアップして、解説しています。今回は、その4です。
 
 「第4章 我が国のオープンイノベーション推進事例」では、企業や地域のオープンイノベーションの事例やその成功要因がまとめられています。
 
 この記事では、その中から気になった内容を3点あげました。
 

1. 経営トップの覚悟

 
 ほとんど全ての事例において、経営トップ自らが既存事業への不安を感じ、現状のままではいけない、変革をもたらすんだという強いリーダーシップをとり、覚悟を持って進めることがオープンイノベーションを成功へと導く必要条件であることが伺えます。
 
 単に決意表明して終わりではなく、その後の企業活動が進められるよう組織体制の構築や社内評価制度の変更、また社員だけでなく役員への徹底した目的の共有までを実践した事例が並びます。具体的には、下記に示す事例がありました。
 
  • 評価指標にクリエイティビティの軸を入れ、顧客が喜んで使用しているイメージがもてるかどうかを組み込む
  • 飛び地のプロジェクトは、経営陣から現状の売上げや利益の質問はさせないという合意形成がなされている
 
 両者とも「言うは易し行うは難し」事例ではないでしょうか?
 
 特にクリエイティビティのように白黒付けづらい項目を評価軸とすることには苦労されたのではないかと推察します。また、経営陣がついつい目先の売り上げに言及してしまうことはよくありますがそうさせないことを合意形成のレベルまで持っていくには地道な活動が必要でしょう。
 
 しかし、新規事業の開発担当者が安心してプロジェクトを進めるには必要なサポートだと強く感じています。
 

2. ビジネスモデルの考え方

 
 弊社の記事においても何度かお伝えしていますが、新規事業・新商品には自前主義で品質改善に注力するのではなく、顧客価値(市場ニーズ)を捉えながらビジネスモデルを構築することがオープン・イノベーション成功にとって必要だという見解が多く見受けられました。
 
 自己満足になりがちな品質向上ではなく、あくまで顧客にとって欲しい・嬉しい商品かどうかを常に考えて開発したいいものです。
 

3. リーンスタートアップ方式の導入

 
 こちらも様々な事例でも成功への鍵だと謳われている、小さくPDCAを回すリーンスタートアップ方式の開発手法です。
 
 この方法は起業家であれ、大企業であれ変わりなく運用することをおススメしま...
 
  技術マネジメント
 

 

【オープンイノベーションとは 連載目次】

 オープンイノベーション白書 第二版の中から興味深い内容をピックアップして、解説しています。今回は、その4です。
 
 「第4章 我が国のオープンイノベーション推進事例」では、企業や地域のオープンイノベーションの事例やその成功要因がまとめられています。
 
 この記事では、その中から気になった内容を3点あげました。
 

1. 経営トップの覚悟

 
 ほとんど全ての事例において、経営トップ自らが既存事業への不安を感じ、現状のままではいけない、変革をもたらすんだという強いリーダーシップをとり、覚悟を持って進めることがオープンイノベーションを成功へと導く必要条件であることが伺えます。
 
 単に決意表明して終わりではなく、その後の企業活動が進められるよう組織体制の構築や社内評価制度の変更、また社員だけでなく役員への徹底した目的の共有までを実践した事例が並びます。具体的には、下記に示す事例がありました。
 
  • 評価指標にクリエイティビティの軸を入れ、顧客が喜んで使用しているイメージがもてるかどうかを組み込む
  • 飛び地のプロジェクトは、経営陣から現状の売上げや利益の質問はさせないという合意形成がなされている
 
 両者とも「言うは易し行うは難し」事例ではないでしょうか?
 
 特にクリエイティビティのように白黒付けづらい項目を評価軸とすることには苦労されたのではないかと推察します。また、経営陣がついつい目先の売り上げに言及してしまうことはよくありますがそうさせないことを合意形成のレベルまで持っていくには地道な活動が必要でしょう。
 
 しかし、新規事業の開発担当者が安心してプロジェクトを進めるには必要なサポートだと強く感じています。
 

2. ビジネスモデルの考え方

 
 弊社の記事においても何度かお伝えしていますが、新規事業・新商品には自前主義で品質改善に注力するのではなく、顧客価値(市場ニーズ)を捉えながらビジネスモデルを構築することがオープン・イノベーション成功にとって必要だという見解が多く見受けられました。
 
 自己満足になりがちな品質向上ではなく、あくまで顧客にとって欲しい・嬉しい商品かどうかを常に考えて開発したいいものです。
 

3. リーンスタートアップ方式の導入

 
 こちらも様々な事例でも成功への鍵だと謳われている、小さくPDCAを回すリーンスタートアップ方式の開発手法です。
 
 この方法は起業家であれ、大企業であれ変わりなく運用することをおススメします。初めは2〜3人から10名程度の少数精鋭による、市場ニーズ探索から進め、小さな成功を繰り返すことこそ、事業拡大につながると私自身も感じています。
 
 他にもこの章では、具体的にどの企業がどんな施策を行い、どんな商品・サービスへと繋げたのかがまとめれられいますので、新規事業開発の参考になると思います。
 
 次回は、オープンイノベーションとは(その5) 課題や阻害・成功の要因を解説します。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

川崎 響子

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。

革新的なテクノロジー事業を最速&確実に量産まで立ち上げます。 世界No.1商品を創る企業を世の中に送り出し続けることが私の使命です。


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
内発的動機付け 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その79)

 前回は内発的動機付けと外発的動機付けについて、そして内発的動機付けが好奇心であるということを解説しました。今回は、内発的動機付けを生み出すために重要...

 前回は内発的動機付けと外発的動機付けについて、そして内発的動機付けが好奇心であるということを解説しました。今回は、内発的動機付けを生み出すために重要...


技術力の根源とは何か

1. 従来の技術力の定義  技術力とはそもそも何でしょうか。学者たちは、「長い時間を掛けて積み上げた老練な技の集積であり、また同時にそれを継承し、巧みに...

1. 従来の技術力の定義  技術力とはそもそも何でしょうか。学者たちは、「長い時間を掛けて積み上げた老練な技の集積であり、また同時にそれを継承し、巧みに...


思考パターン 普通の組織をイノベーティブにする処方箋 (その75)

 現在、関係性の種類を解説しています。前回は関係性の種類の一つ「原因と結果」の中の「逆ピラミッド(複数の原因→一つの結果)」が起こる3つの要...

 現在、関係性の種類を解説しています。前回は関係性の種類の一つ「原因と結果」の中の「逆ピラミッド(複数の原因→一つの結果)」が起こる3つの要...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
CS-T法を起点とした技術開発プロセスとは、乗用車用エンジンの技術開発事例

▼さらに深く学ぶなら!「品質工学」に関するセミナーはこちら! 機能を起点に形を考案するというプロセスの成功例として,品質工学会でも多くの方々に大きな...

▼さらに深く学ぶなら!「品質工学」に関するセミナーはこちら! 機能を起点に形を考案するというプロセスの成功例として,品質工学会でも多くの方々に大きな...


トレーサビリティの保証 プロジェクト管理の仕組み (その45)

 前回のその44に続いて解説します。    ハードウェア設計の場合も、要件と回路ブロックの仕様(スペック)、回路ブロックのスペックと部品のス...

 前回のその44に続いて解説します。    ハードウェア設計の場合も、要件と回路ブロックの仕様(スペック)、回路ブロックのスペックと部品のス...


技術資源の有効活用: 事例紹介 (その2)

 TRM(Technology Resources Management)事例その2は、建築物の防食事業を営む企業の取り組みをご紹介いたします。   ...

 TRM(Technology Resources Management)事例その2は、建築物の防食事業を営む企業の取り組みをご紹介いたします。   ...