MTシステム超入門(その15)

投稿日

57.MTシステムのソフト

 Microsoft Excel上でMTシステムの操作ができる市販のソフトウェアがあります。筆者のアングルトライ社からも製品化しています。文字認識のサンプルデータも付いていますので、すぐに面白さを体験できます。詳しいことは、アングルトライのサイトをご覧ください。

 サイトを開くと、右側にズラッとソフト名が表示されていますが、その中のMTRT-AddInsという製品がExcel上で動作するソフトです。少し高価ですが、パフォーマンスは一級品です。

 

58.MTシステムの7通りの計算方法

 MTシステムには7つの計算手法がありますので、それらについて簡単にご紹介します。

 1つ目の計算手法は「MT法」です。これまで、ズーッとご説明してきたのはほとんどがこの手法です。パターン認識の手法としては、最も強力で確実です。イプシロンロケットに採用されているのも、MT法です。項目それぞれの大きさだけではなく、項目どうしの相関すなわちバランスも考慮する方法です。

 

59.標準化誤圧法について

 MT法以外の方法として「標準化誤圧法」というややこしい名前の手法があります。 この方法は、噛み砕いて言えば「標準偏差」なのですが、別の言い方をするとMT法から相関の要素をスッポリと取り去った方法です。だいぶ前にご説明した「モナリザ」を例とするなら、目鼻などパーツの大きさだけでパターンを判定する方法です。目の間隔が離れていても、パーツがほぼ同じなら「同じパターン」としてしまおうという考えです。

  「標準化誤圧法」は「ひょうじゅんか ごあつほう」と読みますが、その利点と不足点を記載します。 利点は計算方法がきわめて簡単で計算速度が速いということです。相関を考えませんから、それに伴う計算が全く不要です。楕円などを考える必要がありません。問題によっては、相関を考える必要がない場合もあります。 不足点は、「バランス崩れに感度がない」ことです。弁を開けているのに、水量が増えないといった状況には不向きです。

標準化誤圧法は、個々の項目の値を規準化して足し合わせるという単純な計算手法です。規準化とは、cmやkgなど単位や性質が異なる項目を共通の土俵で計算可能とするための手段です。MT法が持つ相関の要素をスッポリ除いた計算ですから、簡単であり、あまり相関を考慮する...

57.MTシステムのソフト

 Microsoft Excel上でMTシステムの操作ができる市販のソフトウェアがあります。筆者のアングルトライ社からも製品化しています。文字認識のサンプルデータも付いていますので、すぐに面白さを体験できます。詳しいことは、アングルトライのサイトをご覧ください。

 サイトを開くと、右側にズラッとソフト名が表示されていますが、その中のMTRT-AddInsという製品がExcel上で動作するソフトです。少し高価ですが、パフォーマンスは一級品です。

 

58.MTシステムの7通りの計算方法

 MTシステムには7つの計算手法がありますので、それらについて簡単にご紹介します。

 1つ目の計算手法は「MT法」です。これまで、ズーッとご説明してきたのはほとんどがこの手法です。パターン認識の手法としては、最も強力で確実です。イプシロンロケットに採用されているのも、MT法です。項目それぞれの大きさだけではなく、項目どうしの相関すなわちバランスも考慮する方法です。

 

59.標準化誤圧法について

 MT法以外の方法として「標準化誤圧法」というややこしい名前の手法があります。 この方法は、噛み砕いて言えば「標準偏差」なのですが、別の言い方をするとMT法から相関の要素をスッポリと取り去った方法です。だいぶ前にご説明した「モナリザ」を例とするなら、目鼻などパーツの大きさだけでパターンを判定する方法です。目の間隔が離れていても、パーツがほぼ同じなら「同じパターン」としてしまおうという考えです。

  「標準化誤圧法」は「ひょうじゅんか ごあつほう」と読みますが、その利点と不足点を記載します。 利点は計算方法がきわめて簡単で計算速度が速いということです。相関を考えませんから、それに伴う計算が全く不要です。楕円などを考える必要がありません。問題によっては、相関を考える必要がない場合もあります。 不足点は、「バランス崩れに感度がない」ことです。弁を開けているのに、水量が増えないといった状況には不向きです。

標準化誤圧法は、個々の項目の値を規準化して足し合わせるという単純な計算手法です。規準化とは、cmやkgなど単位や性質が異なる項目を共通の土俵で計算可能とするための手段です。MT法が持つ相関の要素をスッポリ除いた計算ですから、簡単であり、あまり相関を考慮する必要のない問題に適しています。  

 

60.RT法について

 MTシステムの7通りの計算手法の3番目は「RT法」で、これはRecognition Taguchi法の略とされています。  主に文字や画像データを対象として、分類を目的に利用されます。この手法が“すごい”のは、項目数が多数あっても、最終的には2次元の変数にしてしまうという点です。例えば10,000項目の画像データでも、「似ている・似ていない」を2次元のM距離の問題にしてしまいます。従来のパターン認識の“常識”にはない視点を持っています。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

手島 昌一

データ解析やパターン認識をしてみたいけれど難しそう、と考えていませんか? MTシステムは“分かった”,“使える”への最適解です。

データ解析やパターン認識をしてみたいけれど難しそう、と考えていませんか? MTシステムは“分かった”,“使える”への最適解です。


「MTシステム」の他のキーワード解説記事

もっと見る
MTシステム超入門(その23)

1.MTシステムは人工知能か?  JAXAの森田泰弘博士が、MTSを人工知能と呼びました。確かに使用目的はいわゆる人工知能と同じですが、計算プロセスには...

1.MTシステムは人工知能か?  JAXAの森田泰弘博士が、MTSを人工知能と呼びました。確かに使用目的はいわゆる人工知能と同じですが、計算プロセスには...


MTシステム超入門(その6)

26.いつもと違うことは分かりやすい  今回は「一様な集団」について考察します。パターンを測るときの原点です。  「今日は体調がおかしい」と感じること...

26.いつもと違うことは分かりやすい  今回は「一様な集団」について考察します。パターンを測るときの原点です。  「今日は体調がおかしい」と感じること...


MTシステム超入門(その5)

25.M距離の考え方が一目でわかる図  前回使用した図に手を加えて、M距離の考え方を図にしました。右図の左の五角形の青い○印が3種類の濃さで示されて...

25.M距離の考え方が一目でわかる図  前回使用した図に手を加えて、M距離の考え方を図にしました。右図の左の五角形の青い○印が3種類の濃さで示されて...


「MTシステム」の活用事例

もっと見る
イプシロンロケットとMTシステム

1.イプシロンロケット打上げ成功とMTシステム  先月9月14日午後2時に、JAXAのイプシロンロケットが無事打上げに成功しました。成否を左右する「ロケ...

1.イプシロンロケット打上げ成功とMTシステム  先月9月14日午後2時に、JAXAのイプシロンロケットが無事打上げに成功しました。成否を左右する「ロケ...


T法によって拡張されたパラメータ・スタディー

 これは2012年の品質工学研究発表大会で、リコーの細川哲夫さんが発表した「T法によって拡張されたパラメータ・スタディー」を、ご本人の承諾を得て要約掲載し...

 これは2012年の品質工学研究発表大会で、リコーの細川哲夫さんが発表した「T法によって拡張されたパラメータ・スタディー」を、ご本人の承諾を得て要約掲載し...


半導体製造プロセスにおけるパラメータ設計とT法の併用による超効率的条件最適化

これは2010年の品質工学研究発表大会で、東芝の岡川宏之さんが発表した「半導体製造プロセスにおけるT法活用による超効率的プロセス条件最適化」を要約したもの...

これは2010年の品質工学研究発表大会で、東芝の岡川宏之さんが発表した「半導体製造プロセスにおけるT法活用による超効率的プロセス条件最適化」を要約したもの...