【特許活用によるイノベーション創出 連載目次】
前回のその1に続いて解説します。
3. 特許活用 : 自社の特許
技術をもとに利益を上げている会社の場合、ほとんどが特許を出願していると思います。知財を重視している大企業ですと、知財部が自社の特許の整理をして特許戦略や方向性などを考えている場合もあるかと思います。しかしながら、多くの企業では、自社の特許が十分に活用されていないのではないでしょうか。
元キヤノンの丸島さんによると「日本では現在、ものづくり産業が低迷しています。技術大国と言われながら、それが産業競争力の強化に結びついていない点で根深いものがあります。特に技術志向型である日本の企業においては、知的財産を活用した事業戦略・研究開発戦略・知的財産戦略の三位一体の経営戦略を実現することがグローバル競争で勝ち抜く唯一の手段であり、それを実現できる知的財産マネジメント人材は、まだまだ日本には少ない状況です。」とのことです。
丸島さんのセミナーを受講させていただいたことが有りますが、私も知財の重要性を認識しました。
さて、自社の特許からはいろんなことがわかると思いますが、私が自社技術を用いてイノベーション創出するために重要なのは、自社の
コアコンピタンス(核となる能力・得意分野)が何であるかということだと思います。登録された特許には、他社を排他できる技術があります。そして事業や製品を差別化するためのコアコンピタンスが特許に記載されているはずです。それらは企業の収益性の源泉になる(なっている)はずです。
これらは、知財部に任せた分析ではなく、技術者と経営者が一体となって考えることが重要だと思います。パテントマップを作っただけでは何ににもならりません。自社の特許を見て、自社のコアコンピタンス(核となる能力・得意分野)は何かということを認識することが重要です。
すなわち、モノづくりに関係する企業の収益性はイノベーション創出力に関係します。イノベーション力は現状の特許に現れているということです。その特許から自社の強みを認識する必要があります。
4. 特許活用 : 特許に書いてあること
特許明細書に何が書いてあるかというのを以下に記載します。
- この発明は・・・に関するものである。(発明の属する技術分野)
- 従来にはこのようなものがあった。(従来の技術)
- しかし、それにはこのような欠点(問題)があった。(発明が解決しようとする課題)
- その欠点を解決するためにこのようにする。(課題を解決するための手段)
- 具体的にはこのようにする。(...