品質管理 中国工場管理の基本事例(その12)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

◆ 品質管理-中国工場の品質が良くないのはなぜか(その2)

 今回は、ある日系中国工場で取り組んだ事例を紹介します。この工場では従来型の作業からの転換を目指しました。次に従来型の作業と目指した形の違いを示します。

(1) 従来型作業

 ・作業の単純化(作業の分解)
 ・マニュアル化

  • 熟練不要
  • 作業者の入替可

(2) 目指した作業の形

 ・作業の複数化(作業の組み合せ)
 ・スキルの養成

  • 熟練必要
  • 作業者の入替不可

 

 従来型作業というのは、前回書いたような「単純化・標準化、マニュアル通り、熟練不要」のことです。

 目指した形というのは、作業を「複数化・組合せ」するセル生産型の作業になります。そのためには作業者のスキルアップと熟練が必要になり、熟練が達成できれば、そこにはノウハウが蓄積され会社の財産になると考えた訳です。

 一方で次のような側面も持っています。従来型作業であれば、作業者の入替は問題なくできます。つまり単純な作業なので作業者が辞めても別の人を連れてくれば代わりはすぐ務まるということです。しかしセル生産型作業では、作業者の入替は簡単にはできません。熟練した作業者なので、誰でも代わりが務まるということにはなりません。


 さて、この日系工場が目指した結果ですが、実は志半ばで挫折してしまいました。

 理由は、これらを進めていた途中に起きたリーマンショックを境に、作業者の定着率が急激に悪化したためです。セル生産型作業は定着が前提となるのですが、その前提が崩れてしまった訳です。もともと中国は日本に比べ定着率は悪いのですが、この日系工場では従来程度の定着率があれば「できる」と考えて始めたのでした。

 この日系工場が目指したセル生産型作業は間違っていないと思います。ただし中国工場の工程や作業者のすべてを、この目指した形...

生産マネジメント

 

◆ 品質管理-中国工場の品質が良くないのはなぜか(その2)

 今回は、ある日系中国工場で取り組んだ事例を紹介します。この工場では従来型の作業からの転換を目指しました。次に従来型の作業と目指した形の違いを示します。

(1) 従来型作業

 ・作業の単純化(作業の分解)
 ・マニュアル化

  • 熟練不要
  • 作業者の入替可

(2) 目指した作業の形

 ・作業の複数化(作業の組み合せ)
 ・スキルの養成

  • 熟練必要
  • 作業者の入替不可

 

 従来型作業というのは、前回書いたような「単純化・標準化、マニュアル通り、熟練不要」のことです。

 目指した形というのは、作業を「複数化・組合せ」するセル生産型の作業になります。そのためには作業者のスキルアップと熟練が必要になり、熟練が達成できれば、そこにはノウハウが蓄積され会社の財産になると考えた訳です。

 一方で次のような側面も持っています。従来型作業であれば、作業者の入替は問題なくできます。つまり単純な作業なので作業者が辞めても別の人を連れてくれば代わりはすぐ務まるということです。しかしセル生産型作業では、作業者の入替は簡単にはできません。熟練した作業者なので、誰でも代わりが務まるということにはなりません。


 さて、この日系工場が目指した結果ですが、実は志半ばで挫折してしまいました。

 理由は、これらを進めていた途中に起きたリーマンショックを境に、作業者の定着率が急激に悪化したためです。セル生産型作業は定着が前提となるのですが、その前提が崩れてしまった訳です。もともと中国は日本に比べ定着率は悪いのですが、この日系工場では従来程度の定着率があれば「できる」と考えて始めたのでした。

 この日系工場が目指したセル生産型作業は間違っていないと思います。ただし中国工場の工程や作業者のすべてを、この目指した形の作業にするのは無理があります。従来型作業と区分して、うまくバランスを取って進めることが大事だと考えています。

 ここで頭に入れておくべきことは、中国では日本に比べ作業者の入れ替わりは激しいですが、全員が入れ替わる訳ではないということ。定着してくれている人もいるはずなので、そういう人たちをコアにしてスキルの向上を図ることです。

 次回は、作業者を定着させるためには何が必要かについて考えます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「品質マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
工場のヒューマンエラー対策<7つのアプローチ> (その2)

 ヒューマンエラーを防止するには、上流の工程設計段階で予防対策を講じておく事が重要であり、その時、人は本来エラーするものという前提に立ち、それをカバーする...

 ヒューマンエラーを防止するには、上流の工程設計段階で予防対策を講じておく事が重要であり、その時、人は本来エラーするものという前提に立ち、それをカバーする...


~固有技術と管理技術~ ファブレス小売業の品質保証(その6)

  特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業でも業界が異なると、慣習や考え方の基準は変ります。まして...

  特定分野を長期間に渡って学び・経験された方は多いと思います。しかし、同じ製造業でも業界が異なると、慣習や考え方の基準は変ります。まして...


中国工場の実状を知る、部品・材料について 中国工場の品質改善(その31)

 前回のその30に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方  この章では、自社中国工場の品質管理の進め方・考え方をお伝えし...

 前回のその30に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方  この章では、自社中国工場の品質管理の進め方・考え方をお伝えし...


「品質マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
取引先評価とコスト優先 中国企業の壁(その52)

       1. 外注業者の評価    日本品質を目指している中国企業A社では、外注業者の品質改善を最重要課題として取組みました。その施策の1...

       1. 外注業者の評価    日本品質を目指している中国企業A社では、外注業者の品質改善を最重要課題として取組みました。その施策の1...


把握している問題点をどのように改善するのか 中国企業の壁(その50)

        日本品質を目指している中国企業A社は、いろいろな取り組みをしているものの工程内不良や顧客クレームが継続して発生しています。特に昨年は...

        日本品質を目指している中国企業A社は、いろいろな取り組みをしているものの工程内不良や顧客クレームが継続して発生しています。特に昨年は...


手直しは気が付いた作業者が行えばよい? 中国企業の壁(その11)

1. 手直しは気が付いた作業者が行えばよい?  一品物(いっぴんもの)の機械装置を製作していると中国企業のある工場では、機械装置の躯体となる鉄材を加...

1. 手直しは気が付いた作業者が行えばよい?  一品物(いっぴんもの)の機械装置を製作していると中国企業のある工場では、機械装置の躯体となる鉄材を加...