今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大(抽象化)/縮小(具体化)できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
1. 相変化原理の概要
物質の相変化によって変化する現象を活用する考え方です。物理的矛盾の解決策の分離原理の一つとほぼ同じ考え方です。例えば、熱により形を変える水や形状記憶合金もこの相変化になります。
図1. 36相変化原理のイメージ図
2. サブ原理の種類と図解事例
a.体積の変化、熱の損失や吸収等の相変化の間に起こる現象を利用する考え方
(1)ドライアイスは、二酸化炭素を加圧して液化して、さらに気化熱が奪われ温度が凝固点を下回ること
で固体化します。
図2.ドライアイス
(2)ヒートポンプは、圧縮機と膨張弁で循環している冷媒の温度と圧力を調整することで、冷たい冷媒に
接している水や空気から、熱い冷媒に接している水や空気に熱を移動させます。
図3. ヒートポンプの原理
3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例
・蒸気機関車
・自動翻訳ソフト
・階層別教育システム
4. 40の発明原理の主な活用法
a.慣習的に使われている方法
問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、真の目的または根本原因を確認後、関連しそうな発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法
矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性(パラメータ)が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば、改善する特性で「移動物体の体積」、悪化する特性で「移動物体の面積」を選ぶと、矛盾 Matrix表の交点に、「01分割原理」「04非対称原理」「07入れ子原理」「17他次元移行原理」を確認できます。
参考文献
1. Darrell Mann 他:TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新(創造開発イニシアチブ)
2. 粕谷茂:図解これで使えるTRIZ/USIT(日本能率協会)
3. 粕谷茂:SEのスピード発想術(技術評論社)
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