前回の19 周期的作用原理に続いて解説します。今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大(抽象化)/縮小(具体化)できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
1. 連続性原理の概要
同じ動作やプロセスを連続的に行うことで効率をあげようとする考え方です。例えば、回転数を一定にさせるために活用する「はずみ車」やロール状に巻いた材料の自動供給システムなどが相当します。
図1 20連続性原理のイメージ図
2. サブ原理の種類と図解事例
a.物体やシステムの全ての部分が、常に、十分な負荷で働くようにする考え方
バネは、一定の負荷条件で連続的に生産され、均一な製品となっています。
図2 バネ製造機械(参考文献:フセハツ工業株式会社 HP)
b.無駄で断続的な動作をすべて除去する考え方
フィルターや紫外線の自動クリーニング機構付きエアコンは、冷房機能を停止することなく動作します。
図3 自動クリーニング機構付エアコン(参考文献:パナソニック株式会社 HP)
3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例
・心臓ペースメーカー
・Webのチャットシステム
・瞬間接着剤
4. 40の発明原理の主な活用法
a.慣習的に使われている方法
問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは,40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法
矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性(パラメータ)が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば,改善する特性で「移動物体の体積」,悪化する特性で「移動物体の面積」を選ぶと,矛盾 Matrix表の交点に、「01分割原理」「04非対称原理」「07入れ子原理」「17他次元移行原理」を確認できます。
参考文献
1. Darrell Mann 他:TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新(創造開発イニシアチブ)
2. 粕谷茂:図解これで使えるTRIZ/USIT(日本能率協会)
3. 粕谷茂:SEのスピード発想術(技術評論社)
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