情報の停滞は機会損失を増幅 中小メーカ向け経営改革の考察(その26)

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1、情報伝達に関する留意点

 前回のその25に続いて解説します。

(1)情報伝達に際しての注意事項

a.指示事項には自分の考えを折り込む
 
 情報社長や経営層から指示された内容を管理者が部下に指示する場合「社長から指示されたから○○を実施すること」とオウム返しのように部下に指示する事は説得力が全くありません。
 
 「実施する目的は何か、いつまでに完了させるのか、実施の構成員は誰か、そのリーダーは誰か」と求められる事柄を自分の言葉で説明しなければ、指示された部下は本気で実施する気になりません。リーダーの指示の仕方が良くないのに、部下が指示した通りに行動してくれないと嘆くような事にならないようにしましょう。特に大切な事は、目的を理解しないで行動すると、適正な判断ができず誤りを犯しやすいから、実施する目的を明らかにすることです。
 
b.事実と自己の判断を区別した情報伝達
 
 問題の発生に直面した時、情報伝達を受けた時など、報告する内容として注意すべきことは、実際に確認した事項と自分の考えを区別することです。見聞した事実を先に報告し、自己の解釈は後で断りを入れて述べる。この両者が混同して伝達されると、報告を受けた人が判断の誤りを犯す事になります。
 
 情報の伝達に当たっては、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)の原則を満たした報告になるように努めます。また、口頭では聞き漏らし・聞き違いが生じやすいので、メモ用紙に記載して伝達するように習慣付けます。    
 
c. 会議の空転防止
 
 会議では問題点の検討を始め、経営面での様々な事項の検討が行われます。関係資料、現物を会議の場に持参する事は不可欠です。会議によっては、現物がその場にないのに、「○○に違いない」「いや△△である」などと議論している場面もあります。このような事は避け、会議を中断してでも現物を持参させましょう。あるいは、全員で現場に行くことです。その場の全員が現物を見て、実際はどのようになっているのか確認しながら会議をすると、短時間で適正な結論が得られます。
 
 特定の人に関して発生した問題を検討する場合、当人は事情があって出席していないのに、「あれやこれや」と議論していることもあるようです。次回の会議に参加させて検討する、または、当人に確かめておく、といった様に司会者が議論を預かるようにしなければ、時間のムダとなります。管理者層以上の会議では人件費の高い人が多いので、会議を有効なものにし、空転は避けなければなりません。
 

(2)付加価値を付けた情報伝達の必要性

 伝達された内容を更に次の担当者に伝達する場合には、担当者としての立場から、付加価値を付けて迅速に伝えます。機械的に右から左に伝えるよりも伝達力が強くなります。付加するのは、担当者としての利用に際して注意事項、関心の程度等です。利用する事で得られる損失防止の可能性なども添え書きすると、情報伝達の価値が増強されます。ただし、伝達された内容と区分して記載します。
 
 このようにして情報を循環させることで付加価値が付いていきます。情報が停滞すれば価値が得られなくなるだけでなく、予防できるはずの損失を招きます。特に、取引先に関するクレ-ム等の情報は早く、的確に、伝達しましょう。伝達が遅れる事で信用の失墜や損失の倍化を招くのは珍しいことではありません。
 

2.会議情報伝達の停滞に起因する問題

 会議での決定事項が守られず、会議不信を募らせるのは、会議に参加する管理者の人件費の浪費も加わって大きな損失になります。会議の運営技術、役割分担のあり方等の...

1、情報伝達に関する留意点

 前回のその25に続いて解説します。

(1)情報伝達に際しての注意事項

a.指示事項には自分の考えを折り込む
 
 情報社長や経営層から指示された内容を管理者が部下に指示する場合「社長から指示されたから○○を実施すること」とオウム返しのように部下に指示する事は説得力が全くありません。
 
 「実施する目的は何か、いつまでに完了させるのか、実施の構成員は誰か、そのリーダーは誰か」と求められる事柄を自分の言葉で説明しなければ、指示された部下は本気で実施する気になりません。リーダーの指示の仕方が良くないのに、部下が指示した通りに行動してくれないと嘆くような事にならないようにしましょう。特に大切な事は、目的を理解しないで行動すると、適正な判断ができず誤りを犯しやすいから、実施する目的を明らかにすることです。
 
b.事実と自己の判断を区別した情報伝達
 
 問題の発生に直面した時、情報伝達を受けた時など、報告する内容として注意すべきことは、実際に確認した事項と自分の考えを区別することです。見聞した事実を先に報告し、自己の解釈は後で断りを入れて述べる。この両者が混同して伝達されると、報告を受けた人が判断の誤りを犯す事になります。
 
 情報の伝達に当たっては、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)の原則を満たした報告になるように努めます。また、口頭では聞き漏らし・聞き違いが生じやすいので、メモ用紙に記載して伝達するように習慣付けます。    
 
c. 会議の空転防止
 
 会議では問題点の検討を始め、経営面での様々な事項の検討が行われます。関係資料、現物を会議の場に持参する事は不可欠です。会議によっては、現物がその場にないのに、「○○に違いない」「いや△△である」などと議論している場面もあります。このような事は避け、会議を中断してでも現物を持参させましょう。あるいは、全員で現場に行くことです。その場の全員が現物を見て、実際はどのようになっているのか確認しながら会議をすると、短時間で適正な結論が得られます。
 
 特定の人に関して発生した問題を検討する場合、当人は事情があって出席していないのに、「あれやこれや」と議論していることもあるようです。次回の会議に参加させて検討する、または、当人に確かめておく、といった様に司会者が議論を預かるようにしなければ、時間のムダとなります。管理者層以上の会議では人件費の高い人が多いので、会議を有効なものにし、空転は避けなければなりません。
 

(2)付加価値を付けた情報伝達の必要性

 伝達された内容を更に次の担当者に伝達する場合には、担当者としての立場から、付加価値を付けて迅速に伝えます。機械的に右から左に伝えるよりも伝達力が強くなります。付加するのは、担当者としての利用に際して注意事項、関心の程度等です。利用する事で得られる損失防止の可能性なども添え書きすると、情報伝達の価値が増強されます。ただし、伝達された内容と区分して記載します。
 
 このようにして情報を循環させることで付加価値が付いていきます。情報が停滞すれば価値が得られなくなるだけでなく、予防できるはずの損失を招きます。特に、取引先に関するクレ-ム等の情報は早く、的確に、伝達しましょう。伝達が遅れる事で信用の失墜や損失の倍化を招くのは珍しいことではありません。
 

2.会議情報伝達の停滞に起因する問題

 会議での決定事項が守られず、会議不信を募らせるのは、会議に参加する管理者の人件費の浪費も加わって大きな損失になります。会議の運営技術、役割分担のあり方等の見直しを図らない限り、経営システムの活性化を図ることはできません。会議司会者に会議運営の技術を体得させる事は非常に大切な課題です。参加意識を育てるために会議司会者を交代制にしている企業が見られるが、その方法を導入して良い成果を得ている例はありません。
 
 参加意識を育成するには、次回に解説するバズセッションが有用です。また、質疑応答の時間で発言しない人を指名して意見を求める事も意義があります。指名に際しては、当人に関連性のある問題について質問します。関連性の薄い問題点について意見を求める事は酷です。意見を求めて直ぐ返答しない場合、無言の時間が流れます。だが、無言のままでも少なくとも1分間程度は待ちましょう。それ以上待っても意見が出ない場合には、考えておくように指示して、一巡後に再度同じ質問を投げかけるような事を数回行っていけば、意見が示されるようになります。
 

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この記事の著者

新庄 秀光

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