1.顧客が腹を立てている
(3) クレーム対応:火に油を注いだ一流企業の対応
前回のその6に続いて解説します。
その後、1週間が過ぎても、2週間が過ぎても、1か月が過ぎても、メーカーから何の連絡も入りません。気にはなりつつも、時間だけが過ぎました。
そして、約2か月後。メーカーの担当者が突然、私の留守中に訪ねてきました。「お預かりした修理品をお届けに参りました。一部の部品が悪くなっていたので、お取り替えしておきました」 故障した商品は、再び修理品として戻ってきました。
皆さんが想像されるとおり、私か要求した原因追究は、最後までいっさいが無視された形となったのです。発煙テレビを販売した一流メーカーは、自らの過失をまったく認めることなく、クレームの発生を葬ったのでした。
これが、TVCMでお馴染みの国際的メーカーの実態です。皆さんは、私の実体験をお読みになって、率直にどうお感じになったでしょうか。
- 「信じられない」
- 「担当者の常識を疑う」
- 「企業の製造物責任がまったく感じられない」
- 「問題外の対応だ」
きっとさまざまな感想をお持ちになるでしょう。
さて、ここからがポイントです。私か体験したトラブルには、読者の皆さんが反面教師として学び、明日の仕事に活かすべき教えが凝縮されています。このメーカーが犯した「重大なミス」を、箇条書きにしてみました。
- 商品トラブルが起こったときの連絡先が、わかりやすく明示されていないミス
- 連絡を受けた初期対応のミス
- 顧客対応の専門部署で即応しなかったミス
- 顧客の真意を独断で曲解し、高圧的な態度で処理を押しつけるミス
- あくまでも自社商品の正しさを確信し、修理品と決めつける唯我独尊的体質のミス
- 故障商品の故障原因を追究することなくすべての問題に蓋をするミス
このようなミスが指摘できるでしょう。ならば、このような信じがたいミスを犯さないためには、どのような「対応(=実践)」が求められるでしょうか。次にトラブル発生時の初期対応について、考えてみましょう。
(4) クレーム対応:クレームをトラブルに発展させない初期対応
クレームのないビジネスは存在せず、完全無欠の商品はありません。この真理を故意に否定しない以上、企業はクレーム対応、トラブル対応の行動指針を明確にしておく必要があります。なぜならば、稚拙で不用意な対応の結果、...