経営理念・方針などの混同 2 中小メーカ向け経営改革の考察(その6)

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 前回のその5に続いて解説します事業計画経営方針と事業計画が適正に設定されていないために生じている問題を挙げると次の4点のようになります。これらについては、2回に分けて解説します。その1は、(1)と(2)についてです。
 
   (1)生産計画の乱れ
 
   (2)生産コストの把握が困難
 
   (3)売上高増加に考えが偏り、具体策が乏しい
 
   (4)技術蓄積が図られない 
 

(1)生産計画の乱れが頻発する損失

 
 経営方針が多様な内容になっていると、日常行動は売上高を追求することに陥りやすく、受注品の技術領域は広がり過ぎて、生産計画を立てることが非常に難しくなります。そして「設計業務の誤り、段取替え時間の不定、調達資材の遅延、品質不良の発生、手直し品の発生」などの生産に対する混乱要因が多発し、当初に立てた生産計画の通りに進められない事態が発生します。
 
 製品の加工組立て等に関する正味作業の所要作業時間を把握することは、類似の工程から類推が比較的に容易であるが、上述した混乱要因の多い受注構成の場合、作業時間把握は非常に困難になります。混乱要因が基になって生産が計画通りに進捗することがなく、納期遅延を生じて顧客に迷惑をかけ、生産性の向上を阻害します。
 

(2)生産コストの把握を困難にする損失

 
 生産コストの算出には作業標準時間を求めなければなりませんが、単品・少量受注品の標準時間を構成する「正味作業時間、段取替え、余裕時間など」の内、正味作業時間の把握は困難ではなく、類似工程の所要工数から類推することは比較的に容易です。しかし、実際には前の項で記述した混乱要因が複雑に絡まる。それらは突発的に発生するため、生産コストを把握することが非常に困難になり、見積りの誤りが生じやすくなります。
 
 混乱要因の大半は損失時間に相当するものであるが、それらが正味作業時間と混在するため、分離して把握することは簡単にはできません。そのことが影響して生産コストの把握を難しくしているので、混乱要因の記録を取り、発生頻度と損失時間の大きい要因を見定めて、再発防止策を講じていくことを先行させるような経営方針を立て、事業計画に反映させる事が重要です。
 
 ところが、経営方針に含まれる将来展望の強い影響を受けて、足元の問題解決から取り組んでいくことに考えが及ばない事が生じます。...
 前回のその5に続いて解説します事業計画経営方針と事業計画が適正に設定されていないために生じている問題を挙げると次の4点のようになります。これらについては、2回に分けて解説します。その1は、(1)と(2)についてです。
 
   (1)生産計画の乱れ
 
   (2)生産コストの把握が困難
 
   (3)売上高増加に考えが偏り、具体策が乏しい
 
   (4)技術蓄積が図られない 
 

(1)生産計画の乱れが頻発する損失

 
 経営方針が多様な内容になっていると、日常行動は売上高を追求することに陥りやすく、受注品の技術領域は広がり過ぎて、生産計画を立てることが非常に難しくなります。そして「設計業務の誤り、段取替え時間の不定、調達資材の遅延、品質不良の発生、手直し品の発生」などの生産に対する混乱要因が多発し、当初に立てた生産計画の通りに進められない事態が発生します。
 
 製品の加工組立て等に関する正味作業の所要作業時間を把握することは、類似の工程から類推が比較的に容易であるが、上述した混乱要因の多い受注構成の場合、作業時間把握は非常に困難になります。混乱要因が基になって生産が計画通りに進捗することがなく、納期遅延を生じて顧客に迷惑をかけ、生産性の向上を阻害します。
 

(2)生産コストの把握を困難にする損失

 
 生産コストの算出には作業標準時間を求めなければなりませんが、単品・少量受注品の標準時間を構成する「正味作業時間、段取替え、余裕時間など」の内、正味作業時間の把握は困難ではなく、類似工程の所要工数から類推することは比較的に容易です。しかし、実際には前の項で記述した混乱要因が複雑に絡まる。それらは突発的に発生するため、生産コストを把握することが非常に困難になり、見積りの誤りが生じやすくなります。
 
 混乱要因の大半は損失時間に相当するものであるが、それらが正味作業時間と混在するため、分離して把握することは簡単にはできません。そのことが影響して生産コストの把握を難しくしているので、混乱要因の記録を取り、発生頻度と損失時間の大きい要因を見定めて、再発防止策を講じていくことを先行させるような経営方針を立て、事業計画に反映させる事が重要です。
 
 ところが、経営方針に含まれる将来展望の強い影響を受けて、足元の問題解決から取り組んでいくことに考えが及ばない事が生じます。将来展望を立てる事はもちろん大切ですが、そこに到達する手順を細分化し事業計画に反映させる事が非常に重要なのです。その発想が乏しく、事業計画が粗過ぎる例が多いようです。将来展望では代表者の意思を貫き、事業計画では幹部社員の意思を反映させるように努めることで、社内の一体感を育成することが可能になります。
 
次回のその2では、上記の(3)と(4)について解説します。
 
 

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新庄 秀光

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