社内体制構築 知財経営の実践(その49)

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1. 知財の持つ価値

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知財活動の実践とは

 知財活動を実践するためには、社内知財担当者と社内体制を構築することが必要です。知財に関する知見は、中小企業経営者、知財担当者だけでなく研究開発者、営業担当者等が一定の知見を身につけることが必要です。外部専門家を活用する場合でも、社内に知的財産権を理解できる人材が必要です。社内体制は、事業戦略部門、研究開発部門、知財部門を連携させることが重要です。

3. 知財経営:知財の知見が必要な社内人材とは?

 以下の人々は、知財を学んでいると会社にとって利益があると思われます。

・経営者及び経営担当者

 経営者自身が知財戦略の重要性を認識していることが必要です。知財に先進的な企業は、経営者自身あるいは知財管理者が知的財産権を経営に活かしている場合が多くみられます。中小企業の場合には、社長自身が知財担当者としてすべての知財管理を行っている場合があります。また知財担当役員を中心として事業戦略部門、研究開発部門、知財部門が一体となった知財管理体制を構築しているケースもあります。他社の知財動向を含む知財情報の管理や共有化により事業戦略に基づく研究開発、知財取得の合理化を図っている場合があります。

・研究開発・商品開発担当者

 研究開発部門は、知財との関わりが特に大きい部門です。研究開発前の特許調査を行うことで、研究開発の効率化を図ることができます。研究開発の中で生まれた発明を、いかに権利化していくか等、研究開発の成果が知財に直接結びついてきます。研究開発段階から知財管理を行うことが必要です。発明の提案があれば、先行技術特許調査を行い、調査結果を元に出願の要否、他社製品のベンチマーク等を行います。

・営業担当者

 中小企業の場合には、特許権等の知的財産権を持っていることで、取引先の信頼を得られることがあります。営業の材料として、特許権を活用する場合があります。競合他社の営業情報等から発明のヒントを見つけたり、自社の権利侵害の早期発見につなげている場合があります。その意味でも営業担当者も知財の基本的な知識を持つことが必要です。

・知的財産担当者

 中小企業でも専任ではなくても知財管理を行う人材が必要です。出願手続きを外部の弁理士に依頼しているから社内に知財担当者は不要というわけではありません。そのような場合でも、発明内容が出願書類に適切に反映されているか等を確認することが重要となります。会社と外部の弁理士のやりとりを調整できるような知財の知見を持つようにしましょう。

4. 知財経営:社内体制

 中小企業の場合には、大企業に比べると、経営者を中心とする意思決定プロセスが簡素化しています。そのため知財経営を行...

知的財産

1. 知財の持つ価値

 知財経営の実践については、その重要性が参考文献のように報告されています。〔1〕〔2〕知財の活用を、企業経営においては、常に意識しましょう。知財経営が有効となるのは、技術が自分の会社の強みとなる場合です。自社の強みを分析してみることが必要です。強みが技術にある場合は、知財戦略を考えてみましょう。

2. 知財活動の実践とは

 知財活動を実践するためには、社内知財担当者と社内体制を構築することが必要です。知財に関する知見は、中小企業経営者、知財担当者だけでなく研究開発者、営業担当者等が一定の知見を身につけることが必要です。外部専門家を活用する場合でも、社内に知的財産権を理解できる人材が必要です。社内体制は、事業戦略部門、研究開発部門、知財部門を連携させることが重要です。

3. 知財経営:知財の知見が必要な社内人材とは?

 以下の人々は、知財を学んでいると会社にとって利益があると思われます。

・経営者及び経営担当者

 経営者自身が知財戦略の重要性を認識していることが必要です。知財に先進的な企業は、経営者自身あるいは知財管理者が知的財産権を経営に活かしている場合が多くみられます。中小企業の場合には、社長自身が知財担当者としてすべての知財管理を行っている場合があります。また知財担当役員を中心として事業戦略部門、研究開発部門、知財部門が一体となった知財管理体制を構築しているケースもあります。他社の知財動向を含む知財情報の管理や共有化により事業戦略に基づく研究開発、知財取得の合理化を図っている場合があります。

・研究開発・商品開発担当者

 研究開発部門は、知財との関わりが特に大きい部門です。研究開発前の特許調査を行うことで、研究開発の効率化を図ることができます。研究開発の中で生まれた発明を、いかに権利化していくか等、研究開発の成果が知財に直接結びついてきます。研究開発段階から知財管理を行うことが必要です。発明の提案があれば、先行技術特許調査を行い、調査結果を元に出願の要否、他社製品のベンチマーク等を行います。

・営業担当者

 中小企業の場合には、特許権等の知的財産権を持っていることで、取引先の信頼を得られることがあります。営業の材料として、特許権を活用する場合があります。競合他社の営業情報等から発明のヒントを見つけたり、自社の権利侵害の早期発見につなげている場合があります。その意味でも営業担当者も知財の基本的な知識を持つことが必要です。

・知的財産担当者

 中小企業でも専任ではなくても知財管理を行う人材が必要です。出願手続きを外部の弁理士に依頼しているから社内に知財担当者は不要というわけではありません。そのような場合でも、発明内容が出願書類に適切に反映されているか等を確認することが重要となります。会社と外部の弁理士のやりとりを調整できるような知財の知見を持つようにしましょう。

4. 知財経営:社内体制

 中小企業の場合には、大企業に比べると、経営者を中心とする意思決定プロセスが簡素化しています。そのため知財経営を行いやすいということがあります。

 企業規模を問わず事業戦略部門、研究開発部門、知財部門を連携させることが重要です。事業戦略を立てる際に知財戦略と経営戦略が遊離しないように事業戦略部門、研究開発部門、知財部門が出席する会議体ですり合わせを行うようにするということが必要です。また、研究開発部門に知財担当者を配置するという体制をとっているところがあります。会議や委員会等を設置して知財戦略を強化することが重要です。

 次回に続きます。

【参考文献】
〔1〕特許庁「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2006」(H19.3)
〔2〕「戦略的な知的財産管理に向けて「知財戦略事例集」(2007.4特許庁)

 

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この記事の著者

立花 信一

材料技術者および特許技術者として、長年にわたって経験した知識・技術を最大限に生かし技術コンサルティング、知財コンサルティング、行政書士として契約書作成、補助金申請のお手伝いをします。

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