前回の事例その6に続いて解説します。産学交流による開発テ-マの探索や共同開発に関心が寄せられています。 大学には基礎研究の面で優れた開発テ-マの候補になり得る情報が多く埋もれています。 それらを事業化に結びつける事で、新しい分野への展開が可能になります。この場合には、大学から提供される技術情報とそれを加工して生産に展開する部分とで企業が分担しなければならない事項をきちっとわきまえて取り組むようにしなければ共同開発での成功は困難です。
‐産学交流からの開発テ-マと市場の観察‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その7)
2015-11-15
大学の実験室における研究で明確な成果品が得られても、それを量的に反復生産する段階になると、新しい技術問題が次々と現れてきます。これらの中には大学の協力を得て解決が可能な問題もありますが、大部分の問題は企業内で解決しなければならない場合が多く、この捕らえ方を誤って共同開発が上手く進展しなかった事例もあります。
また、シ-ズ先行で開発が行われる場合が多くなるので、この点への配慮に欠けるとリスクの高い開発になります。開発テ-マに上がった事項についてそれが実現した場合にどのような客先に使用されるのか、客先になると想定される客層に実際に接触して突っ込んだ調査を行い、市場性を見極めた上で類似品や代替品との比較でどの程度のレベルに目標を設定して開発に取り組まなければならないのか。多面的な市場調査が必要です。
シ-ズ先行で開発に取り組む場合、客層に想定した相手方の調査に際して開発情報の一部を伝える事は、秘密が事前に漏れる恐れがあると...
して、調査を行わない企業が多いです。 秘密にしなければならない事は重要な事ですが、それが行き過ぎることにより、顧客の実情に適した開発から遠ざかり、開発費用が必要以上に支出される傾向があります。 秘密にすべき範囲を絞り込み、信頼できる顧客に接触して、顧客の需要の実態を調べてそれに適した開発に取り組む様に努めることが肝要です。