‐5Sの推進でコストダウンを図る 製品・技術開発力強化策の事例(その30)

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5s77配置に関する5Sの原則

 前回のその29に続いて解説します。工具、資材、部品及び仕掛品について最適配置の方法について検討する場合の判断の原則になるのは次の通りです。
 
   1)どの職場からでも移動距離は最短になるように、中央に配置
   2)段取り替えに必要な関連器具類はまとめて置く
   3)移動に際して他の作業員と交差しないような配置にする
   4)作業の流れに逆行して取りに行くような配置は禁止
   5)重量物は下に、軽量品は上に
   6)上から下に流し、下から上には流さない
 

配置案の採否の決め方と評価法

 A.生産現場の5S

 配置について検討を進めていくと、異なった意見の対立でまとめることが難しくなる場合があります。 始めから一つの案にまとめる積もりで意見を求めていくと、まとめるのに必要以上の時間と労力を費やさなければならなくなるので、複数、少なくとも2案を並行して検討して、最終的には評価点数で比較の上、採否決定する方法を取ると、全員の意見を公平に扱った印象が残り、その後の5S推進がやり易くなります。
 
 様々に提案される配置案について、「改善に必要な費用、段取り時間の短縮、所要面積、作業性、安全性」の評価項目について、採点した上で採否を決める。費用については、実際に支出される予定の金額を示します。段取り時間の短縮では実際に短くなると想定される時間を記入します。この場合、時間短縮が移動距離に基づく短縮だけの場合には、秒単位で記入します。作業者により差が出るので概略の平均値を決めます。所要面積では実際に必要な面積を記入します。作業性と安全性については次の評価点を採用します。特に良い:5 少し良い:4 現状維持:3 少し悪い:2 かなり悪い:1、この評価点については、参加者全員が採点しその平均点を記入します。
 
 検討を進める過程では、問題になっている職場の平面図(1/50~100)を用意し、同じ縮尺でテンプレ-ト(平面図と同じ縮尺で描いた機械、台車、などの平面図を切り抜いたもの)を作り、図面の上に実際に配置されている通りにテンプレ-トを置いて、比較検討してみます。実際に図面の上で作業が行われている通りに仕掛品や人の動きに沿って検討を加える事で掘り下げた考察が出来ます。配置の検討を行う場合、建物の柱、機械の突出部及び仕掛品等についても実際に置かれている通りに、きちんと図示しておく事が大切です。また、機械の背面等で補修作業が可能な広さを確保しておく配慮も必要です。このようにして、省力効果を数値化して複数の案の比較します。改善前後の計数値の比較で効果を判定する方法を工夫する事で、5Sの効果が実感できるようになります。
 

 B.事務作業の5S

 事務作業では書類を自分の机の引き出しに取り込み、他の人には何が何処にあるのか判りません。また、共用の書類棚があってもファイルの方法が統一していないため、必要な書類を直ぐに取り出す事が出来ないで時間を費やす羽目に陥ります。このような状態を無くすため、書類のファイルの方法、表示の仕方、目次のつけ方及び小見出しの付け方等について共通のル-ルを設けて実施します。
 
 電子文書目録の整備も含めて、文書類の整理・整頓を徹底しないと文書の取り出しに時間がかかり、必要な文書を直ぐに取り出す事が出来ません。その結果、同じような文書が複数存在する事になり、業務を複雑にするだけでなく、間違いを発生させる原因になります。
 
 文書の整理については、完全を狙って10年くらい前の文書からファイルの方法を決めて実施していくような事をやめ、最も現在に近い文書から漸次前に遡って整理していく事です。また、利用頻度の高い文書から整理していく事が何よりも大切です。ファイルの仕方としては、品目別、顧客別、受注順序別などの区分によりファイルされる場合が多いですが、何を主にし、何をサブにするのか、その方針を先に決めた上で実施します。
 
 どのようなファイルの方法を決めるのか、業務内容をよく点検した上で、最も使いやすい方法...

5s77配置に関する5Sの原則

 前回のその29に続いて解説します。工具、資材、部品及び仕掛品について最適配置の方法について検討する場合の判断の原則になるのは次の通りです。
 
   1)どの職場からでも移動距離は最短になるように、中央に配置
   2)段取り替えに必要な関連器具類はまとめて置く
   3)移動に際して他の作業員と交差しないような配置にする
   4)作業の流れに逆行して取りに行くような配置は禁止
   5)重量物は下に、軽量品は上に
   6)上から下に流し、下から上には流さない
 

配置案の採否の決め方と評価法

 A.生産現場の5S

 配置について検討を進めていくと、異なった意見の対立でまとめることが難しくなる場合があります。 始めから一つの案にまとめる積もりで意見を求めていくと、まとめるのに必要以上の時間と労力を費やさなければならなくなるので、複数、少なくとも2案を並行して検討して、最終的には評価点数で比較の上、採否決定する方法を取ると、全員の意見を公平に扱った印象が残り、その後の5S推進がやり易くなります。
 
 様々に提案される配置案について、「改善に必要な費用、段取り時間の短縮、所要面積、作業性、安全性」の評価項目について、採点した上で採否を決める。費用については、実際に支出される予定の金額を示します。段取り時間の短縮では実際に短くなると想定される時間を記入します。この場合、時間短縮が移動距離に基づく短縮だけの場合には、秒単位で記入します。作業者により差が出るので概略の平均値を決めます。所要面積では実際に必要な面積を記入します。作業性と安全性については次の評価点を採用します。特に良い:5 少し良い:4 現状維持:3 少し悪い:2 かなり悪い:1、この評価点については、参加者全員が採点しその平均点を記入します。
 
 検討を進める過程では、問題になっている職場の平面図(1/50~100)を用意し、同じ縮尺でテンプレ-ト(平面図と同じ縮尺で描いた機械、台車、などの平面図を切り抜いたもの)を作り、図面の上に実際に配置されている通りにテンプレ-トを置いて、比較検討してみます。実際に図面の上で作業が行われている通りに仕掛品や人の動きに沿って検討を加える事で掘り下げた考察が出来ます。配置の検討を行う場合、建物の柱、機械の突出部及び仕掛品等についても実際に置かれている通りに、きちんと図示しておく事が大切です。また、機械の背面等で補修作業が可能な広さを確保しておく配慮も必要です。このようにして、省力効果を数値化して複数の案の比較します。改善前後の計数値の比較で効果を判定する方法を工夫する事で、5Sの効果が実感できるようになります。
 

 B.事務作業の5S

 事務作業では書類を自分の机の引き出しに取り込み、他の人には何が何処にあるのか判りません。また、共用の書類棚があってもファイルの方法が統一していないため、必要な書類を直ぐに取り出す事が出来ないで時間を費やす羽目に陥ります。このような状態を無くすため、書類のファイルの方法、表示の仕方、目次のつけ方及び小見出しの付け方等について共通のル-ルを設けて実施します。
 
 電子文書目録の整備も含めて、文書類の整理・整頓を徹底しないと文書の取り出しに時間がかかり、必要な文書を直ぐに取り出す事が出来ません。その結果、同じような文書が複数存在する事になり、業務を複雑にするだけでなく、間違いを発生させる原因になります。
 
 文書の整理については、完全を狙って10年くらい前の文書からファイルの方法を決めて実施していくような事をやめ、最も現在に近い文書から漸次前に遡って整理していく事です。また、利用頻度の高い文書から整理していく事が何よりも大切です。ファイルの仕方としては、品目別、顧客別、受注順序別などの区分によりファイルされる場合が多いですが、何を主にし、何をサブにするのか、その方針を先に決めた上で実施します。
 
 どのようなファイルの方法を決めるのか、業務内容をよく点検した上で、最も使いやすい方法を決める必要があります。事務作業の5Sに取り組むにあたっての手順は次による。
 
1)使用頻度の高い文書から実施する
2)使用頻度が高く5Sに取り上げる必要のある文書の量を把握する
3)ファイル方法のル-ルを決める事を始め、5Sの対象に上げた文書を一通りル-ルに沿って整理に要する期間を見積もります。この場合、希望的な期間の設定でなく、日常作業を行いながらファイルを行って行く事が可能な期間を決めます。例えば一つの文書を一週間で整理するとすれば、20種の文書があると20週(5ヶ月間)を要する事になります。
4)ファイルの推進責任者とその協力者を指名する。
5)文書の整理に従事する時間帯は定期的に行うように設定する。
 
 事務作業の5Sが適正に行われている事を評価するには、計画通りに文書の整理が進展しているのか、そして、必要な文書を誰が取り出しても1分以内に取り出せるようなル-ルを決めます。この判定基準に沿わないものは、内容を見直してル-ルを改訂します。
 

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この記事の著者

新庄 秀光

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