中国企業・自社の検査員を仕入先に派遣 中国企業の壁(その35)

投稿日

 
  品質マネジメント
 
 ある中国企業では、トップが品管部にどのような役割を持たせるかで思案していました。
 
 現状この会社の品管部は、検査部門と言えるほどで検査以外の業務は出来ていませんでした。その理由のひとつは、トップが品管部の役割を明確にしてこなかったことがあります。そのため、全社の品質を統括するための体制が整っていませんでした。
 
 検査で不良品の流入や流出を防ぐという役割はもちろん当然ですが、それに加えて社内各部門がやるべき品質保証のための活動を品管部が統括する役割を担ってもらいたいと考えるようになりました。
 
 一方で、検査関係の業務がしっかりやれていたかと言うと、そうでもありませんでした。検査に必要な人員が不足していたのです。特に、仕入先に派遣する検査員が1人しかいなかったので、必要と考えている仕入先に派遣できておらず、場合により管理者(品管責任者)が行くこともよくありました。
 
 中国企業は、仕入先中国企業の品質や検査を信用していないので、自社の検査員を仕入先に派遣して、先方で検査をして良品だけを納入させることをやっているケースが少なくありません。
 
 品管部の責任者から検査員増員の承認を求められたトップは、「検査員を仕入先に派遣しても不良品は入ってきている。果たして効果はどうなのか?」と言って、増員は認めませんでした。品管部が全社の品質を統括するのは、いまや当たり前のことになっていますので、このトップがそう考えるのは自然なことです。
 
 しかし、その体制を取るのは簡単なことで...
 
  品質マネジメント
 
 ある中国企業では、トップが品管部にどのような役割を持たせるかで思案していました。
 
 現状この会社の品管部は、検査部門と言えるほどで検査以外の業務は出来ていませんでした。その理由のひとつは、トップが品管部の役割を明確にしてこなかったことがあります。そのため、全社の品質を統括するための体制が整っていませんでした。
 
 検査で不良品の流入や流出を防ぐという役割はもちろん当然ですが、それに加えて社内各部門がやるべき品質保証のための活動を品管部が統括する役割を担ってもらいたいと考えるようになりました。
 
 一方で、検査関係の業務がしっかりやれていたかと言うと、そうでもありませんでした。検査に必要な人員が不足していたのです。特に、仕入先に派遣する検査員が1人しかいなかったので、必要と考えている仕入先に派遣できておらず、場合により管理者(品管責任者)が行くこともよくありました。
 
 中国企業は、仕入先中国企業の品質や検査を信用していないので、自社の検査員を仕入先に派遣して、先方で検査をして良品だけを納入させることをやっているケースが少なくありません。
 
 品管部の責任者から検査員増員の承認を求められたトップは、「検査員を仕入先に派遣しても不良品は入ってきている。果たして効果はどうなのか?」と言って、増員は認めませんでした。品管部が全社の品質を統括するのは、いまや当たり前のことになっていますので、このトップがそう考えるのは自然なことです。
 
 しかし、その体制を取るのは簡単なことではありません。役割を明確にすること、そして、それを実践する能力がある人材を用意しなければなりません。
 
 この中国企業の場合、それ以前に検査体制を整えることが必要です。仕入先に検査員を派遣しても不良品が入ってくるから意味がないと判断するのは早計で、仮に、検査員を派遣していなかったら、どうなっていたか?と考えれば、わかると思います。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

根本 隆吉

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改善・再構築を第一の使命と考え皆様を支援します。

中国工場の改善・指導に強みを持っている専門家です。 社名の「KPI」は「Key Process Improvement」のことで、工場の最も重要な工程の改...


「品質マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
最終回 中国工場の品質改善(その84)

【第5章】中国企業改善指導のポイント 7、問題点を把握し対処する  前回のその83に続いて解説します。 【問題点事例】 (3)取引先に不良品を...

【第5章】中国企業改善指導のポイント 7、問題点を把握し対処する  前回のその83に続いて解説します。 【問題点事例】 (3)取引先に不良品を...


原因は必ず複数ある 慢性不良への対応(その1)

 まったく同じ作り方をしているにもかかわらず、前のロットの不良率は0.5%だったのに、このロットは8%も不良だった、不良内容もまったく違う・・・。ある日突...

 まったく同じ作り方をしているにもかかわらず、前のロットの不良率は0.5%だったのに、このロットは8%も不良だった、不良内容もまったく違う・・・。ある日突...


QCサークル活動、効果が出る進め方とは

    QCサークル活動は、なぜ効果の出ないマンネリ化した活動になってしまうのでしょうか。多くの工場では、多品種少量、受注生産で忙しい状...

    QCサークル活動は、なぜ効果の出ないマンネリ化した活動になってしまうのでしょうか。多くの工場では、多品種少量、受注生産で忙しい状...


「品質マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
受入検査で不合格が続発

  ◆受入検査NG、その原因は検査機器にあった!  ある工場で表面処理をしている部品の受入検査で不合格が続発していました。不合格の項目は...

  ◆受入検査NG、その原因は検査機器にあった!  ある工場で表面処理をしている部品の受入検査で不合格が続発していました。不合格の項目は...


抜取検査では品質保証できない事例から

   鉄製の支柱(長さ2000~4000mm)を生産している中国企業があり、その工場では支柱の加工のひとつとしてプレスで穴あけをしていまし...

   鉄製の支柱(長さ2000~4000mm)を生産している中国企業があり、その工場では支柱の加工のひとつとしてプレスで穴あけをしていまし...


中国企業と4M変動管理

   「4M管理」製造業に携わる方ならどなたでもご存知の言葉です。言葉を足せば「4M変動管理」という言い方になります。つまり4M管理とは、変化点管理に他...

   「4M管理」製造業に携わる方ならどなたでもご存知の言葉です。言葉を足せば「4M変動管理」という言い方になります。つまり4M管理とは、変化点管理に他...