【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】
前回のその50に続いて解説します。
【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方
【3.14 中国工場での従業員教育の進め方】
◆ 中国人が中国人に教える仕組みを作ることのメリット
この中国人が中国人に教える仕組みを作ることのメリットとして、次のようなことがあります。
(1)教育が日本人の手から離れる
通常の教育が日本人駐在員の手から離すことが出来ます。これは駐在員にとっては大きなメリットです。駐在員は忙しいので、その分他の仕事が出来ます。
(2)教育が継続して行える
日本人駐在員が教育を担当していると、いつの間にか教育に割く時間がなくなっていることが起こります。どういうことかというと、前述の通り駐在員は忙しく、さらに日本の本社から急な仕事が入ることも日常茶飯事です。そうなると「今日は教育の予定だったけど、急な仕事が入ったので中止」ということが起きます。それが、繰り返されていつの間にか教育自体をやらなくなります。このような事例をいくつも見ました。
これを中国人の仕事として任せていれば、中止になることなく必ず実施されます。
(3)教える人のレベルが上がる
みなさんも経験があると思いますが、人に教えるというのは実は教える本人が一番勉強になるのです。ですから、先生役の中国人白身の勉強になります。継続することで先生役の中国人のレベルも上がります。
◆ 管理者育成の要点
ここでいう管理者とは、現場の組長・班長や主管・科長のことを指します。この育成については、第2章で記していますので、ここでは要点をおさらいします。
(1)最も定着して欲しいのは現場の組長・班長
組長・班長は現場を指揮管理しているという観点から、工場の品質を左右するキーパーソンといえます。自社製品のQCDレベルは、この組長・班長のレベルによって決まるというのが筆者の持論です。
ただし、この人たちも万能ではありません。組長・班長に抜擢されるくらいですからそれなりに優秀な人たちであることは間違いありませんが、前述したように受けた教育の内容以上のことはできません。中にはできる人もいますが、その...
要するに、この人たちのできる仕事の範囲は、教育を受けた範囲だということです。ですから、会社としてこの人たちにやって欲しかったり、管理して欲しいことがあれば、それをできるように教育をしなければいけないということです。
この組長・班長教育も、仕組みを作れば中国人に任せることは可能です。
次回は、(2)科長にはさらなる役割がある。から解説を続けます。
【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行、筆者のご承諾により抜粋を連載