【実践編 第3章目次】
第3章 平準化で生産の波を小さくする
1. 生産を平準化する←今回の記事
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ
第3章 平準化で生産の波を小さくする
「平準化」は、生産の波を小さくする改革であるとともに、需要と供給を一致させる生産のしくみづくりです。この章では「生産計画の平準化」「段取り替え改革」「品質保証とポカヨケ」について説明します。
1. 生産を平準化する
平準化とは、大きな波をさざ波にすること。「需要」に合わせて「供給」する生産するしくみ。
(2)ダンゴ生産はヨーロッパが発祥
日本の工業は、そのほとんどが西洋をお手本にしてきました。西洋の製造業は、多くの場合、職能中心に行なわれています。たとえば、プレスエはプレス専門、旋盤工は旋盤専門で、ほかの職能を兼ねることはありません。単一の職能だけで形成された工場もあるほどです。
この考え方は組合の成り立ちにも反映され、職能別の組合が形成されており、そのルーツは、中世ヨーロッパのギルド(同職組合)に見ることができます。
そのような仕事に対する考え方では、はなから「多工程持ちによる1個流し」など、考えられなかったでしょう。
よくダンゴは日本独特なものと考えている人がいますが、これは誤りで、12世紀ごろのヨーロッパではすでに行なわれていました。ダンゴ生産とは、同一品種の数量をまとめて生産する方法です。あるとき、科学的な根拠が必要だとして、ロットをまとめたほうが効率的だとする「経済ロット」なる理論が導入されました。
日本では、つい最近まで、ほとんどの工場がこの方法を踏襲してきました。設備レイアウトは、職能ごとに作業場所が分かれるジョブショップ・レイアウトで、「単一工程持ち」を基本としています。
加工度を上げるたびに、モノを運搬しなければなりませんので、工程の前後に在庫がたまります。また、頻繁に段取り替えをするのは面倒なため、ロットと呼ばれるダンゴにまとめるほうが都合がよく、ロットの単位を区切りとしたのです。
(3)ダンゴ生産と平準化生産の違い
平準化生産は、どの日の、どの時間帯でも同じ品種の製品が一定量、生産されることから、「...