流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その41)

投稿日

 

 

【実践編 第2章目次】

第2章 流れ生産で工場に流れをつくる

1. 流れをつくる生産のライン化の手順
2. 多工程持ちで少人化を実現させる
3. 少人化で生産ラインを効率よく、柔軟にする
4. かんばんのしくみで引っ張り生産に転換する←今回の記事

第2章 流れ生産で工場に流れをつくる

実践編 第2章から、JIT改革の具体的な実践手法についての解説に入ります。「流れ生産」は、職場や現場に流れをつくる改革です。「流れ生産」「少人化」「かんばん」の3つの手法を取り上げます。

4. かんばんのしくみで引っ張り生産に転換する

かんばんは、モノの管理と作業指示のためのしくみです。わかりやすい「目で見る管理」にも有効です。

 

◆かんばんのしくみ

生産現場でいう “カンバン”には、 2種類があります。ひとつは、漢字で書く 「看板」で、モノの置き場や名前などを表示することで改革の基礎をつくる、 5Sの「整頓」で用いられます。通称、「漢字看板」「表示看板」などと呼ばれます。もうひとつは、ひらがなで書く「かんばん」で、部品などの在庫管理や作業指示などに使われます。「ひらがなかんばん」とも称します。

 

◆かんばんで「引っ張り生産」に転換

かんばんのもうひとつの特徴は、「引っ張り生産」に対応していることです。引っ張り生産は「後工程引き取り」が原則で、後工程が、必要なモノを、必要なときに、必要な分だけ、前工程から引き取ります。まさに、JIT生産に対応したしくみなのです。

 

顧客が製品を引き取ると、製品に付いていたかんばんが外れて、組立部門に戻ってきます。組立部門は、外れたかんばんの分だけ製品を組み立て、加工部門は、組立部門が引き取った分の部品を加工し、購入部門は、加工部門が引き取った分の材料を購入する、という方法で、実際にモノの要求が発生してから、情報が前工程に流れ、それに応じて作業するしくみをとっているのです。

 

従来の生産指示は、まったく逆の流れをしています。これまでは、生産計画をもとに各工程の作業計画を作成し、それぞれの工程にそれぞれの生産指示を行ないます。各工程はそれぞれの計画にもとづいて、ほかの工程とは関係なく、その工程のピッ...

 

 

【実践編 第2章目次】

第2章 流れ生産で工場に流れをつくる

1. 流れをつくる生産のライン化の手順
2. 多工程持ちで少人化を実現させる
3. 少人化で生産ラインを効率よく、柔軟にする
4. かんばんのしくみで引っ張り生産に転換する←今回の記事

第2章 流れ生産で工場に流れをつくる

実践編 第2章から、JIT改革の具体的な実践手法についての解説に入ります。「流れ生産」は、職場や現場に流れをつくる改革です。「流れ生産」「少人化」「かんばん」の3つの手法を取り上げます。

4. かんばんのしくみで引っ張り生産に転換する

かんばんは、モノの管理と作業指示のためのしくみです。わかりやすい「目で見る管理」にも有効です。

 

◆かんばんのしくみ

生産現場でいう “カンバン”には、 2種類があります。ひとつは、漢字で書く 「看板」で、モノの置き場や名前などを表示することで改革の基礎をつくる、 5Sの「整頓」で用いられます。通称、「漢字看板」「表示看板」などと呼ばれます。もうひとつは、ひらがなで書く「かんばん」で、部品などの在庫管理や作業指示などに使われます。「ひらがなかんばん」とも称します。

 

◆かんばんで「引っ張り生産」に転換

かんばんのもうひとつの特徴は、「引っ張り生産」に対応していることです。引っ張り生産は「後工程引き取り」が原則で、後工程が、必要なモノを、必要なときに、必要な分だけ、前工程から引き取ります。まさに、JIT生産に対応したしくみなのです。

 

顧客が製品を引き取ると、製品に付いていたかんばんが外れて、組立部門に戻ってきます。組立部門は、外れたかんばんの分だけ製品を組み立て、加工部門は、組立部門が引き取った分の部品を加工し、購入部門は、加工部門が引き取った分の材料を購入する、という方法で、実際にモノの要求が発生してから、情報が前工程に流れ、それに応じて作業するしくみをとっているのです。

 

従来の生産指示は、まったく逆の流れをしています。これまでは、生産計画をもとに各工程の作業計画を作成し、それぞれの工程にそれぞれの生産指示を行ないます。各工程はそれぞれの計画にもとづいて、ほかの工程とは関係なく、その工程のピッチで生産します。この方法では、工程間のモノの動きやコントロールは、前工程優先の「押し込み生産」となります。

 

◆押し込み生産と引っ張り生産の違い

 

JIT

JIT

 

次回に続きます。

 

【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

古谷 誠

「5S・3定」で改革・改善の基礎をつくり!JIT思想でムダを徹底して取り!心を生かしたモノづくりを目指す!

「5S・3定」で改革・改善の基礎をつくり!JIT思想でムダを徹底して取り!心を生かしたモノづくりを目指す!


「トヨタ生産方式」の他のキーワード解説記事

もっと見る
動作分析 流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その68)

  【実践編 第4章目次】 第4章 標準作業で作業のムダを取る 1. 標準作業で作業のスタンダードを設定する2. 動作分析で作業のムダ...

  【実践編 第4章目次】 第4章 標準作業で作業のムダを取る 1. 標準作業で作業のスタンダードを設定する2. 動作分析で作業のムダ...


自働化と人離し 流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その69)

  【実践編 第4章目次】 第4章 標準作業で作業のムダを取る 1. 標準作業で作業のスタンダードを設定する2. 動作分析で作業のムダ...

  【実践編 第4章目次】 第4章 標準作業で作業のムダを取る 1. 標準作業で作業のスタンダードを設定する2. 動作分析で作業のムダ...


整頓の標準化:ジャスト・イン・タイム生産(その25)

    【実践編 目次】 第1章 改革の土台をつくる (1)意識改革で改革の前提をつくる   すべての改革は意識改革から始まる...

    【実践編 目次】 第1章 改革の土台をつくる (1)意識改革で改革の前提をつくる   すべての改革は意識改革から始まる...


「トヨタ生産方式」の活用事例

もっと見る
トヨタ生産方式の導入はなぜ難しい

  1、トヨタ生産方式:高いハードル  トヨタ生産方式(TPS=Toyota Production Sysytem) は実によく話題にな...

  1、トヨタ生産方式:高いハードル  トヨタ生産方式(TPS=Toyota Production Sysytem) は実によく話題にな...


トヨタ生産方式を賢く応用するKnow Why -シンガポールでの事例-

 トヨタ生産方式が1980年代半ばに世界に知られるようになってから30年、多くの企業が失敗を繰り返す中で、筆者は、「かんばん」とか「ジャスト・イン・タイム...

 トヨタ生産方式が1980年代半ばに世界に知られるようになってから30年、多くの企業が失敗を繰り返す中で、筆者は、「かんばん」とか「ジャスト・イン・タイム...


現場ムダ取りのはじめ方(書き起こし記事)

概要:従来から生産性を向上させる手法として用いられているインダストリアル・エンジニアリング(IE)。このセミナーではIEを知らない方でもIEに準拠した...

概要:従来から生産性を向上させる手法として用いられているインダストリアル・エンジニアリング(IE)。このセミナーではIEを知らない方でもIEに準拠した...