【実践編 第4章目次】
第4章 標準作業で作業のムダを取る
1. 標準作業で作業のスタンダードを設定する
2. 動作分析で作業のムダを取る
3. 自働化と人離しで作業者の負担を減らす
4. 生産を守る保全・安全の取り組みを進める←今回の記事
5. 「目で見る管理」で現状をオモテ化する
【この連載の前回:流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その76)へのリンク】
4. 生産を守る保全・安全の取り組みを進める
故障が発生しない機械設備、安全な現場を「標準作業」と「目で見る管理」で実現する。
(1)保全は流れ生産の条件
前回の【故障ゼロは流れ生産の必須条件】に続けて、解説します。
【4つの保全への取り組み】
保全とは、機械設備の故障を予防するための活動です。
故障ゼロにするには、機械設備が故障する前段階で、劣化の進行度合を把握し、事前に手を打つことが重要です。そのためには、各部門の職制が、保全に関する以下の4つの取り組みを全社的に推進していくことが必要です。
取組① MP(保全予防)
MPはMaintenancePreventionの略で「保全予防」と訳されています。自主保全や自主改善の結果を次の設備計画に反映させ、故障や運転ミスのない、しかも、劣化を防止しやすい機械設備にするための取り組みです。また、保全をしやすくするために、楽に、速く、正しく、安く、修理可能な機械設備にすることも重要となります。
取組② PM(予防保全)
PMはPreventiveMaintenanceの略で「予防保全」と呼ばれます。
機械設備を使用するときは、信頼性を得るために操作劣化を防止するための、日常点検を柱とした自主保全・自主改善を行ないます。また、より予防保全をしやすくするために、作業方法や機器などの選択も行ないます。
取組③ CM(改良保全)
CMはCorrectiveMaintenanceの略で「改良保全」といい、故障が発生した際、二度と同じ故障を起こさないように、設備自体の体質改善をすることをいいます。設備の劣化を少なくして信頼性を向上させるほかに、 日常点検をしやすいように設備自体を変えていきます。
取組④ 自主保全・自主改善
従来のように、生産は作業者、点検や保全は保全係、という考え方では故障は減るわけがありません。
モーター音がおかしい、これまではなかった油もれが生じたなど、日々の機械設備の調子をいちばんよく知っているのは作業者です。作業者自身が「自分の機械設備は自分で守る」ことを念頭に置いて、清掃、...