流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その51)

投稿日

生産マネジメント

 

【実践編 第3章目次】

第3章 平準化で生産の波を小さくする

1. 生産を平準化する←今回の記事
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須←今回の記事
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ

 

第3章 平準化で生産の波を小さくする

「平準化」は、生産の波を小さくする改革であるとともに、需要と供給を一致させる生産のしくみづくりです。この章では「生産計画の平準化」「段取り替え改革」「品質保証とポカヨケ」について説明します。

1. 生産を平準化する

平準化とは、大きな波をさざ波にすること。「需要」に合わせて「供給」する生産するしくみ。

(4)タクトタイムとは

作業者、管理者にとって「要求された品物を1個つくるのに、どの程度の時間をかけるのか?」は、生産計画を作成し、達成するためにも、非常に重要なことです。そして、要求された品物1個をどの程度のピッチでつくるのかは、つくり手側が決めることではなく、市場が決めることです。つまり、 タクトタイムとは、市場の売れ筋ピッチと考えられます。要求された品物1つを何秒でつくらなければならないかという時間のことで、これは、市場から要求された生産数量と稼働時間によって決まります。

 

タクトタイムを求めるには、まず、 1カ月の生産数量を稼働日数で割って1日当たりの生産数量を求め、 1日の稼働時間を、この1日当たりの生産数最で割って求めます。

 

  •  1日当たりの生産数量 = 1カ月の生産数量 / 稼働日数
  •  タクトタイム = 1日の稼働時間 / 1日当たりの生産数量

 

生産数量は、顧客からの純粋な要求数量を指し、不良率などを見込んだ数量ではありません。また、稼働時間は、あらかじめ会社で決められた就業時間から、会社で定めた朝・夕礼、昼食・休息、清掃などの時間を差し引いた時間です。

 

2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須

多品種化に対応するほど段取り替えは頻発する。改革のポイントは段取り時間と5つの定石。

 

(1)段取り替えとは何か

一般に「段取り」とは「方法や順序を定めること」をいいますが、生産現場では「段取り替え」という言い方で「作業のための前準備」という意味で使うことが多いようです。

 

今後、製造メーカーはますます多品種化対応が求められ、これに対応しようとするほど、生産現場では段取り替え(切り替え)が増えていきます。多品種化対応には、段取り替え改革が大きなカギになります。段取り替えは、機械を止めなければできないため、面倒であることと、その間、ラ...

生産マネジメント

 

【実践編 第3章目次】

第3章 平準化で生産の波を小さくする

1. 生産を平準化する←今回の記事
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須←今回の記事
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ

 

第3章 平準化で生産の波を小さくする

「平準化」は、生産の波を小さくする改革であるとともに、需要と供給を一致させる生産のしくみづくりです。この章では「生産計画の平準化」「段取り替え改革」「品質保証とポカヨケ」について説明します。

1. 生産を平準化する

平準化とは、大きな波をさざ波にすること。「需要」に合わせて「供給」する生産するしくみ。

(4)タクトタイムとは

作業者、管理者にとって「要求された品物を1個つくるのに、どの程度の時間をかけるのか?」は、生産計画を作成し、達成するためにも、非常に重要なことです。そして、要求された品物1個をどの程度のピッチでつくるのかは、つくり手側が決めることではなく、市場が決めることです。つまり、 タクトタイムとは、市場の売れ筋ピッチと考えられます。要求された品物1つを何秒でつくらなければならないかという時間のことで、これは、市場から要求された生産数量と稼働時間によって決まります。

 

タクトタイムを求めるには、まず、 1カ月の生産数量を稼働日数で割って1日当たりの生産数量を求め、 1日の稼働時間を、この1日当たりの生産数最で割って求めます。

 

  •  1日当たりの生産数量 = 1カ月の生産数量 / 稼働日数
  •  タクトタイム = 1日の稼働時間 / 1日当たりの生産数量

 

生産数量は、顧客からの純粋な要求数量を指し、不良率などを見込んだ数量ではありません。また、稼働時間は、あらかじめ会社で決められた就業時間から、会社で定めた朝・夕礼、昼食・休息、清掃などの時間を差し引いた時間です。

 

2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須

多品種化に対応するほど段取り替えは頻発する。改革のポイントは段取り時間と5つの定石。

 

(1)段取り替えとは何か

一般に「段取り」とは「方法や順序を定めること」をいいますが、生産現場では「段取り替え」という言い方で「作業のための前準備」という意味で使うことが多いようです。

 

今後、製造メーカーはますます多品種化対応が求められ、これに対応しようとするほど、生産現場では段取り替え(切り替え)が増えていきます。多品種化対応には、段取り替え改革が大きなカギになります。段取り替えは、機械を止めなければできないため、面倒であることと、その間、ラインがストップすることが問題です。

 

段取り替えには、以下のようにいろいろな作業があります。この解説では、こうした色々な準備作業を「段取り替え」、 もしくは、これを略して、たんなる「段取り」と扱うこととします。

 

次回は、(2)段取り替え作業の種類から、解説を続けます。

【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

古谷 誠

「5S・3定」で改革・改善の基礎をつくり!JIT思想でムダを徹底して取り!心を生かしたモノづくりを目指す!

「5S・3定」で改革・改善の基礎をつくり!JIT思想でムダを徹底して取り!心を生かしたモノづくりを目指す!


「トヨタ生産方式」の他のキーワード解説記事

もっと見る
自働化と人離し 流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その69)

  【実践編 第4章目次】 第4章 標準作業で作業のムダを取る 1. 標準作業で作業のスタンダードを設定する2. 動作分析で作業のムダ...

  【実践編 第4章目次】 第4章 標準作業で作業のムダを取る 1. 標準作業で作業のスタンダードを設定する2. 動作分析で作業のムダ...


安全は生産を支える 流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その79)

       【実践編 第4章目次】 第4章 標準作業で作業のムダを取る 1. 標準作業で作業のスタンダ...

       【実践編 第4章目次】 第4章 標準作業で作業のムダを取る 1. 標準作業で作業のスタンダ...


サプライチェーンの高度管理:JIT【連載記事紹介】

    JIT(ジャストインタイム)が無料でお読みいただけます!   ◆JIT(ジャストインタイム)とは JIT(ジャス...

    JIT(ジャストインタイム)が無料でお読みいただけます!   ◆JIT(ジャストインタイム)とは JIT(ジャス...


「トヨタ生産方式」の活用事例

もっと見る
見込み生産と受注組立(MTSとBTO)の対比

 今回は代表的な生産方式である見込み生産(MTS:メイク・ツー・ストック)と受注組立(BTO:ビルド・ツー・オーダー)の両者を、乗り物に喩えて比較してみよ...

 今回は代表的な生産方式である見込み生産(MTS:メイク・ツー・ストック)と受注組立(BTO:ビルド・ツー・オーダー)の両者を、乗り物に喩えて比較してみよ...


トヨタ生産方式の応用 事例

1.ドイツ系電器メーカー  トヨタ生産方式が有名になり出した頃、筆者はシンガポールで技術協力の専門家として多くの会社の指導に当っていました。当時は多くの...

1.ドイツ系電器メーカー  トヨタ生産方式が有名になり出した頃、筆者はシンガポールで技術協力の専門家として多くの会社の指導に当っていました。当時は多くの...


トヨタ生産方式を賢く応用するKnow Why -シンガポールでの事例-

 トヨタ生産方式が1980年代半ばに世界に知られるようになってから30年、多くの企業が失敗を繰り返す中で、筆者は、「かんばん」とか「ジャスト・イン・タイム...

 トヨタ生産方式が1980年代半ばに世界に知られるようになってから30年、多くの企業が失敗を繰り返す中で、筆者は、「かんばん」とか「ジャスト・イン・タイム...